見出し画像

#日モヤ 執筆を支えた文章術 〜構成編〜

かきもちです。#日モヤ 執筆を振り返りつつ、執筆中に学んだことや気をつけていたことをまとめています。今回は構成編です。本書では基本的に序論・本論・結論の構成を意識して書きました。この形式がどうやってできてきたのか、原型と参考にした書物をご紹介します。

もともとは対話形式だった

この企画はもともと、2019年に開催された第15回出版甲子園という出版コンペティションに出したものでした。

企画当初、いろいろな形式を考えて、決勝大会では対話形式を採用することにしました。科学に苦手意識を感じている人でも読みやすい、というところをアピールする戦略です。

出版に際しては、(確か)対話形式が全編続くと読みにくい、効果的でないという理由もあって、対話形式はメインの構成にはせず、あってもコラムにとどめる方向性に決まりました。

対話形式によって展開される科学系の本には、結城浩先生の『数学ガール』や佐藤実先生の『プリンセス・フィリシア 物理の迷宮に挑む!』がありますが、対話形式の技があってこそ、全編対話形式が成り立つのだと思います。

起承転結と思いきや…?

そんなわけで対話形式は今回はなくなり、読者参加型というよりもサイエンスを解説する文章に寄った形で原稿を書くことになりました。出版社内の企画会議のためにサンプル原稿を書かせていただいたのですが、当初私が意識していたのは起承転結です。

起承転結について説明する必要はないかもしれないのですが、少しだけ。今でこそ4コママンガや物語の基本構造として使われている起承転結ですが、もともとは漢詩の構成法の一つでした。日本大百科全書によると、そのポイントは以下の通りです。

起句はうたい起こしで、一首の意を提起するものであるから、高い風格、非凡な着想が必要である。承句は起句を受けて、詩意を発展させる。転句は場面を転換するが、人の意表に出るような奇抜さが必要であり、一つの見どころとなる。結句は転句を受けつつ、全体を収束し、余韻を言外に漂わす。
                ー小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

つまりこれは、詩のイメージを演出し、余韻まで読者に楽しませるためのエンタテインメント性の強い手法なのです。そんなわけでマンガや物語に応用されるのだと思います。

今回の内容はサイエンスについての内容であるということで、こうしたエンタテインメント性は一旦脇に置くことになりました。そこで編集の方からご紹介いただいたのが下記の書籍です。

ちょっと宣伝のようになってしまうのですが、理工系の、情報を伝えることを旨とするライティングを学びたい人にはとてもありがたい本です。私はこの本を読む必要があるとわかって自分の勉強不足を痛感しました。。やさしい入門書を書いてくださった福地健太郎先生に感謝いたします。

これが理工系の文章だ

編集の方から付箋もつけていただき、『図解でわかる!理工系のためのよい文章の書き方 論文・レポートを自力で書けるようになる方法』をお送りいただいて、ようやくサイエンスの文章を書く用意が整ってきました。

ここで導入された構成が、序論・本論・結論です。ポイントとしては、まず序論で読者に身近な話題を交えて情報を提供し、興味を引きます。次に本論で主な解説を行い、結論で主張をまとめます。

#日モヤ でいうと、白ねこの日記部分と最初の小見出しの部分を序論として書いています。2つ目以降の小見出しの部分が本論で、最後の小見出しとまとめ部分が結論です。

この三部構成の効果は一定程度あり、入り口と出口がはっきりしていることで何が言いたいかが伝わりやすくなり、幅広い読者の方に読んでいただけたのではないか…と思っています。レビューに「各項目の最後にまとめがあるので小論文対策にも使える」とのコメントをいただきました。その手もあったか…!

まずは基本の構成をおさえる

サイエンスライティングをしようと思ったら、まずはなんでもいいので書いてみることが一番です。構成は目的に合わせて後で決めればよく、情報を伝えるには序論・本論・結論の三部構成が便利です。誰かに情報を伝えようとすることで、自分の中でも情報が整理されてくることでしょう。

またここでは紹介しなかったのですが、サイエンスライティングにもいくつか方法があり、論文のように情報の伝達しやすさを意識する方法もあれば、マンガや物語のようにストーリーのおもしろさを意識する方法もあります。

情報を伝えるものを書きつつ、感情を伝えるもの書く…という話は、実はマンガの講座でもきいたことがありました。まずはエッセイ漫画で情報を伝える訓練。それから感情を伝える訓練。という話があったのでした。

もしかするとサイエンスライティングも同じなのかもしれません。今後はストーリーがある文章も楽しみつつ、一つ一つ情報を積み重ねたいと思います。

2021/11/3 追記:こうして振り返ってみると、親しみやすい科学の本にするには形式を対話形式にしたり起承転結にしたりして、論文などとは別の形にしなければ…と考えていたように思います。結論、構成は論文などの理工系の文章と同じ三部構成でも、それはあくまで情報の伝達しやすさを叶えるものであって、文章全体のイメージとは直結しない(論文ぽい文章にはならない)と気づきました。文章全体のイメージを決めるのはもっと、言葉遣いとか、フォントとか、挿絵とか、専門用語の入り具合とか、なのかもしれません…おもしろい。



いいなと思ったら応援しよう!

かきもち
もしよろしければ、おすすめの食べ物や音楽、書籍を教えてください☕️ いただいたサポートで購入してレポート記事を書きます。