(連載小説)「殺意のトーク~岡部警部補シリーズ~」第2話(全3話)
計画を遂行してから3時間後だった。外は夜で近くのビル街のライトがとても美しく見える。
自分は司会を務めるゲームバラエティー番組「ゲームのおと」の収録を控えていたため、テレビ局の別スタジオ楽屋で待機していた。この番組はかれこれ10年はやっている長寿番組である。自分の司会を務める番組でも「しゃべりの壁」の次に長寿なため、自分にとっても大切な番組である。
しかし、今日に限ってはリラックスできなかった。それもそうだ、人を一人殺したからな。まずこれでリラックスしたら人間ではないが、どの口が言ってるんだが、少し自分はため息をつきながら時を過ぎるのを待っていた。
丁度その時、ドアをノックがする音が聞こえて
「はい。空いてますよ」
自分は「ゲームのおと」の番組プロデューサーが来たと思っていた。収録1時間前には打ち合わせをする決まりだったからだ。すると微かに女性の声で
「すいません。失礼します」
すると入ってきたのは、スーツ姿でとても綺麗な女性だった。最初はこのテレビ局の新入社員かなと思った。しかし入社時期はとっくに過ぎている。中途採用かなと思い込み
「あの、サインならすいません。後ででも大丈夫ですか?」
「はい?」
はい?というのはどういう返事だ?もしかして間違えたか?それにしても完全に会社員の格好をしている。一体どいうことだと頭の中がこんがらがっていた。すると女性が優しそうに
「あっもしかして、会社員だと勘違いします?」
「え?あっ違うんですか?」
女性がジャケットの胸裏ポケットから、警察手帳を取り出して
「私、警視庁捜査一課の岡部と申します。北村玄太さんですよね?」
ここから先は
4,569字
¥ 350
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?