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シン・仮面ライダー 2023/03/17

日記

・今日公開の『シン・仮面ライダー』を最速上映で観てきた。


・けど、その前に『ビッグ・リボウスキ』を観た。

・自らをデュードと名乗る男、リボウスキは働きもせず仲間たちとボウリングに興じるだけの日々を送る街一番の無精者。そんな彼はある日、同姓同名の大富豪と間違われて誘拐事件に巻き込まれ、身代金の受け渡しを担当することになってしまう。どうなるリボウスキ!というおはなし。

・カルト的な人気を博すコメディ映画で、アメリカでは年に一度この映画のファンが「リボウスキ・フェスティバル」を行うという話はどこかで聞いて知っていた。20年以上前に公開された映画の何が未だに人々を惹きつけるのか、その謎は観ているとだんだんわかってくる。

・まず、何か起こりそうで、特に何も起こらないバランス感覚が良い。「大ピンチだ!! この後どうなる……!」と固唾を飲んで見守っても、別に大したことにはならない。なんか普通に無精な日々は続いていく。でも、梯子を外された嫌な感じはしなくて、「このくらいぬるくても人って生きていけるんだよな」と再確認させてくれる。デュードの周りにいる人間が誰も生き急いでいないのが、ぼんやりとした安心感をもたらしている気がする。

・そして、街一番の無精者と紹介されるデュードだけど、横にいる退役軍人のウォルターがヤバすぎて相対的にめちゃくちゃまともな人間に見えるのが面白い。インターネットでよく見かけるタイプのヤバい人が現実にいたらこういう感じなんだろうな……と思いながらウォルターの凶行を眺めていた。映画全体に流れる、ダメさを否定するでも肯定するでもない空気の中で、ウォルターが画面に映ったときのスリル。これが癖になる。

・そんで最後の語りはやかましすぎてめちゃくちゃ笑った。本当にやかましい。



・で、『シン・仮面ライダー』なんだけど……

・一旦、芋を食べさせてもらう。ココスの芋を。芋は体の源だから。



・いよいよ『シン・仮面ライダー』を観た。

・変……。変……というか、なんか、変で妙な映画だった。面白かったし、『仮面ライダー』の現代版リメイクとしては申し分ないくらい、本当に完璧な作品だったけど、それはそれとして変だ。いや、そもそも『仮面ライダー』という作品が変で妙なものなんだよな。

・主人公は仮面を被ってバイクに跨るバッタの戦士だし、敵は世界を征服せんとする不気味で怪しげな地下組織だし、SFと怪奇ドラマの融合を目指していたし、戦うヒーローでありながら同時に自分の存在そのものに苦悩するし、やっていることは同族殺しだし。今やデフォルメもされて当たり前に受け入れているけど、そういうものを取っ払って今一度、人類が初めて『仮面ライダー』に対峙したときの気持ちを再現させるのが、『シン・仮面ライダー』だったと思う。私たちが慣れ親しむ前の孤高の、まだ誰も知らないヒーロー「仮面ライダー」が、現代の新しい姿としてそこにいる。だから、変だし妙だと感じるのが正常だし、「シン」なのだ。

・私はエンドロールが流れて、「なんか変な作品……でも、もっとライダーの活躍が見たい」「続きが見たい!!」と思わされたから、まんまと術中にはまっている。この気持ちこそ、1971年にテレビの前に座っていた子どもたち(や大人たち)が抱いていた『仮面ライダー』への原初的な思いなんじゃないか。「仮面ライダー」という名前が一般名詞のように扱われる2023年の世界ではもはや誰も吸うことができないはずだった、1971年の空気をちゃんと現代のフィルターを通して送り出している……。今ここに、また新しくはじまりの「仮面ライダー」が生まれた……。すごいことをやってのけたんだな……『シン・仮面ライダー』。

・いや、『シン・仮面ライダー』すごいな……。なんか一段落したら、どんどん「この映画、ヤバい」という気持ちが強くなってきた。

・それはそれとして、よくこれでタイアップしまくりの大型プロモーションとかやってんなとは思う。破茶滅茶にも程がある。


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