母の夢

夢の中で母は白血病だった。余命わずかのなか、コロナを発症して、父も感染して、病院に行かず眠っていた。東京に住むわたしが帰ってくると、その事情を知る人(なぜか池田の母)が待っていて説明してくれて、わたしは2人を病院に運ぶため説得から始めた。どれだけあなたを愛してるか、死んでほしくないか、母の身体はぐでっと力がなく細く熱かった。夢の中で泣いてた。病院に電話をして、3時間半後にしか救急車が出せないことに口調が荒くなるけど、電話口からしたら3時間半後に出すことも大きく譲歩していて、そんな風に言われるのは心外だというような感じだった。今見放されては困ると、態度をあらためて涙を流しつつ、自分で運べないかやってみると伝えた。車で行くと伝えると父は大きな梨をむいて、母は歯磨きをしていた。夢の中なので、瀕死でこんなに動いてることの違和感はない。父の梨は、母に食べさせたいから、母の歯磨きは、これから会う人を不快にさせないよう、それだけだった。母を担いで、車までの道のりは実家の風景とだいたい似ていた。「かぞくがコロナって本当?」としつこく聞いて、家まで入り込もうとする気味の悪い子どもに怯えるも道中では会わなかった。障碍者の子どもとその家族とすれ違った。わたしは母を抱えて、彼らは子どもを抱えた。車にたどり着いたところで目が覚めた。カーナビに病院名をいれなくちゃ、と思っていた。

なんかどれだけ心に引っかかってるんだ、と、思う。親が死ぬのは順番なのに。でも、わたしの悲しい気持ちはわたしだけのものだとも思う。夢を見て思うのは、わたしがしっかりしてたら違う結果になったんじゃないかってことと、自分の気持ちをもっと伝えたかったってこと。あとは、普通に親孝行みたいなのを、する気持ちさえなかったことへの後悔だな。

マットレスを洗っているので、床に薄い布団を敷いて眠ったらこんな夢を見た。最近みる母の夢の中でわたしは、毎回おいおい泣いている。実家の煎餅布団に似た寝心地だからか。換気扇と扇風機がうるさく、完全遮光ではないカーテンが眩しい。昨日はなにか特別な月だったようだけど、私が見る限り特別には見えず、世間的に価値のある状態かに限らず、たまにある、ふと綺麗だな、と思えた日の月をしっかり目に焼き付けたいと思った。人間は業が深く、家畜化した動物の臓器に名前をつけて焼いて食う。母に優しくできなかったぶん、誰かに優しくしようかな、て気持ちと、めんどくせ〜〜し、ねみって気持ちで、とりあえず今日なんかやれたらいいな〜て思ってます。

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