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【邦楽】現代邦楽名曲選 ー創作の軌跡ー

 2023年6月10日(土)、国立劇場(小劇場)に、「現代邦楽名曲選 ー創作の軌跡ー」を聴きに行きました。
 今年10月末の初代国立劇場閉場に向けて、音楽や舞踊など「名作選」が企画されることがあり、今回もその一環でした。

 これまでの「邦楽名曲選」は、江戸時代や明治に作られた「伝統音楽」についてでしたが、今回は「現代音楽」ということで、ほとんどが戦後の作品です。
 音楽について素人で恐縮ですが、メモと感想を残したいと思います。

■6つのテーマと2つの軸

 インターネットで参考になるページがありましたのでリンクを貼ります。
 6つのテーマ(後述)と、2つの軸(2時の部では「時代を彩った名曲」、5時の部では「国立劇場委嘱作品」)で構成され、合計12曲(6✕2)の演奏がありました。
 そして、演奏については、プログラムに「次世代をになう演奏家が一堂に会し」とあるように、若手の方々による演奏でした。

■各テーマや曲についてのメモ

※満遍無く記載しようとするとキリがないので、記載量にムラがありますが、ご容赦下さい。

1、雅楽アンサンブル(邦楽器合奏の可能性)

①越天楽変奏曲(宮城道雄=作曲)
②秋庭歌(武満徹=作曲)

 文字通り、雅楽を通して、邦楽器の合奏の可能性を探るもので、①には、邦楽器にフルート・ピッコロが加えられていました。
 ②の武満徹については、伝記を持っており、もう少し学んでみたいと思いました。

2、東洋的な音楽観(間や沈黙にたたずむ美学)

①明鏡(杵屋正邦=作曲)
②海峡(佐藤聰明=作曲)

 プログラムに、①は「日本音楽固有の「間や沈黙」の美学」、②は「一音成仏」、という言葉がありました。日本絵画において、空間(間)をあけることで観る人の想像力を働かせる表現方法があります。ここでの文脈とは多少異なるかもしれませんが、間をあけるという点で、音楽と美術で日本文化の共通性があるような気がして、面白いと思いました。

3、楽器の開発(戦後に生まれた伝統音楽)

①二つのファンタジー(入野義朗=作曲)
②水の相対(一柳慧=作曲)

 ①の「二つ」とは、(宮城道雄が従来の箏に対する低音伴奏楽器として考案した)十七絃と、(音域・音量の拡大を目的として、作曲家の三木稔の協力を得て野坂惠子が考案した)二十絃箏です。※()内はプログラムより補足。
 また、②は復元された七絃琴と瑟(しつ)による演奏でした。

4、新しい編成(伝統楽器の多彩な表情)

①有為転変(浅井誠=作曲)
②南溟暁歌(廣瀬量平=作曲)

 この4番目のテーマが個人的には一番面白かったです。楽器が(多少語弊がありますが)ぶつかり合う競演という感じでした。
 ①では、鼓・箏・尺八の三人が、移動しながら演奏しました。時には、一人が別の一人を追い出すような形で。
 ②では、打楽器・横笛・尺八・十七絃の競演でした。私は特に多様な打楽器に感動しました。他の楽器の演奏にどのように合いの手を入れるか、特に十七絃とのやり取りなど、大変面白かったです。多様な打楽器とありますように、プログラムには「シデロイホス」「アンクロン」「カバサ」「シェルチャイム」「チャイニーズシンバル」「ブレーキドラム」などが挙げられていました。どれがどの楽器だったのか、後で調べてみたいと思います。

5、民族音楽(身体が紡いだ歌と音楽)

①三絃散手(高橋悠治=作曲)
②奥浄瑠璃 琵琶に磨臼 −菅江真澄の日記より− (間宮芳生=作曲)

 ①は、私には特に難しかったです。プログラムには「三絃音楽に固有の手の動きを応用している」とあります。三絃音楽の基本が理解出来ていない私に、応用が分かる訳はなく、大変難しかったです。少しずつ理解していこうと思います。
 ②は、琵琶と語りで構成されていました。「物語」が好きな私には、興味深い内容でした。琵琶法師は、嫁になるはずの娘が身投げしたと思って、自らも川に身を投げます。琵琶と(娘が背負っていた)臼が浮いて流れるという話のようですが、無性に無常観を感じます。この物語の主題についてはもう少し考えてみたいです。

6、詩歌俳諧(日本の歌曲の現代型)

①斑鳩宮(三木露風=作詞、中能島欣一=作曲)
②風姿行雲(大岡信=撰歌、湯浅譲二=作曲)

 伝統邦楽は歌詞を伴うものが主流だったようですが、現代邦楽は西洋の影響を受けて器楽中心に発展したようです。原点に返るということで、歌曲が作られたようです。
 ①聖徳太子の偉業を偲ぶ内容でした。
 ②に関して、プログラムの中で、大岡信が「純然たる自然詠だけではなく、人間が自然と関わっていながら、いわゆる人情によって自然を湿っぽくしていない歌」を選んだと、初演解説書から引用されており、非常に面白いなぁと思いました。

■最後に

 以上、書く内容や方向性が定まらない書きぶりで、まとまりがない文章となってしまいました。
 国立劇場のホームページに、関係者へのインタビュー多く掲載されていましたので、リンクを貼っておこうと思います。このような特集が組まれるのも、邦楽としては集大成だからなのかな、と思いました。

 本日は以上です。

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