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会員様寄稿【連続小説】『ラコタ』(1)台湾有事は日本の有事 台湾封鎖

登場人物
金城直人 (Naoto Kingyo): 29歳、鹿児島出身の自衛官。真面目で責任感が強く、部下たちからの信頼も厚い。

井村美嘉(Mika imura): 27歳、アメリカンバー「ラコタ」を経営。直人に密かに想いを寄せている。

舞台
九州の自衛隊基地
アメリカンバー「ラコタ」: 直人とその部下たちがよく訪れる場所。地元の人々も集まり、賑やかな雰囲気のバー。
アメリカで市民が軍人に一杯酒を奢らせてくれ、というようにラコタでも同様のことがある。

プロローグ

九州の自衛隊基地に勤務する金城直人は、部下たちとともにアメリカンバー「ラコタ」に足繁く通っていた。バーのオーナーである井村美嘉は、直人の真面目な人柄に惹かれ、彼に対する想いを密かに募らせていた。

第一章: 日常

バー「ラコタ」の光が漏れる扉を押し開けると、賑やかな笑い声と音楽が直人を迎えた。

「金城さん、いらっしゃい!」美嘉が明るい笑顔で迎えた。

「お邪魔します、美嘉さん。今日は部下たちも連れてきました。」直人は背後にいる数人の若い自衛官たちを紹介した。

「皆さん、ゆっくりしていってくださいね。今日はどんなお酒が飲みたいですか?」美嘉が楽しそうに尋ねた。

「ビールで始めます。あと、皆の分もお願いします。」直人が注文を告げると、美嘉は素早くカウンターに向かい、ビールを注ぎ始めた。

「金城さん、最近どうですか?」美嘉がビールを運びながら尋ねた。

「特に変わったことはないけど、忙しいですね。訓練が続いていますから。」直人はビールを受け取りながら答えた。

「それは大変ですね。でも、いつも頑張っている姿を見ると、尊敬します。」美嘉が優しく微笑んだ。

「ありがとう、美嘉さん。ここでリラックスできるのが唯一の楽しみです。」直人も微笑み返した。

第二章: 国際情勢の変化

その夜、バーのテレビがニュースを報じ始めた。画面には台湾の情勢が映し出されていた。

「台湾で政権が変わり、経済政策の転換が行われましたが、それに対する国民の反発が続いています。
国民の目を逸らすため、新政権は急進的な独立の主張をさらに強めています。
中国はこれに対し、台湾への経済制裁を発表しました。」
アナウンサーの声が響く。

「これ、大変なことになりそうですね。」
直人の隣に座っていた部下が言った。

「そうだな。台湾の情勢が不安定になれば、俺達も影響を受けるかもしれない。」
直人は真剣な表情でテレビを見つめた。

「金城さん、これからどうなるんでしょうか?」
美嘉が不安そうに尋ねた。

「わからない。でも、我々自衛官は常に備えています。何が起きても対応できるようにね。」
直人は彼女を安心させるように答えた。


第三章: 緊迫する状況

数週間後、状況はさらに悪化していた。
アメリカと日本が中国に対して経済制裁を実施したのだ。
ヨーロッパ各国はウクライナでの紛争が長引いていることもあり、制裁には参加しなかった。

中国本土には多くの日本企業が進出しており、最後まで日本政府は経済制裁に反対した。
しかし最後はアメリカに押し切られる形で経済制裁することになった。

その対抗措置として、中国は台湾周辺で軍事演習を開始。
事実上海上封鎖し、他国の船を臨検。また、日本に経済制裁を実施した。


ラコタでは、その話題で持ちきりだった。

「経済制裁によって物価が上がって大変だよ。」常連客の一人が言った。

「そうだな。しかも、輸出企業にも影響が出ているらしい。株価も下がって大損だ。」別の客が答えた。

「直人さん、これからもっと厳しくなるかもしれないですね。」美嘉が心配そうに言った。

「そうだな。だからこそ、ここでリラックスして英気を養わないと。」直人は微笑みながらビールを飲んだ。

「金城さん、何かあったら私たちも協力しますから。」

「ありがとう、美嘉さん。その言葉だけでも心強い。」直人は感謝の気持ちを込めて答えた。

続く

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