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(夏の連載サスペンス劇場)「魔性の女」第1話(全4話)

とある日の事だった。警視庁捜査一課のベテラン警部・後藤田正平は朝・捜査一課で昨日の報告書をまとめていた。
彼は捜査一課でもエリート中のエリート。過去には通り魔事件や連続殺人事件を何度も解決した男であり、捜査一課では「こいつが携わる事件は未解決という文字はない」と言われるほど、最強の男だ。
いつもは事件が起きないように、毎日神様に祈っているほど、真面目で礼儀正しい人物であり、彼を嫌う人は誰一人いない。いや逆に尊敬の念を抱く人が多いほどだ。
自分がパソコンを打っていると、若い後輩の男性警部補・長田が近づいてきて

「あっ先輩。ここにいたんですか」

自分はパソコンを打ちながら

「なんだ。こっちは忙しいんだよ」

長田は自分のパソコン画面を見てきた。長田はかなり明るい人物で、熱心な刑事だ。でもかなりやり手で自分と協力して事件を解決したことも何度もあるほど、この男もかなり頼りになる人物だ。

「あっ例の政治家殺しの件ですか」

「そうだ。満谷の取り調べがさっき終わったから、報告書を書いているだけだ」

政治家殺しというのは、先月発生した港区にある民協党の議員である男性が何者かに殺害されたという事件だ。最初は未解決になると思われていたこの件だが、一昨日に自分が政治家の甥っ子である満谷という男を任意で話を聞いたところ、まんまと自供したため逮捕となった。
この事件の詳細を話すと長くなるため、ここは割愛させてもらう。だが裏に巨大な陰謀があることだけを伝えとこう。
すると長田の近くにある電話が鳴り、それに出る。

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