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光の戦士たち(15)シャンパンタワーと再エネ賦課金 国民の電気代が海外投資家に…【小説】

登場人物 
祭あつし:25歳 市役所勤務 
三浦智久:29歳 コンサル会社社長 祭の大学時代の先輩

祭あつしは高級ラウンジの入口でスマホを確認していた。
「三浦さんが来いって言ったお店はここで間違いないな。」

今から会うのは大学の先輩であり、今やコンサル会社の社長である三浦智久だった。

「お疲れ、祭。飲みに行かないか?」
三浦からの誘いは突然だったが、祭は少し迷ったが飲みに行くことにしたのだった。

ラウンジに入ると、煌びやかなシャンパンタワーが目に入った。すぐに三浦が迎えてくれた。

「すごいですね」
と祭が言うと、三浦は笑って答えた。
「いやー、たいしたことないよ。」

三浦はシャンパンタワーを注文し、そのシャンパンを美味しそうに飲み干した。祭も乾杯のために一口飲んだ。

「そうそう、君を呼んだのは用地取得の件で議員を紹介してもらえないかと思ってね」と三浦が切り出した。

「はあ、なぜ用地を?」
と祭が尋ねると、三浦は興奮気味に答えた。
「ソーラー発電だよ。そしてうちの会社でその権利を海外、主に中国の投資家に売るんだよ。」

「政府が買取価格を高く設定してくれてるからノーリスクハイリターンなんだ」
と三浦は続けた。

祭は驚いた。
「ということはその高い電気代を国民が支払うんですか?」

「まあ、そうなるな」
と三浦は無邪気に答えた。
「再エネ賦課金といって経済産業省主導でやってるんだよ。バカな国民からお金を吸い上げて、こうやって酒飲んで、お金を回してやったほうがいいだろう。これが生きた経済なんだよ。」

「再エネ賦課金と言ってますけど、それって税金ですよ!全ての増税に反対です。だから協力できません」
と祭は強く言った。

三浦は笑いながら、
「おいおい、大学生みたいな理想を言って。そんなんじゃ、一生金持ちにはなれないぞ」と応えた。

「三浦さんのやってることは虚しいですよ。今はお互い別の道を今は歩んでますけど、俺は三浦さんを信じてますから」
と祭は真剣な目で言った。

三浦は一瞬黙った後、「そうか、まあ飲もう」と軽く答えた。

その日、三浦の会計は1000万円を超えていたのだった。

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