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世界中の起業家の思考プロセスを遡って事業案を探す方法

こんにちは、デライト・ベンチャーズで起業家の支援を行っている加古静香(@kakosiz)です。

起業のきっかけは人それぞれですが、「これをやろう!」というよりも「ともかく起業したい!」という動機でスタートされる方も多いでしょう。

この記事では、ともかく起業したいんだ、何をやるかはこれから考える、という方向けに、デライト・ベンチャーズが実施している、事業アイデアの探し方をご紹介します。

事業案が思いつかないなら、探せばいい

事業アイデアを探す基本的な方法の1つは、「自分が感じた課題から探す」ですが、自分の経験の範囲では見当たらない、ということも多いと思います。また、自分の課題は一通り探したけれど、成長の可能性を感じられるアイデアを見つけられなかった、という方も。

そんな場合にオススメなのが、「海外の事例から探す」です。実はデライト・ベンチャーズでは、「事業アイデアが見つからない」という起業家向けに、毎月の世界中の調達ニュースを調べることで、「これは!」という事業案を見つけ出し、ご提供しています。

デライト・ベンチャーズで作成している事業案一覧リスト

▲デライト・ベンチャーズで作成し、起業家に提供している「事業案リスト」(一部抜粋)

世界中のスタートアップから学ぶのが王道

2021年グローバルの調達件数は3万件超

調査会社crunchbaseによると、2021年のグローバルの資金調達件数は3万件超、調達金額は6430億ドルと言われています。近年の調達金額の伸びは、主にレイターステージの調達額のインフレが大きな要因のひとつですが、一方の件数の方は、2015年以降2021年まで継続して世界で年間3万件もの資金調達が行われています。

もちろん栄枯盛衰、3万件もの調達の裏では多くのスタートアップが事業を終了しているはずですが、その中でもシリーズA、Bと続いて調達し、存続している企業は、一定の顧客数を獲得して事業が成立しているといえます。ということは、その事業が解決しようとしている「課題」の存在が証明されていると言ってよいでしょう。(これを「課題の顕在化」と言ったりしています)

デライト・ベンチャーズが行っているのは、このcrunchbaseの調達ニュースをソースに、デライト・ベンチャーズの投資方針に合いそうな、そしてユニコーンになる期待が持てそうな事業案を見つけ出すこと。

では具体的にどのようにこのリストを作っているのでしょうか?

デライト・ベンチャーズ流起業案の見つけ方

1)グローバルの調達事例を網羅的にリスト化

定期的に調達ニュースのうちプレシード〜シリーズBまでのラウンドの分をcrunchbaseからリスト化し、それを翻訳ツールで日本語に変換します。

▲crunchbaseから取得し、翻訳した調達ニュースと企業データ(一部抜粋)

ちなみに、シリーズBまでに絞っている理由は、シリーズC以降のスタートアップについては、これから追いかけるには時既に遅しの例も多いだろうという判断からです。

(「タイムマシン経営」というと、既に海外で成功したモデルを日本に持ってくるものかとは思いますが、グローバル化し、情報伝達のスピードの速いこの2022年において、“すでに成功した事業”ではなく、まだ初期のスタートアップの事業から「その(課題の)存在は証明されているけれど、まだ十分には解決されていない課題」を探そうと考えています。)

2)特定の条件でアイデアを絞り込み

この時点でもまだ1ヶ月に1200件程度の情報があるため、領域などからデライト・ベンチャーズにフィットしないものを弾き、概要のみの情報からざっと月40社程度をピックアップします。

3)1件ずつ事業を詳しくチェックし、さらに絞り込み

そして、月40社程度について、デライト・ベンチャーズの投資の基準に基づいて、事業内容からそのターゲット・その事業が解決している課題・実際の提供内容・日本に競合がありそうか、また仮に日本で同等の事業を行った場合優位性がありそうかを推測したり、調べたりします。(ちなみにここまでは外部のパートナー企業様に依頼して実施しています。)

ここで重要なことは、事業案(=ソリューション)をただなぞるだけでなく、事業から推測して、実際にどのようなターゲットに、どのような課題があるためにこの事業案を考えたのか、と起業家の思考プロセスを遡って検討することです。

▲最終的な推奨事業案リスト作成するために、事業内容をリサーチしているリスト(一部抜粋)

そして、デライト・ベンチャーズのメンバーが、上記のリストからさらに「これはデライト・ベンチャーズで開発すればよさそうだ」という事業案をピックアップします。もちろん、ベンチマークからそのまま真似をするだけでなく、日本の市場の状況を鑑みて、ターゲットや課題の切り口、またソリューションの方向性などをピボットして、新しいアイデアとする場合もあります。

最終的に起業家に提供するリストには、「推奨」の事業案が月に10件程度掲載されることになります。

調達ニュースからの事業案への絞り込み率は0.4%!

というわけで、年間3万件、月2,500件程度の調達ニュースから、デライト・ベンチャーズでは月10件程度の事業案を選んでいるということになりそうです。その絞り込み比率は0.4%!

実際には、私たちでは見過ごしてしまう「よいアイデア」もあるかもしれませんが、各々の起業家が調達ニュースをチェックすることで、各自にあった事業案を見つけられると考えています。

▲調達ニュースから推奨アイデアまでの絞り込みプロセス

アイデアは「創る」より「探す」が近道
世界中の起業家の思考プロセスを遡ろう

世界での調達ニュースは年間約3万件、毎日約80件もの調達(3万件÷365日)が行われていることになりますが、これらの世界各地の起業家の思考プロセスに学ばない手はないと思いませんか?

▲世界では毎日82件もの調達がある

私は、アイデアというのは「思いつく」というより「見つける」ものだと考えています。もちろん、すべてのアイデアがすべての起業家にフィットするわけではなく、このリストを眺めることで、真っ白の机の上では思い出せなかった「自分の課題」を再発見することができるかもしれません

デライト・ベンチャーズでは“アイデアはまだない”起業家の方も歓迎しています。これから事業を作ろうという方は、第2回ベンチャー・ビルダー・チャレンジにご応募いただき、一緒に未来のユニコーン企業を作りましょう。(募集開始は4月からですので、今しばらくお待ちください!)

▼第1回ベンチャー・ビルダー・チャレンジ概要ページ(4月に第2回に更新予定)

また、ご自身で事業を開発されて、その後最初の資金調達をしたい、という時にはぜひ事業案とともにデライト・ベンチャーズにご相談ください。

▼デライト・ベンチャーズ お問い合わせフォーム

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