言語形式と意味と言語使用(実践編その1 Word Counter編)

1 初めに

前回の記事では、単語や文法を習得するためには言語形式(form)と意味(meaning)と言語使用(use)の3つを習得することが必要で、今までの学校での英語教育ではformとmeaningはよく学習するけど、useを学習することが少なかったという話をしました。

さて、今回は実践編です。今まで私がuseを意識してどんな実践をしてきたを紹介します。

2 Word Counter

これは広島県広島市立舟入高等学校の西巌弘先生が発案した指導法で、英語教育に携わる方であれば、西先生のお名前かword counterは耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

やり方はいろいろあると思いますが、自分のやり方を紹介します。

目的は自分が思ったことや考えたことを、ある程度即興で話したり解体することができることで、目標は中2の段階で1分間で40語以上しゃべれるようになることです。

(1) ペアになり、じゃんけんで勝ったほうがあるトピックについて話します。負けたほうはカウンターで相手がしゃべった語数を数えます。言い直しなどは数えてもいいですが、filler(well, let me see)などは数えません。これはいちいち生徒には言いません。これを数えてもいいよというと、わざと言い直したり、fillerばかり使う生徒がいたため、今年度は特に「言い直しやfillerを数えてもいいよ」とは伝えていません。でもある程度言い直しやfillerは使っていて、カウントしている様子が見られます。

(2)最初はトピックを伝えたら、準備もせずにいきなり始めます。例えば1回目のトピックは自己紹介です。「I am 自分の名前、から始めればいいよね」とだけ伝えて、いきなりスタートです。そうすると生徒はあまりしゃべれないわけです。この「できなかった」という気持ちにさせることも大事だと思います。さて、同じ授業時間に2回目を始めます。2回目は、ある程度考える時間を与えます。指導することは、こちらから例文を与えたり、マインドマップを書くことを勧めたりします。



翻訳サイトなどで表現を調べることも許可しますが、「自分の言葉として言える・書ける」ことが目標なので、検索した段階で「これなら自分で言えそう・書けそう」と思えないとだめだよな、ということは伝えます。翻訳サイトとの付き合い方は以前noteに記事を書きましたので、こちらからどうぞ。

大体5分ぐらい調べる時間を与え、その後2分ぐらい独り言のようにして言う練習時間を与えます。そして2回目の計測です。ここで伸びる生徒が多く、生徒は「やればできるなあ」という気持ちになります。中には「俺80語しゃべれた!」と興奮気味に言う生徒もいます。カウンターで語数を数える生徒は、カウントするだけでなく、聞き終わった後質問をするように指示しているので、内容をしっかり理解しないといけません。質問はDo you, Can you~?やWhat do you ~?などの質問をしています。

自己評価は3つします。
①語数 20語で中1、40語で中2、60語で中3 100語で高校生
ネイティブスピーカーで150語と伝えています。40語を目指します。
②質問に答えられたか 聞いているペアから質問を受けるので、それに答えられたかを〇×で評価します。
③range 自分がどのくらい多くの文法や語彙を使えたかSABCで自己評価します。

(3)続いて作文を書きます。話すだけだと自分の文法の間違いに気付けないことがあるので、ここで流暢さだけでなく正確さも養います。3分で書き、1分間自由に立って歩いて、ほかの生徒の作文を読んで参考にして、1分で仕上げます。計5分です。添削はALTが行います。ALTによい例をいくつかピックアップするようにお願いすると、本校のALTは非常に丁寧にhandoutを仕上げてくれて、取り上げられた作文の何が良いのかということも書いてくれます。良い作文にするためのコツとして、本校もALTは「natural flow」ということをよく挙げています。そのためには①接続詞を使うこと②一つのことを取り上げたらそれについてできるだけ詳しく書くこと ということをアドバイスしてくれています。

(4)一つのトピックにつき4回word counterを行います。トピックは全部で5つです。①self introduction ②my favorite ③my family / friend / teacher / pet ④the place I want to go to ⑤ universal designです。⑤だけ異質な感じがしますが、この活動をNew Horizon English Course 2のUnit 5で行っており、その題材がuniversal designなので、最後にはuniversal designについて語れるようになるということも(つまりretellingのように話す・書く)、影の目標になっています。

3 どこがuseの練習になっているのか

この活動において、特定の文法を必ず使えという指示はありません(おすすめはしますが)。ですので、生徒はどの単語・文法をどのように使えばいいのかということを考えます。目標となる文法を習得させたいために、be going to を使って、あなたの明日の予定を伝えようといった活動とは違うわけです。

自分の考えや気持ちをOutputするために、どの単語や文法を使うのかということを考えないといけないわけですので、useの獲得につながると考えています。

話す語数の平均はおよそ50、書く語数の平均はおよそ35ぐらいですので、中2としてはまずまずかなと思っています。

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