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メルペイで最高の仲間と挑戦の場に恵まれました

こんにちは、メルカリの決済事業、メルペイでマーケターとして働いていました加古静香です。
5月末日をもって約3年間お世話になったメルペイを卒業することになりました。

まだ何もプロダクトがない2018年の3月に入社し、2019年2月のリリースから5ヶ月間のリリースキャンペーンまで、大型のゼロイチのマーケティングを担当させていただきました。
ここでどんなお仕事をさせていただいたのか、そしてそこで何を学んだのか、お世話になった方へのお礼も兼ねて卒業制作的にまとめようと思います。

入社のきっかけ

人から人へ、そしてSNSがつなぐご縁

1番最初は、DeNA時代からの友人の金子が紹介してくれた、ヘッドハンターの高野さんにお会いしたことがきっかけでした。(メルペイとの出会いを作ってくださったお2人に感謝です!)
渋谷でお会いし、ヘルスケア系のスタートアップや、(コインチェックの事件の直前で)業績がぐんぐん伸びている仮想通貨の会社をいくつか紹介された中にメルペイ(設立直後で仮想通貨も視野に入れていました)がありましたが、その時は私も明確にやりたいことが見えておらず、一旦持ち帰りました。
が、その3日後、メルカン(メルカリのオウンドメディア)の記事がたまたまSNSで流れてきて、「あ!これだ!」とピンと来たんですね。(採用活動におけるSNSの効果ってほんと大きいと思います)

P&G出身でメルカリのマーケ責任者の山代さんの記事を見て、この人と一緒に働こう、と思いました。

背景としては、前々職のDeNAでP&G出身マーケターの彌野さん、リサーチャーの玉樹さんの元で、IT企業における、大手の伝統的なマーケティング手法の活用についてハブのような役割を担っていたこともあり、きっと山代さんの役に立てるに違いないと思ったことがありました。また社員数800名程度だった成長著しいメルカリは、DeNA出身者も多く、きっとカルチャー的にもフィットするだろうなと。

また、社長の青柳さんはグリー出身で、モバゲー時代に競合として切磋琢磨しあってきた会社(もちろん直接話したことはなかったですが)で、数値ドリブンな事業の捉え方、考え方がフィットするのではないかと(勝手に)感じていました。

そんなわけで、高野さんに早速連絡し、実際に面接で山代さん、青柳さんにお会いする中で、この会社にコミットしよう、と明確に心に決め、ご縁あってメルペイに入社させていただくことができました。

メルペイでのチャレンジ①:激動のスマホ決済市場に飛び込んだ

中国で見たスマホ決済の未来

2018年の日本のスマホ決済市場は、古くからあるおサイフケータイ、Apple Pay、Suica、それにLINE Pay、 楽天Payが中心で、まだまだ多くの人が、現金もしくはクレカで支払いをしていました。

それに比べ、出張先の上海で見たものは衝撃的でした。支払いはほぼスマホのみ、小さな個人店でも露店でも、くしゃくしゃの厚紙にQRコードが貼り付けられていて、それを読み込んで支払い。

さらに何よりリアルに感じたのが、対する現金の使いにくさでした。地下鉄の券売機で、現金で切符を購入しようとしたところ、全く買えない!お金がシワシワだったり、券売機が読み取ってくれなかったり。中国は現金の課題が大きすぎるので、スマホ決済があれほどまでに伸びたのだと感じました。
いずれにせよ、中国で見た新しい世界は、ありありと脳裏に焼き付けられ、日本でもメルペイが、この世界を作るのだ!との熱い思いを胸に、リリース準備を進めていました。

群雄割拠の日本のスマホ決済市場

その後、メルペイのリリースが遅れる中でマーケティングの準備を進めていた2018年10月、先んじてソフトバンクグループのPayPayがサービスを開始し、12月には100億円という巨額の還元キャンペーンをぶち上げました。これには、担当者としてなんというかヒーーーーという感じで、どう戦えばいいのかとチームみんなで頭を悩ませました。
結果、リリースキャンペーンの予算も大幅に上げ、メルカリとしてはさらにアクセルを踏みこんで立ち上げる、という決断に至りました。

その後も多数の決済サービスが、携帯キャリアを中心に巨額の予算とともに立ち上がります。これほどに新規サービスが、大規模な予算とともに集まる市場とタイミングは、滅多にない気がします。
この激動のスマホ決済市場での戦い方の試行錯誤は、変えがたい貴重な体験でした。

ここで学んだのは、市場は常に動いているということと、そこでの振る舞い方。激しいマーケットにおいて、メルペイの事業としての戦略は、有力なプレイヤーとの協力関係を結びつつ、メルカリが手がける決済事業だからこその強みを活かした打ち出しをするというポジショニングがありました。

メルペイでのチャレンジ②:ゼロイチのマーケティングを戦略から実行まで

メルカリが取り組むスマホ決済の強み

入社からリリースまで約1年という準備期間があったため、色々と試行錯誤をしながら少数精鋭のマーケメンバーで立ち上げの戦略を練り、実行まで進めていきました。

当時からメルペイがプロダクトとして優れている点は3つあって、1)メルカリの売上金をそのまま使えること、2)iDと連携しておりQRコードを開かず、Apple Payで「かざすだけで決済」できる、またiD加盟店で利用できること、そして、3)(手前味噌ですが)UXが磨き込まれていて使いやすいこと、でした。

強みと予算を最大限に活用した3つの施策

この強みを活かして、初期のマーケティングで大きく3つの施策がありました。

1つは、当然ながら、メルカリの売上金をもっているseller(売っている人)さんを中心に、店舗でメルペイ使ってもらえるようCRMを行うこと。当時でもすでに年間数千億円という流通総額があったため、メルペイというおサイフにはかなりのお金が入っているわけですから、これを決済で利用してもらおう、と考え、アプリ内の様々なコミュニケーションを活用し、インセンティブもつけながらメルペイ利用を進めました。

後の2つはiDとの連携の強みを最大限に生かすクーポンと還元の施策です。
iDとはドコモさんのキャッシュレス決済の仕組みですが、実は当時既に大手チェーン店を中心に多数のiD加盟店さん(決済が利用できるお店=提携でメルペイが使える)があるんですね。中でも、もっとも素晴らしいのがほとんど全てのコンビニで使えることでした。

準備期間には様々の調査をしましたが、店舗の中で最も利用頻度が高いのはコンビニであることがわかっており(調べなくても想像はつきますが笑)、店舗数も多く、生活に一番近いコンビニでメルペイが使えることを、お客様にお伝えしたいというのがありました。
また、メルカリのsellerさんは発送のたびにコンビニへ行くことが多いため、その機会にも利用してもらえるはずだとも考えていました。

そこで行ったのが、コンビニや飲食店の商品(おにぎり、コーヒー、スイーツなど)がほぼ無料(実際はシステムの都合上11円〜)になるクーポンを作ることと、コンビニでの決済で高い割合でポイントが還元される施策です。

2つめのクーポンの方は、山代さんと最初に考えた施策で、ソフトバンクの吉野家でのSUPER FRIDAYクーポンにアイデアを得たものでした。吉野家の牛丼がタダになるクーポンで、大渋滞になる程お客様が行列したらしい、という話から、身近な食べ物が無料になるクーポンというのは、金額が少額の割に広告効果も高い、コスパの高い施策だと感じていました。
加えて、スマートニュースのクーポンチャンネルがマーケ的に成功していたのもありました。(SUPER FRIDAYのヒアリングをさせて頂いた冨樫さん、その節は本当にありがとうございました!)

そこでクーポンの案をアンケート調査し、いけそうだとわかったら仕様を考え、稚拙な絵を描いて、PMのめぐさんに「こんなクーポン機能を作って欲しいんです」とお願いしに行ったり、経営会議にクーポンでこれだけユーザー獲得します、費用はこれぐらいです、というプランを提案したり、初期には、コンビニさんや飲食店さんに、クーポン一緒にやらせてもらえませんか、という商談にも行ったりもました。

3つ目の還元施策は、PayPayの100億円キャンペーンを受けて、チームの飲み会で1番の切れ者Yu-kiさんが出されたアイデアでした。今、メルペイが勝てるのは、大手コンビニで支払えること、ここで半額還元と大きく打ち出そう、と。(ちなみにクーポンと還元キャンペーン、CMなど広告制作においては、法務で弁護士のmaiさんに法律上のルールについて色々とご相談させていただきました)

これらの施策案について予算の想定を作り、経営会議で承認いただき、プロダクト側で開発してもらい、加盟店さんと相談し、代理店の電通さんやサイバーエージェントさんと一緒にコミュニケーションを練り、と少人数のチームでもろもろ進めました。

代理店、リサーチ会社と優秀なチームに助けられた

代理店では、電通の清水さん、柳下さん、東畑さん、柴田さん、菊井さん、中村さん、前沢さん、サイバーエージェントの金子さん、今野さん、増田さん、山崎さんなどなど、初期のモヤモヤ迷走期から、直前のいつもギリギリのお願いまで、本当にたくさんお世話になって感謝しかないです。
ちなみに代理店さんとのやり取りやキャンペーンの実行推進は、頼れるリーダー、こーすけが中心となって担ってくれました。腹が据わっていて、優しくて、アイデアマンで、ほんとすごい。

チームとしてこのように走ってきましたが、私個人ではこの中でマーケティングリサーチを行ったり、そこで得たユーザーインサイトを施策検討に活かしたり、施策案を予算に具体化したり、それらの戦略を資料にまとめたり、予算のROIを確認したり、というブレーン的な役割でした。
あと一時的に、前職の経験を生かして、加盟店開拓のマーケティングチームの立ち上げ(採用、MAツールの導入、初期のサイト制作や店頭POPの作成など)を担っていた時期もありました。(そのときの様子はこの記事に)

リサーチでは、ニールセン・デジタルにお願いすることが多く、今田さん、三村さん、ソフィヤさん、高木さんほか、本当にお世話になりました。

マーケティングリサーチを活用した戦略づくり

DeNAでも100を超えるリサーチを担当し(実際のところ飽きてもいたのですが笑)、メルペイでニールセンさんや山代さんとの壁打ちを通じて、深くリサーチを活用する経験を得て、1段も2段も深く掘り下げた戦略作りを行えたと感じています。
また、ちょうど発売されたスマートニュースの西口さんの顧客起点マーケティングの本が実践的かつ戦略的で素晴らしく、これをバイブルのように同じ調査をしたりもしました。

マーケティングリサーチというと、生のユーザーデータと違って机上の空論のように捉えられることも多いのですが、ユーザーデータからはわからない、お客様がなぜそれを選ぶのか、本当に欲しいものは何か、といった生の心理、その理由を理解する上では、素晴らしいツールです。
リサーチのデータやインタビューを行っていると、お客様の心理や姿、そして市場や戦略の道筋が自分の頭の中に立体的に立ち上がって広がってくるような気がします。なのですが、実際には、私がこの調査を感じて見えているものが、周りの人に半分も伝えられていないのではないか、というもどかしさがあります。(精進します笑)

ちなみにユーザーデータの分析は、リリース直前に入社した経験豊富なデータアナリストのikeさんが、メルペイの成長を数値で牽引されていました。クイックでプロフェッショナルなアナリストが、マーケチームにいてくれることの心強さたるや!
同じくリリース直前には、ほかに、頼れるお姉さんtodamaiさんとCRMの達人alexがチームにジョインして下さって、もうカツカツでパツパツで必死のチームで大活躍してくださりました。本当にありがたかった。

メルカリならではの戦い方をするために学んだのは、強みを顧客目線で見極め、それを最適なROIで最大に活用するアイデアを作り、それを実現するための多くのプロにお力を借りることでした。

メルペイでのチャレンジ③:ドリームチームでプロフェッショナルと仕事をした

「Be a pro」プロフェッショナルと働くこと

ここまでもご紹介してきましたが、メルペイというのは、レベルの高いプロフェッショナルの集まるチームで、マーケでは1人ひとりがマネージャーを担えるシニアなメンバーが現場で働いていましたし、プロダクトも、コーポレートも、デザイナーも、営業も、bizdevも(全員のお名前は挙げ切れないですが)業界の綺羅星を集めたようなドリームチームでした。

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(↑2018年9月にメルペイマーケチームに集った4人。左から、こーすけ、山代さん、私、ゆーきさん。)

加えて、社外にも多くの専門家がいて、メルペイというチャレンジにお力を貸してくださり、いつもパツパツでギリギリのチームを支えてくださいました。実際、かなりブラックなクライアントだったと思うのですが、、本当にすみません&ありがとうございました。

「Go bold」大胆な挑戦を奨励する文化

またマーケティングのかなりの大胆な投資を後押しして下さった経営陣ももちろん素晴らしく、「もっとGo Boldなプランはないの」というオーダーは当初びっくりしましたし、また常に新しいお金の未来の形を描きながら走り続ける、その姿に心惹かれていました。
社長のnaokiさんのなんというか青い炎のような冷静で燃え続ける闘志に貢献したいと思い続けていました。

「All for one」成功のために一丸となって

そして、何よりマーケティングについては、全力の全力で取り組んでいた山代さんがいたからこそでした。
目標を達成するためには、「絶対にやり遂げる」というリーダーの強い意志が、メンバーに伝播して結果を導くのだという、その成功するチームの空気感を体感しました。きっと誰にもいえない大変なことも数多くあっただろうとお察ししますが、その中でチームを率いて、社内のみんなを巻き込み、ともかく成果に向かって最前線を走ってくださり、本当にありがとうございました。
すべての周りの人を巻き込み、いつのまにか120%の力を引き出してしまう、そしてその責任は自分が負う、失敗したら辞める、という強い覚悟に、なんというか私も何とかお役に立たないと、と思わされました笑

素晴らしいチームの中で、自分がどれだけ貢献できているのかと焦る気持ちも多々ありましたが、背伸びをしながらもプロフェッショナルたちと1つの目的に向かって働く経験は、唯一無二の体験でした。

目標を達成するチームに何があるのか、というのを体感で学んだと思います。

ちなみに、後で、この段落の小見出しをつけていて、意図せずして、メルカリ・メルペイグループのバリューと一致していました。意識したわけではなくこれが出てきたのは、メルカリらしさが社内に、また私個人の体験にも浸透していたからだろうなと。これが、メルカリグループの力の源泉でしょう。

今後のメルペイと、感謝の気持ち

メルペイは“なめらかな社会”をもっと前へ

さて、ここまでのお話、実は私が関わったのは2019年6月までで、少し古い話になります。
リリースキャンペーンを終え、その後私は8月に第2子を出産し、コロナのなか育休を経て、やっと保育園に入れたのがこの4月。復職の予定でしたが、お休みをいただいた上で本当に心苦しいのですがこのタイミングで他にどうしてもやりたい仕事を見つけてしまい、卒業させていただくこととなりました。

その後のメルペイは、順調に利用者数・加盟店数を伸ばし、先日4月21日には利用者数1000万人を突破!リリース時の200万人という目標と比べてもう5倍!!
町の店舗にメルペイの旗やPOPが貼ってあるのを見つけることも増えて、嬉しい限りです。
また、メルペイには、クレジットカードのような後払いや定額払いの機能、友達にお金を送れる送金機能、通販などでメルペイをクレカのように使えるバーチャルカードの機能などが追加されたり、dポイントと連携されたりと、ますます便利になっています。

個人的には、育休中にメルカリでコツコツ販売し、そのお金で、コンビニでご褒美にスイーツを買う、という(リリース前から、こんな使い方をして欲しいと考えていた姿そのものの)楽しい使い方をしています。

4月にはメルコイン社という暗号資産・資産運用の会社も立ち上げられ、今後はますます日本におけるお金の概念・世界を変え、当初から目指している“なめらかな社会”を実現していかれるのだと理解しております。

(メルペイのこれまでと今後についてはCOOのmarkさんのこの記事が、メルコイン社についてはnaokiさんのこちらが、それぞれ素晴らしかったのでシェア)

結果的に、私個人が最前線で携わらせていただいたのは、たった1年半にも満たない期間でしたが、体感としては3年ぐらいのイメージで、本当に濃い1年半でした。
なんというか、あのときのヒリヒリ感、必死さ、一緒に走った仲間のことを思い出すと、泣きたいような気持ちになります。
多くの方と一緒にお仕事をさせていただき、本当に、多くの学びのある時間でした。大変お世話になりました。

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(↑ローンチキャンペーンを終え、産休前に開いていただいた送別会)

退職にあたっては、コロナもあってほとんどの方に個別にご挨拶することはかなわなかったので、こちらでのご報告、ご挨拶となってしまったこと大変失礼いたします。コロナが落ち着いたら改めてお会いしたいです。

新しい挑戦についてはまた後日ご報告しようと思いますが、また何かでご一緒にお仕事する方も多いかと思います。ここでご一緒させていただいた皆様の、これからのますますのご活躍を、陰ながら応援しております!今後とも何卒よろしくお願いいたします。

(7000字超の長文となってしまいました。お世話になった方への長い長いお手紙ということでご容赦ください)

加古静香

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(↑最終出社日に、メルカリオフィスのエントランスにて。)

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