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経験したことがない部活動の監督になり・・・選手のトラブルを収めた話

部活動では選手同士のトラブルはつきものです。今回は、経験したことがない部活動の監督になり、選手同士のトラブルを収めた(かどうかはわからないけど)お話です。



中学校教員になり、一つの競技の部活動をずっと続けさせてもらえていました。地区の専門委員長や県の専門委員長(その競技の中体連大会の競技委員長役)をやらせてもらえたり、その競技のスポーツ団体の協会理事を務めさせてもらったりと、深く関わらせてもらっていました。

そして、今年度異動先で、違う競技の監督になることに・・・。学校事情で仕方ないとは理解していても、自分の知らない競技の担当になることがこんなにもストレスになるとは・・・。

自分は男子担当ですが、女子担当の先生が、その競技に精通していて、指導方法や協会への登録など、初めてではなかなかストレスフルなことを教えてくれたりやってくれたりするので、そこは非常に恵まれています。また、保護者も大変協力的で、「この競技を経験したことがないのに、先生も大変でしょう」と言ってくれ、大会や外部で練習するときにいろいろサポートしてくれます。

先日、練習中に2年生と3年生がちょっとしたことで険悪なムードに・・・。きっかけは3年生の生徒の2年生に対するちょっとした言葉かけから始まりましたが、その裏には十分に練習させてもらえない2年生の不満があるようでした。

練習を中断してミーティングを指示します。

私「なんかもめてるみたいだけどどうしたの」

部員たちがあちらこちらであったことを話し始めます。

まずはストップさせます。

大事なことは・・・
(1)お互いの言い分をしっかり聞く
(2)誤解があるところは解いてあげる
(3)昔のことを言い始めると、問題が複雑化するので、今回の話し合いは「今あったこと」だけの解決を図ることを伝える。また、昔のことの積み重なったトラブルも、後ほど解決に向かっていくように改善を図ることは約束する。
(4)部活動としても目的は一緒だという点を強調し、それに向かって進むチームだということを共有化する。
以上4点に気を付けて、トラブルを収めました。

(1)お互いの言い分をしっかり聞く


2年生と3年生のお互いの主張や言いたいことを吐き出させます。2年生が話しているところで3年生が口をはさんだり、その逆になりそうなときは、「お互いの話をちゃんと聞くから、まず最後まで話させてやってくれ」と伝えます。最後に念押しして、「ほかに言いたいことがないか」確認します。

(2)誤解があるところは解いてあげる


自分はそういうつもりで言ったことがないことでも、相手の受け取り方次第で、誤解を生み、それが憎しみや怒りにつながることがあります。話した言葉をできるだけ正確に再現させ、それが相手にどのように伝わったかを確認します。必要があれば、謝罪するように促します。

(3)「今あったことだけ」の解決をする


トラブルはその場に起きたことが単なる引き金にすぎなかったことはよくあることです。今までの歴史があり、積もり積もったものが爆発した・・・。今回はそういうケースだったようです。聞き出した情報から、「今起きたこと」と「今まであったこと」を分けて考え、今回は「今起きたこと」だけを解決することを宣言します。「今まであったこと」はその時にすぐ解決するものではありません。長い時間がかかります。よく話を聞くことも大事だし、時間が解決することもあるし、3年生はもうすぐ引退なので、そのままほおっておくということも解決方法としてはありかもしれません。

(4)部活動での目的は一緒であり、そのためのチームだということを強調


部活動のメンバーは仲良しクラブではありません。ただ単にその競技が好きだというメンバーが集まったにすぎないという考え方をします(もちろん友達が入るからというケースもあるでしょうが、全員そうだということはあまりないと思います)。そのうえで、その競技がやりたい人が集まっただけのメンバーが一つの目的のために、お互いに気を遣うことの大切さや大事さについて話をします。




ミーティングを終え、練習を再開しましたが、ある程度納得して練習を始める生徒もいるし、そうでないなという生徒もいます。

でも、大人だって話し合いしたから、すぐ納得して気持ちを入れ替えて頑張れる人はそういません。

練習最後のミーティングでこう伝えます。

「練習の途中でミーティングしたけど、あれで納得して練習に集中できた人もいれば、納得できず練習に集中できなかった人もいるかもしれない。でもいこうやって最後まで練習をやり切ったのは、なかなかすごいことだと思うよ」



次の日は練習試合でしたが、誰一人欠席することなく来てくれました。そこもすかさず認めます。「みんなよく来たな。この部活動の目標達成に向けて、できること頑張っていこうな~」と最初のミーティングで伝え、気持ちよく練習試合を始めさせるように励ましました。



部活動って、勝つ喜びだけでなく、一つの目標に向け異年齢の集団がどうやってその目標達成に向けて努力できるかを学ぶことができる良い場所ではないでしょうか。

その競技の全くの素人監督が部活動に貢献できることは、生徒が気持ちよく練習をしたり、大会に全力で臨むことができるように環境を整えてあげたりすることかな・・・と考えています。


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