#011 本屋、発売前のマンガを読んだ話をする

Radiotalk『架空の本屋ラジオ』
#011 本屋、発売前のマンガを読んだ話をする ←ここから聞けるよ!

『架空の本屋ラジオ』第11回、お送りしてまいります。
いらっしゃいませ、ごきげんよう、えまこです。

今日は、ちょっと変な話をします。
本屋の話というか、本の話というか、私が本を読んだ経験の話というか……
ちょっと眉唾ものの話なので、ちょっと鵜呑みにせずに、話半分な感じで、流し聞きをしていただきたいと思います。
うん……変な話なんですよねぇ。

まだ発売していない本の中身を読みましたっていう話をします。

世の中には『ゲラ読み』みたいなのが結構実はあって、ゲラっていうのは、発売する前に編集状態の原稿を、印刷して綴じるまでいかないんですけど、一応こう、なんですかね……
印刷直前の状態にして、内容の確認と共に、たとえば文字のサイズこれでいいかとか、間隔大丈夫だろうかとか、そういう確認をするための前段階の印刷状態で、それで読んでチェックするっていうことが、書店員にも回ってくることがあります。

私は文芸担当だったことがないので……
文芸って、まぁざっくり言うと小説ですね。
担当だったことがないので、自分にそのお役目が回ってきたことはないんですけど、ちょっとやってみたいですけどね。
でも、こう、茶封筒に入ってドサッと送られてきた荷物が、ゲラが入ってたみたいなことは、文芸担当の他のスタッフの手元では起きているっていうのは横で見ていたことがありました。

ただ今回、こういう現実的なこういう話ではないです。

読んだのはですね……はるか昔、もうだいぶ昔でした、数えてみたら。
週刊少年ジャンプのコミックス、大変な人気作。
最近までもファンが一喜一憂していた、藤崎竜さんが描かれました『封神演義』です。
これはもうファンが多い、私も大好きで。
単行本を集めて、当時は週刊少年ジャンプ、毎週買ってたので、リアタイで読んでいました。
この『封神演義』を発売前に読んだと思うんです、っていう話なんです。

私も「どういうことだろう」って思うんですけど……
大いに、思い違いの可能性もあるっちゃあるんですけども。
何かっていうと、たぶん、夢で読んだ……だと思われます。はい。

たまにあることで、私わりと、正夢を見るほうです。
正夢で合ってんのかもちょっと自信ないんですけど……

あるふとした瞬間に「はっ、この情景を見たことがある」って思って。
「あ~~~っ!」って思って目をそらした先の光景も「ああそうそう、この光景も見たことがある!」っていう。
その一連の流れを、見覚えがあるっていうふうに思う、っていうことがかなり頻繁にあります。
デジャヴっていうよりは……あとは予知とかではなくって、見た瞬間に「そういえば昔見てた」とか「ちょっと前に見てた」とかいうことを思い出すので、正夢……まぁ夢ってことにしとこうか、って、正夢って呼んでいるんですけど。

当時の週刊少年ジャンプの、買ってきて部屋で読んでると、「あれ、これ、先週号かなぁ?」って思ったんです。
「前に読んだよね?」って思って、それが『封神演義』のある話を読んでるときにそう思ったんですよね。
改めてコミックスの確認をしてみましたら、17巻収録の、これを……ちょっと確認すると、週刊少年ジャンプ本誌だと1999年の33号に載ったお話らしいです。
第146回の、『死闘十二 -武雄封神-』という回です。
この回の、コマまで覚えてて。

お話の流れでいくと結構もうクライマックスというか、もうラスボス戦くらいまで行ってる雰囲気の話なんですけど。
人気キャラクターで聞仲(ぶんちゅう)っていう強敵がいます。
この聞仲と、まぁ親友……? 戦友……? とても気を許していた……
聞仲は気難しいキャラクターなんですけど、この人が唯一、こう信頼して心許していた、お友達と言っていいんでしょうか(笑
武成王・黄飛虎(ぶせいおう・こうひこ)という人がいて、この二人が……
武成王ももともと聞仲と同じ、古い国ですね、『殷(いん)』っていう中国の古代の国がありますけど。
ここにお仕えしていた人なんですが、なんやかやあって、黄飛虎さんは裏切ることになる。
で、裏切った先で新しい国を作ろうって言って『周(しゅう)』っていう国が立ち上がりますが、この周っていうほうに『封神演義』の主人公である太公望(たいこうぼう)が味方していると。
で、その仲間に入るんですね。
で、殷周合戦が起きると。
そこで、このもともと信頼し合っていた仲間である聞仲と黄飛虎の戦いっていうのが起きるっていう……
傍から見るとなかなかの、悲しい展開なんですけど。

大変強かった聞仲なんですが、もともとの、こんなに信頼していた黄飛虎と戦わなければならないっていうことになって。
メンタルのほうから削られていって、今までにないダメージを食らっていくんですけど。
で、黄飛虎が言います。

「もう俺とおまえの殷は失くなっちまったんだ…」
「もうねぇんだよ…」

教え諭すような。
このときもう二人とも大ダメージを食らっているんですけど。
そのシーンが、こう、見開きの右ページぶち抜きで一枚絵で載っています。
大変印象的な、そういう場面なんですけど。

このコマをジャンプで見たときに、「あれっ、これ見たじゃん!」って思ったっていう、そういうことなんです。
でも、確かジャンプで見たときに、「え、でもこれ買ってきたばっかりの今週号だよね? 間違ったかなぁ?」とか。

その当時、ジャンプを買ってたお店っていうのが、けっこう本の在庫管理がザルで、先週号とかを下げないで売りっ放しにしてたりとかしてたんです。
買い逃したときとかはすっごいありがたくて、「ヤッッッタ! 先週号残ってた!」って思って買ってたんですけど、そういうことを今回もやっちゃって……でも先週号買い忘れてるわけないのになとか、腑に落ちないとこが細かくいろいろあるんですね。
「えー、でもここ絶対読んだ」って思って、「あ、なるほど、正夢だったんだ」っていうふうに今は思ってるってことなんです。

で、これは、正夢を見るっていうこと自体は結構頻繁にあることなので、そんなに何か珍しいとは思わないんですけど、さすがに発売する前のジャンプの中身をこんなに鮮明に読んだ記憶があるっていうのはインパクトがでかかったので、今もちょっと笑い話として、ネタとしてこうしてしゃべることはあります。

で、この機会に、発売前の原稿を・マンガの内容を読んだっていうのが、時系列的に実際どうなんだろう、っていうのをちょっと調べてみようと思って、あちこち検索かけたりとかしました。
ていうのは、マンガ家さんが原稿を描くのにかかってる時間とか、印刷するのに・運送するのにかかってる時間とか鑑みると、このページが実際に仕上がってこの世に生まれているときっていうのは、私が見るよりも三週間くらいは前のはずなんですよね。
なので、私が『その夢を見た』として、実際に見たのが、藤崎先生の手によってこのページがどの程度作られた時点だったんだろう、っていうのを疑問に思ってたんです。
でも、結論から言うと私が夢をいつ見たっていう記憶まではないので……
藤崎先生が制作に取り掛かってるぐらいの頃に見たのか、それとも、まだ全然生み出されてもいない、もっと前の原稿に取り組んでいるときに、まだ本当に生まれてもいない原稿を夢で見たのかっていうところが、ちょっと気になっているっていう。
で、ここに解決はないっていう、本当に落ちのない話なんですけど。
これがもう、ずっと気になってて……
なんですかね……

このあいだ、つい数日前ですけど、
Radiotalkの、この『架空の本屋ラジオ』宛に初めてマシュマロっていう匿名のメッセージ、あれを利用してメッセージをいただきました、どうもありがとうございました。
で、このメッセージを嬉しくて、ウフフって言って何回も眺めていると、「あっ、この場面見たことある!」が起きたんですよ。
「見たことある!」って思ってふっと目をそらした先のTwitterのトレンドが載ってる、パソコンで見てたんですけど、トレンドがだーっと箇条書き状態で載っているその画面にも見おぼえがある。
やっぱりまた、またどこかで見てた、ていう気分になったんですけど。

この正夢っていう現象自体も、あんまり現実的でないというか、信憑性が全然ないので……
私の思い違いかもしれないし、嘘くさい、胡散臭い話ではあるんですけど。
でもこの『封神演義』の回っていうのは……本当に、本当になんかもう、忘れられないすごい衝撃でした。
「あれ、なんで? なんで、見た、見たよね?」ってなっちゃって。

まぁ、こう、人に話すと大体笑ってもらえるので、鉄板ネタになりつつあるんですけど。
この話を今ここでラジオで流しておくっていうのはちょっと伏線で。
たびたび私、アガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』について疑問があるって言ってるのが、この正夢に関わる話なんですよね。
なので、エーッて思ってる若干胡散臭い感じのことを検証したいんですよ。
あれは私の夢だったんだろうかって思ってることがあるんです。

なので、そういうふわふわした怪しさのない、ちゃんとしっかりした記憶で原作のラストと映像化作品それぞれのラストをちゃんとわかっている人に巡り会いたいなぁって思っているんです。

というわけで、ちょっと変な話を今日はしました。
ご来店ありがとうございました(笑
えまこでした。

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