バニラシェイクと祖母
バニラシェイクを飲む度に、大正生まれの祖母がバニラシェイクを、初めてマクドナルドで購入した時のエピソードが、頭から離れない。
昔、家族が何気に買って来たバニラシェイクを初めて飲んだ祖母。祖母は、シェイクのあまりの美味しさに感動。
もっと欲しくなり、バニラシェイクの情熱だけをエネルギーに、近所にあるマクドナルドまで。もちろん、目的は「バニラシェイク」を購入すること。
そのミッションだけのために、目が悪いので日頃出歩かない町に飛び出し、人生初のマクドナルドまで。
何とかたどり着いた祖母は、念願のバニラシェイクを購入しようとしたのだけれど、残念なことに「バニラシェイク」という洒落た横文字は、出て来ず…。
しかし、欲しい!
絶対に欲しい!
祖母の情念は、容易く消えなかった。
咄嗟に出た言葉は、
「飲むのがしんどい飲み物おくれやす」と。
もっと、店員さんに説明する良い表現があったはずなのに、なぜこの言葉のチョイスだったのかは、亡くなった祖母に聞いてみないとわからない。
それでも、祖母の渾身を込めて名付けた「飲むのがしんどい飲み物」は、無事店員さんに伝わり、購入することができたのである。
自分で購入したバニラシェイクを美味しそうに吸いながら、その時のエピソードを話してくれる祖母。
飲むのがしんどい飲み物を、美味しそうに飲んでいる祖母を、
今でも、シェイクを飲む度に思い出してしまう。
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