【美術館】デイヴィッド・ホックニー展(東京都現代美術館)
2023年10月7日(土)、東京都現代美術館に『デイヴィッド・ホックニー展』を見に行きました。以下、メモを残します。
■展示会概要
東京都現代美術館(MOT:Museum of Contemporary Art Tokyo)は江東区にある美術館です。最寄駅は清澄白河で、徒歩10分から15分位かかります。
展示期間は、2023年7月15日(土)から11月5日(日)までです。同期間内に、以下の展覧会が開かれています。
・企画展:『デイヴィッド・ホックニー展』
・企画展:『あ、共感とかじゃなくて』
・コレクション展示:『被膜虚実』『特集展示 横尾忠則―水のように』『生誕100年 サム・フランシス』
企画展のチケットで、コレクション展示も観ることが出来ます。私は、15時半に入館し閉館の18時までいたのですが、コレクション展示まで観ようとすると後半バタバタでした。『デイヴィッド・ホックニー展』自体混んでいますし、時間に余裕を持って行った方が良いと思います。
■デイヴィッド・ホックニーについて
デイヴィッド・ホックニー(1937〜)はイギリス生まれの画家、芸術家で、今年で86歳になります。(そこまで芸術に詳しくない)私は、つい最近、NHKで毎週放送されている「日曜美術館」で知りました。
現代を代表する世界的なアーティストの1人で、「刷新」や「革新」「探求」という言葉が使われていました。
展覧会を振り返ってみると、同氏が、自分とはどういう者なのか、世界はどのように成り立っているのか、その世界を絵画で表すにはどのようにすればよいのか、鑑賞者との関係をどのように構築するのか、などを考えていく「探求」の歴史だったように思います。そして、私は、この流れの根底に西洋哲学の流れがあるように感じました。
■展覧会の感想
箇条書きでポイントだけまとめてみます。
私は、現代では「写真」が世界を正確に映していて、「絵画」には別の役割があると安易に考えている部分がありました。しかし、ホックニーは「写真(平面)」をずらして作品を作ったり、複数の視点から捉えたりすることに挑戦しており、今回の展覧会を通じて、そもそも人間は肉眼ではもっと立体的に世界を捉えているのだな、と気づくことが出来ました。
上記に関連して、ホックニーが影響を受けた人物としてピカソが挙げられており、「キュビズム」というものに関心を持ちました。
また、美術館に通い始めた頃は、作品を作る人と自分の間に一線引いていた自分がいて、距離をとって見ていたのですが、今回、作品に立体性や奥行きを感じたり、鑑賞者と一体になるような工夫がなされていたりして、作品の中に入った感覚が強く、いつもより身近に芸術作品を感じることが出来ました。
ホックニーが後半で、周囲の身近な自然をテーマにしたり、記憶の中の自然を描いたりする所が良かったです。特に後者については、これまで、たくさんの物をしっかり見つめてきたからこそ、頭の中のイメージを作品化出来るのだろうな、と思いました。
(この点は最初に書くべきか、最後に書くべきか迷ったのですが)ホックニーは同性愛者であることをオープンにしているそうです。そのことと向き合っている作品もありました。美術館が「美」や「愛」について語る空間であることを改めて感じました。
■最後に
ホックニーの「春が来ることを忘れないで」というメッセージについて、コロナ禍だったり、自分の人生についてだったり、色々な局面で考えさせられる言葉だな、と思いました。「明けない夜はない」という言葉もありますが、逆から捉えた明るい言葉のようにも思います。
そして、「日曜美術館」の最後に、インタビュアーの人がホックニーに対して、日本の人々へ、特に若い世代へ向けてメッセージを求めました。
私は「20代位の若い人には将来があるし、どんなことを言うのだろうな。」と思って聞いていました。
回答は「Be Yourself」(あなたらしくいなさい)でした。ここで、ホックニーは「若い世代だけでなく、全ての世代の人に」と付け加えていました。
私は、この「全ての世代」という言葉を聞いて、自分のこれからのことを考えました。確かに、若い世代だけでなく、(自分を含め)誰にでも人生があります。年齢や性別にとらわれるのではなく、「個人」として「世界」と向き合ってきたホックニーさんらしい言葉だなぁと思いました。
「また明日から(なんなら今日から)頑張ろう!」と思える展覧会でした。
本日は以上です。