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#015 本屋、著作権を考える

Radiotalk『架空の本屋ラジオ』 
#015 本屋、著作権を考える ←ここから聞けるよ!

『架空の本屋ラジオ』、第15回。
いらっしゃいませ、ごきげんよう、えまこです。
15回になりました、すごい。
今日は拍手しませんけど。

ちょっとバタバタしまして、日にちがあきがちになりましたが。
本当は毎日、何かお話しできたらいいなぁって思ってたんですけど、こう、楽しく収録させていただいてはいるんですが、これが義務みたいになってくるとちょっとしんどいかもなぁと思って……
一回の収録につき私やることをかなりたくさん作ってしまったので、文字起こしたりとかですね。
なので、自分のせいでもあるんですけど……(笑
好きなタイミングで、マイペースでやらしていただこうと思います。
お聞きの方もマイペースにお付き合いいただければと思います、はい。

というわけで、今日はお店であったことからの派生の話をしようと思います。

3月30日の今日の本屋、と、その派生
著作権の話になりました。
本屋の店頭における著作権の扱いがどうなってんの、って話をしたんですよね。
で、このお話はコミック担当さんとの間で起きたんですけど。
このコミック担当さんが、よそのお店で……アニメとマンガに強い某ショップに行きまして。
そしたら、コミック売り場の目立つところに、マンガの絵とアニメの絵を両方使ったポスターがどーんと貼ってあったらしいんですけど、それがどうも出版社とかで提供してきたものではなさそうだと。
お店のほうでコピーして作ったものじゃないかなぁ、っていう、そういうものが貼ってあって、堂々と。
「それはどうなの?」って思っちゃった、っていうことから出てきた疑問なんですよね。
で、POPとか、ポスターとか、販売促進のためにお店で作る……それに原作とかアニメの絵を使っていいのかどうか、コピーして切り貼りしていいのかどうか。

それが心配だと。
それはでもごもっともですよね。
私も心配だったことがつい最近あったので、たまたま調べたばっかりでした。
なのでスムーズにお返事ができたんですけど。

何個か前の収録で、『夕張再生市長』っていう本を注文しましたって話をしてるんですけど、それが出版された当時はオビがついた状態で販売されていたんですけど。
そのオビのあるなしで売り上げが多分かなり変わる本なんですね。
なので、今になってまた注文するときに、オビのついた状態で出庫してくださいって出版社にお願いしたのに、オビなしで入ってきた。
仕方ないから自分でオビ作って巻いて出しましたわ、っていうことを言ったんですけど。
これ、オビっていうのが、著者の方の顔写真がドカーンって載ってるやつだったんですよね。
それをネットから顔写真を拾ってきて、自分でオビ作って巻いて出したっていう話だったので、これツッコミを受けたらまずいんじゃね? って思ってしまったんです、それで調べたんですけど。

結論から言うと、
『やってることはグレーだけど一応OKでしょう』ってとこに落ち着いています。

それがどういうことなのかといいますと……
オビの場合は顔写真、マンガの場合はイラストレーション・絵・マンガ絵なので、一応権利関係違うかもしれないですね。
お写真の場合は肖像権とかが噛んでくるんじゃないかなって想像するんですが、こっちはあんま調べてないです。
『本屋の店頭で、公式が持っているはずの画像を使って……勝手に使って販促物作っていいのか』っていう問題としてひとくくりにお話ししますけども。
要するに、著作権……『著作権法が何を守ってるのか』っていうことだよなぁ、っていうところに終始するような気がするんですよね。

本屋でやってることが何なのかって言うと、『その本を売るための行動』なんですよ。
この本がどんなに面白いのか、どういうとこに魅力があるのか、どんなにかっこいいのか・面白いのか、どんなところが推せるのか、この一冊の中にどんなドラマが渦巻いているんです、でもそれ言えないから読んで、自分で買って読んでね、っていうようなことを、そのPOPの中に注ぎ込んでいたりするんですよね、思いの丈を。
そういう成果物であるときに、これが権利者さんを貶めたりとか、その利益を侵害したりとか損なったりとか、横取りしたり不正に作ったりっていうものであるはずがないんですよ。
だって本屋で本を買うって正規ルート以外の何物でもないですからね。
その売り上げをもっと盛り上げていこう・盛り立てていこうとするための努力ですよ。

なので、POP……まぁ言ってしまえば、別に原作の絵を使わなくてもPOP作れるっちゃ作れるんですけど……
でも、特にマンガみたいにビジュアルがものを言う部分がすごく大きいジャンルだと、やっぱきれいに、いいPOP作りたいなってなりますよね。
だから、これがお咎めに遭うのであれば、「出版社さん、自分でPOP作って提供してくださいよ」って話になってくるわけです。

なので、まぁどっちかっていうと本を売ろうとしてる立場の、いちばんお客さんに近いとこにいるのが本屋なわけで……
やってることの姿勢としては「この作品を世に出そう・この本をもっと売って行こう」っていうのの、販売の部分に特化してるのが私たちなので、出版ルートの同じ目的上の一番前にいるっていうことになるんですよね。
要は、この本を売ろうっていう目的に関して働いている仲間に一応なるわけですよ、全然敵対関係ではないはず。
なので、そうやって本を売ろうとしている努力が、著作権に反するのでやめてくださいって、ならないよねぇ……っていう……
そういう話だと思うんですけどねぇ、はい。

これが、たとえば原作の絵を使ったPOPなりポスターなりを欲しい人がいたら別途売りますよ、ってなったら完全アウトなんですよ。
それは不正に利益を得ている状態になります。
なので、そういうことになったらだめだけれど、でもやっぱ……
なんですかね、コミックだけじゃないんですけど……
見た目の印象が訴えかける力っていうのはすごく大きくて、マンガ以外のジャンルでもブックデザイナーさんとか装丁家さんが見た目にきれいな本を作ってくれたりとかしますけど、それでやっぱ売り上げが変わってくるっていうぐらい、本そのものの見た目っていうものも大事なんですよね。

それと同様に本屋でその表紙を見せて棚に置くか、背表紙だけを見せて置くかっていうのでも印象が違うんです。
なので、これ面白そうって思ってもらう、目を留めてもらう、手に取ってもらう、それをレジに持って行ってお金払ってもらうっていうところまで行動を起こさせるために、訴えかけっていうのをできるだけしたいんですよね。

なので、公式の絵を使ってなんやかややって作ったものを販売促進に使うっていう、そこだけ切り取ると、著作権法に照らしたときにアウトになる行為ではあるでしょう、と思うんですけど。
でも、目的の部分で決して著者の方に害をなすものではないので……
これは見逃されているというか……

まぁでも、こういうふうにPOP作ってくれてありがとう、みたいなことを言っていただいたことも過去にはあるので……
出版社としても、著者の方としても、twitterとかでも見ますよね「本屋さんでこういう展開をしてくれてる、嬉しいなぁ」っていうの。
ああいうの見ると、まぁそうだよねって思いますけど。
やっぱ「この作品を私たちも応援してるんです」っていうのがかたちになったものであれば、許されてきたというか、そういうものとされてきた、という流れが、最近だけじゃなくて昔からの本屋さんのやり方の流れの中で、あったんだと思います。

なので『法律にやってることだけ照らしたらアウトかもしれないけど、まぁ結果的にはOK』っていうのが、今回の結論です。
まぁそうですよね。

うちのような小さい本屋さんには、出版社さんからは特に販促物は提供されないので……(笑 
いっぱい注文したら・いっぱい入荷したらくっついてくるのかもしれないけど、まぁないんですよね、自分らで作るしかない。はい。

まぁそんな感じのお話でした。はい。

販促物で思い出すのが、ずぅっと昔なんですけど……
『じゃらん』って雑誌があって、旅行雑誌というか、レジャー雑誌というか。
あの『じゃらん』のイメージキャラクターみたいなのを、TEAM NACSの森崎リーダーがやってらしたことがあるんです。
そのときに、かなり大きいパネルか何かを……森崎さんのパネルか何かを店頭で使ってたら、あるお客さんが……たぶんファンの方ですね。
「これを使わなくなったら、もう何年先でもいいので譲ってください」っていうお申し出があったんです。
で、本当に何年も経ってから、もうそろそろいっかって言って。
でももうお客さんももういいんじゃないかなぁ、って思いながら連絡したら、もう喜び勇んで「ありがとうございます!」ってもう何十回も言って……どうやって持って帰ったんだろう、あれ。
喜んで持って帰られたことがありました。
本当はそういう、出版社さんから提供されたパネルなりポスターなりを譲るっていうのはだめと言われています。
それがばれたらもう販促物をくれないらしいっていうのは言われたので、以降やらなくなったんですけど。
あれはなかなか……たぶん森崎さん目当てに『じゃらん』買ったようなお客さんでしょうね、そういう方もいらっしゃいます。
POPの力っていうのは侮れないので……

そんな、3月30日の本屋でした。
ありがとうございました。

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