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【舞踊】素踊りの世界

 2023年3月18年(土)、国立劇場(小劇場)に、日本舞踊の素踊りを観に行きました。素人の私がメモを残すのは、本当に恐縮なのですが、記録したいと思います。

■素踊りとは

素踊りとは、屏風を背に、紋付などの衣裳で、扇など最小限の小道具を用いるという、日本舞踊ならではの上演様式です。シンプルであるがゆえに、体の動きや形、間拍子など、踊りそのものの面白さが舞台に溢れます。

公演パンフレットより

素踊りは大きく三つの種類に分けることが出来ます。一つめはご祝儀物(お祝いのための舞踊)としてつくられたもので<中略>、二つめは衣裳をつけずに歌舞伎舞踊を踊るもので<中略>、三つめは日本舞踊の古典的な技法に則って新しくつくられたもので、新作と呼ばれます。

公演パンフレット、丸茂祐佳『素踊りの「伝統」と「創意」について』より

■各演目について

 今回は、ご祝儀物の『富士の雪』、歌舞伎舞踊の『保名(やすな)』、新作の『雪月花』と『今は昔』が踊られました。
 以下では、各演目についてメモと感想を記載したいと思います。阿部さとみさんの解説を参考にしました。

(1)長唄『富士の雪』について

 若柳壽延さん、若柳吉蔵さん、若柳宗樹さんの踊りでした。
 名峰富士を、四季にからめて様々なエピソードを綴った作品です。詞章を読むと、以下のようなエピソードが織り交ぜられていました。
・孝霊五年の富士山の出現
・三保の松原の羽衣伝説
・竹取物語(物語の最後に富士山が出て来るそうです)
・夏の夕べの様
・富士登山の情景
・源頼朝の「富士の巻狩」(曽我物語)
・秋の七草の風情
・冬景色の美しさ

(2)清元『保名』について

 吾妻徳穂さんの踊りでした。
 春の野辺を、貴公子の安倍保名が亡き恋人の面影を求めてさまよう姿を描いています。
 インターネットで調べると、阿部保名は安倍晴明の父親のようです。また、人形浄瑠璃『蘆屋道満大内鑑』の「小袖物狂の段」が原作のようです。
同作は、私は詳しく知らず、今度調べてみようと思います。
 人が狂うというテーマで、(踊り手はもちろんですが、観る側からしても
)難しい主題だと思いました。

(3)長唄『雪月花』について

 水木佑歌さん、藤間恵都子さん、花柳昌太朗さんのリレー形式でした。
 雪月花(冬の雪、秋の月、春の花)をテーマとした「雪女郎」「土手の月」「花見船」の小曲が組み合わされています。

「雪女郎」では、雪の降る中、遊女が恋しい男を待つ哀しさを情緒纏綿と綴り、「土手の月」では秋の月夜に吉原土手を行く駕籠や吉原田圃の情景から、思う人が「もしや来るのでは」と待ちわびて茶碗酒を飲む様を描きます。「花見酒」では賑やかな花見船の様子や娘と娘が恋する男、そして散り敷く桜の中、酒の興じる人々などを踊り分けます。

公演パンフレット、阿部さとみさんの演目解説より

 後半に入り、私も落ち着いて鑑賞することが出来ました。踊り方によって役の身分や立場など演じ分けること、そして、衣裳がない素踊りであるからこその難しさがあると感じました。また、身体の使い方にキレがあるな、とか、身体の角度(例えば、「見返り美人図」のような感じなど)に様式美があるな、など感じました。

(4)大和楽『今は昔』について

 猿若清方さんの踊りでした。
 猿若清方さんは、NHK大河ドラマをはじめとする時代劇、映画、商業演劇などにおける振付、所作指導などをされているそうで、私も、テレビ画面などで名前を拝見したことがあります。
 昔の江戸・東京の遊びに関することを回顧した作品でした(芝居町の猿若町、大川(隅田川)で、屋形船が行き交う場面、吉原、浅草奥山)。
 他の踊りでも思いましたが、観客として、踊り手の目線を追う部分があり、踊り手が作り出す世界に入るような部分があるのかな、と思いました。(素人の私が本当にすみません!)

■(番外編)水谷彰宏さんの解説より

 水谷彰宏さんは、元NHKエグゼクティブアナウンサーで、本公演で解説をされていました。
 その中で、長唄『吉原雀』の一節が出て来ました。有名な長唄らしいですが、私は初めて知る話でした。「日本堤」は「吉原土手」や「通ひ馴れたる土手八丁」とも呼ばれ、吉原に通う人で賑わったようです。

■最後に

 日本舞踊について素人であることもあり、メモ(解説)が多くなってしまいました。パンフレットをPDF化した方が早いかもしれません(笑)。
 しかし、書きながら頭の整理になったり、調べる部分もあるので、勉強になる部分があるのも確かです。もう少し、図書館などで調べてみたいと思います。

 本日は、以上です。

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