2019年5月の記事一覧
冬籠(第27回ゆきのまち幻想文学賞へ応募、加筆修正)
高い山の傾斜にあるこの村では今、どっしりと降り積もった雪が地面を固く閉ざしております。僕達村人は一日の多くを家の中で過ごし、火をおこした囲炉裏の前に集まる冬篭の時期を迎えておりました。近年国中で広まった文明開化の恩恵はまだここに届かず、僕達は貧しい暮らしのままです。
数えで十三になる僕は、夏に流行った病で家族をみな亡くし、同じ村に住む叔父夫婦の元に住まわせて貰っておりました。
僕は彼らの迷惑になら
高い山の傾斜にあるこの村では今、どっしりと降り積もった雪が地面を固く閉ざしております。僕達村人は一日の多くを家の中で過ごし、火をおこした囲炉裏の前に集まる冬篭の時期を迎えておりました。近年国中で広まった文明開化の恩恵はまだここに届かず、僕達は貧しい暮らしのままです。
数えで十三になる僕は、夏に流行った病で家族をみな亡くし、同じ村に住む叔父夫婦の元に住まわせて貰っておりました。
僕は彼らの迷惑になら