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(ホラー短編小説)「叶う人形」

とある日の事だった。サラリーマンである岸谷は会社帰りに酔いながら家路につこうとしていた。
彼は最近リストラ候補に挙がっているという情報を手にして、少し落ち込んでいた。自分はこう見えてもかなり繊細な人物で、こういう情報には弱い。しかし現実を見なければ、先には進めない。一体どうしたらいいのか。
自分はバツ1で子供が2人いたが、今は元妻のところにいる。人生のある意味のどん底だ。
ヤケ酒を飲み、帰っている最中。自分で作ったオリジナルの曲を口ずさみながら歩いている。するととあるゴミ捨て場を通ると、まるで誰かに呼ばれたかのような感覚に襲われた。少し気になりながらゴミ捨て場の方を見ると、そこにはなんとも可愛らしい日本人形があった。
普段のイメージの日本人形とはまた違い、まるで現代少女人形みたいな感じだった。

「なんだこれ。可愛いな」

酔っていたせいか、まるで引き寄せられるような感覚で人形を持ち上げた。そのまま何故だか持って帰ってしまった。でもまさかこれが自分を恐怖のどん底に突き落とされるとはまだ想像もしていなかった。

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