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借金を背負うと「覇気」が生まれる!? 第一回「かっこいい借金」イベント 1万字レポート

借金してますか?

昨年11月9日に開催したHuuuu主催企画イベント『かっこいい借金ってなんだ?』。50名近い人が集まってくれて、長野市でのイベントとしては充分すぎるぐらいの手応えを感じました。

もちろん内容が難しいのは百も承知。個人が、法人が、銀行からお金を借りることで自由な経済活動に集中することができる。この仕組みは実践しないと伝わりづらいものです。

借金イベントのビジュアル(制作:中屋辰平)

生々しいリアルなお金の話をわざわざしてくれたのは…

信濃町でフィンランド式サウナ「The Sauna」を仕掛けつつ、豊後大野と壱岐を合わせると3店舗運営! 株式会社LAMP代表のマメくん

そして元々LAMPで初代支配人を務めて、いまは京都で飲食店「IL LAGO」「シロトクロ」「mati」の3店舗を経営する堀田くんです。

長野でやる以上は、自分と深く関わりの持つゲストを呼ぶのが得策。初回の文脈としては、中島みゆきも驚くぐらいに縦糸と横糸が重なって、借金のデニムみたいになりました。意味がわからんぐらいがちょうどいい。

左から堀田くん、柿次郎、マメくん

●マメ

東京で料理人として働いた後、2015年に長野県へ移住。株式会社LIGに入社して『LAMP』料理長兼支配人を経て、株式会社LAMP代表取締役。レストランでは地元食材を使った多彩な料理を提案、ランチのハンバーガーは『LAMP』はじまって以来のヒットメニューとなっている。よく顔が怖いと言われる。趣味はスジ通し。特技はスジ謝罪。

※Huuuuの取材記事
https://suu-haa.jp/article/hataraku01/

●堀田 樹
株式会社HOTTA代表。学生時代は野球に打ち込んだ後、福祉関係の仕事へ。一念発起して上京し、株式会社LIGで唐突な左遷にあって『LAMP』の立ち上げ支配人を約4年務める。男女の出会いのなさに絶望し、地元へUターン。現場第一の飲食店オーナーとして京都市内に『IL LAGO』『シロトクロ』『mati』の3店舗を展開している。先祖はモンモンモン。好物はバナナと経口補水液。

※Huuuuの取材記事
https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kakijiro56

イベントレポートと言いつつも、パブリックには話せないような内容ばかりだったので、出せる範囲のスライドを紹介しつつ、企画と司会を務めた私が雑感と解釈をエッセイ的に展開する構成でお届けしたいと思います。

取り急ぎ、伝えたいパンチラインは……

ONE PIECEでおなじみの価値観

これに尽きます。答え出ました。
かっこいい借金を考えるとこの結論に至ってしまいました。

なぜなら、借金を背負った人間が放つパワーは、生存戦略のシビアなスイッチが入ってしまっているからです。失敗すれば破産。経営者であれば家族や社員の人生にまで影響を与えてしまう装置でもあります。

そもそも私が借金に対して強烈な色気を感じたのは、秋田県男鹿半島でクラフトサケ『稲とアガベ』を中心に、レストラン、食品加工所、ラーメン屋、宿泊施設など、信じられない勢いで事業展開する岡住修兵さんとの出会いがあります。

「柿さん、2億円借りたらなんでもできますよ。ぼくは男鹿半島という土地だからこそ、3年間でとんでもない数の事業をつくります。雇用をしまくります」

血走った目で事業に賭ける想いを口にする彼の表情は、一般的な人間の、一市民のそれではありませんでした。地元の銀行から土地の未来を託されて借りた2億円を元出に、ありったけの魂を燃やして、公私混同の「やってこゾーン」に足を踏み入れた男の姿……(2億円あればなんでもできる……)。

おれもかっこいい借金で魂燃やしたい!!2億円借りたい!!

すべてはここから始まりました。自分ごととして借金をおもしろがるために、人を巻き込んで世の中に問いかけていきたい。なにかを背負うことは文化と雇用を生む可能性が高いからです。極論をいえば死んだら終わり。誰かに迷惑かけることは人生の大前提といってもいいでしょう。

どうせなら覇気をまとってやりたいことやりきって死んだほうがいい!



奇跡的な協賛企業

ちなみに今回のイベントは「三井不動産レジデンシャル」と「三菱地所」さんに協賛していただきました。ありがとうございます。

こんな大きな会社が突飛な借金イベントに協賛してもらえるなんて、ちょっと未来的な展開とは思いませんか? それだけ長野県、ローカルが注目されてるってこと!

こちらは三井不動産レジデンシャルの櫻井さんが運営しているメディア『n`estate(ネステート)』で取材してもらった記事です。これがきっかけで今回の2口スポンサーに協力してもらえました。やったぜ。


三井不動産の櫻井と申します。
今回、こちらのイベントに協賛させていただきました!
私自身は本日参加がかなわなかったのですが、この激あつなイベントに参加できている皆様がうらやましいです。私も、心の中では、しっかり借金スウェットを着ています。

さて、ちょっとだけ宣伝しますと、いま、私が担当しているプロジェクトがネステート、という二地域居住のプロジェクトになります。
都市と自然、都市とローカル、それらを行き来しながら、人生を豊かにしていこう、というサービスです。

私が所属している三井不動産は、いわゆる都市開発、都心の開発を中心に行ってきた会社です。ただ、個人的には都市開発の限界も感じているし、ローカルの面白さ、自然の豊かさ、というものにも強く惹かれてます。

都市に住んでいる人たちがどこか心の中で追い求めている、理想のライフスタイルって、都市の利便性も、自然やローカルの良さも、とりこんだものなんじゃないか、と思っています。

そこで、都市開発をメインに行ってきた会社として、ちょっとした内省と反省を込めながら、新しい未来の街づくりを妄想しています。

それがネステート、という三井不動産グループの新規事業です。
今回の協賛を皮切りに、長野エリアでも面白いことを仕掛けていきたいと思っています。みんなでいい借金について、考えましょう!

三井不動産レジデンシャル
ネステート チームリーダー:櫻井

三菱地所は、東京・丸の内を中心として各所でまちづくりを行ってまいりましたが、これまで残念ながら長野県とはご縁の遠い会社でした。

しかしながら、都心偏重のこれまでのビジネスモデルでは限界を感じている中、先般にしなの鉄道さまからのお声がけにより、軽井沢駅前の旧信越本線跡地での開発を検討、推進しております。

長野県が持つ多様なポテンシャルには非常に強い魅力を感じておりますので、このご縁を大事にしたいと思います。

みなさま、一緒に信州全体を盛り上げていきましょう!

三菱地所株式会社
都市開発部 / 友光 達人

https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/03/06_mec240306_karuizawa


【第一部】Huuuuの無謀な経営スタイルを公開

適切な銀行視点を交えるべく、地元の銀行マンもゲストに呼びました

一度で二度おいしい。詰め込みがちな企画力をいかんなく発揮すべく、借金イベントは2つのプログラムで構成しました。一発目は「Huuuuの経営事情を公開する」です。

7期分の売上、人件費、外注費などをまとめた見づらいグラフ

2017年1月に立ち上げてから右肩上がりで売上は伸びているように見えます。運と嗅覚でギリギリこれまでやってこれました。

「外注費もしっかり支払いたいし、社員の給料も毎年2万円ずつあげるぞ!」

と意気込んでいるため、右側の販管費が膨らんでやればやるほどに会社の利益率が減り続けているのが伝わりますでしょうか。正直、雇用なんてせずに一人会社でバリバリやっていた2年目が一番利益が出ていました。

不思議と会社が大きくなると、一人あたりの売上も下がり、謎の中間コストが発生し、経理や労務など社会の仕組みに応えるための費用が増え続けるんですよね……。この不景気な時代に雇用を増やすメリットよりも、もしものリスクの方が高くなっている気がしています。経営者のみんなどう??

【前提】
・取締役4名、社員3名、アルバイト3名
・東京の仕事が7割、長野が3割
・編集の会社は「仕入れ」がない
・Huuuuはオフィス固定費が基本0円
・広告費主体の案件でメディア運用・記事制作をするのが売上の大半を占める
・原価率を外注多めの「5割」、自社稼働多めの「7割」で判断

【独自性】
・東京で稼いだお金は地方で使う
・出張費は極力惜しまないで取り組む
・外注費も頑張って基準値をあげたい
・インボイスも会社全負担でいくことを決意(フリーランスあってこそ)
・最近まで借金は0円だったが、運転資金2000万円を借りたばかり
・トントンビジネスポンポンポンでやっちゃう

数字にシビアな経営者が見たら生ぬるくてヘドが出るかもしれません。会社設立直後からこんなスタンスを示していて、ブレないための経営判断材料にしています。ヒップホップ思想が埋め込まれているため、会社もひとつの表現としてかっこつけたいんですよね。

ことあるごとにこの価値観をスタッフに共有しているため、いまのところ「もっと自社の利益をシビアに求めて、無駄なコストは削減し、おれたちの給料をあげろ!」といった動きは起きていません。それもなんとか売上をキープできているから。売上が極端に下がったら、不安のマドハンドに足を引っ張られるでしょうね。

しかし前述の通り、今のやり方で会社の成長を続けることはできません。そもそも右肩上がりの成長なんて約束は、2024年時点の経済状況を見れば明らかに無理ゲー。

どうしよう?と思った矢先の行動が、地元の銀行で運転資金2000万円を借りることでした。いきなり大きな継続案件の仕事がなくなったとしても、半年から一年ぐらいは耐えられるキャッシュを蓄えて、臆さずに次の一手を打てるようにしました。

会場はHuuuu運営のオフィスコミュニティ「MADO」

具体的な事例を紹介します。Huuuuがメイン業務としているのは、クライアントワークとしての「オウンドメディアの記事制作」です。メディアのコンセプト立案、ロゴ制作、編集部設立、日々の取材・運用まで一気通貫で受けることが多いのは強みでもあります。

取材対象は全国。関係性の中で日々旅をしながら、「なにかのついでに」各メディアの記事を作ることが大半です。そのやり方でなければコスト面でもリソース面でも絶対にまわりません。非効率の極みなので。

現時点での価格設定は…企画出しから現地取材までの交通費、宿代、食費などの経費諸々込みで「1本=25万円〜」がベース。

この見積もりが高いと受け取るか、安いと受け取るか。人それぞれだと思いますが、各項目に概算費用を並べるといかに非効率なことに取り組んでいるのかが伝わるでしょう。

<参考例>
・1泊2日で京都取材
・ライター(東京⇔京都)、編集者(長野⇔京都)、カメラマン(長野⇔京都)の3人稼働
・1本では成立しないため、最低2本は取材する

<費用例>
ライティング代:4万円
カメラマン代:2万円
交通費:6〜8万円
宿泊代:1〜2万円
飲食代:1〜2万円

現地のライターやカメラマンにお願いすることは割合的に3割以下です。自社で日々やりとりしているチームで遠方取材するように意識していて、その理由は現地で遊びながら、阿吽の呼吸でジモコロらしい記事を作らなければいけません。そのためには信頼関係が一番。

本来必要のない足元の写真を撮ったり、目元のアップを撮ったりなど、個性を際立たせるための素材集めはいわゆるメディアのクセみたいなものがあって、ゼロから共有して阿吽で動いてもらうのは時間がかかるんですよね。

土地との関係性、取材先に与える信頼感、次に繋げる現地リサーチの行動を優先することで、結果的に編集コストもコミュニケーションコストも下がります。それぐらいジモコロは難易度が高い。職人仕事ともいえるし、ライター編集者として登る山の標高も高い。関係性のない人にお願いすると、互いに不幸な事故にも繋がりかねない。まぁ、難儀な話ですよね。

山や川に飛び込むのは当たり前、街では深夜まで深酒をする取材スタイル

では改めて上記コストを計算してみましょう。

25万円の予算で少なくとも15万円は使っています。利益率5割を切っていて、一般的に考えたら経営者失格です。編集者が柿次郎 or だんごの社内役員だとしても1日あたりの人件費はそれなりにかかります。

もちろん毎回この計算でやっていたら会社は潰れますが、遊びと仕事をごちゃ混ぜにしたこの時間を大事にすることで、普段離ればなれに働いているチームビルディングの一環にもなりますし、可能なら3本ぐらい取材することも珍しくありません。

近場で1時間取材する行為よりも、複雑で厄介な取材旅の設計力にこそHuuuuが求める稀有な編集者の姿があるんです。外注してたらこのスキルは伸びません。自分たちで全部やるから、特異的な会社に育つ。そう信じています。

とはいえ、「いつまでこのやり方を維持できるんだろうな……」も経営者としての本音です。全部じゃないけど、この方法論で年間200本ぐらい制作してるんですよね。マジでなんで成り立ってるんだろう。不思議すぎる。

まともにお金の計算をしたら生まれない価値が世の中あまりにも多い。金勘定だけしてたら強度の高い仕事はできない。

結論、考え抜いたら負け!!借金もそういうこと!!

オフレコの本番レポートはチラ見せ程度に

はい。というわけで本番のゲストを迎えたイベント『かっこいい借金ってなんだ?』ですが、各事業体のお金まわりはさすがに公開できないため、ぼくが借りたい2億円について話してる写真から始めたいと思います。

前提として伝えたいメッセージはこちら。

・ポジティブな借金の話を公の場でしていきたい
・日本に根付く借金悪の価値観を覆していきたい
・経済成長著しい台湾はお金の話をシェアする文化がある
・20代と接して感じる「お金に対する閉塞感」を柔らかくしたい
・長野県内の若者たちがお金に向き合って、チャレンジする意味合いを考えてもらいたい
・経営者が抱える借金の面白さと怖さを言語化したい
・最終的にチャレンジする人が増えるはず!

イベント企画をした裏目的はこちら。

・Huuuuが今後「借金」をするための布石である
・都市部の商業施設(ハード)が増える一方だが、出店する店舗(ソフト)の教育と数が絶対的に足りていない
・プレイヤーの集客と可視化を目指し、次なる一手のために仲間を集める必要がある
・そのためにはデベロッパー、地元の銀行を巻き込んで、「お金を借りて店を育てる」→「商業施設への出店」の流れを考えたい
・毎月定例開催をして「書籍化(ZINE)」に繋げられたら面白い
・結果、ローカルを含めた経済の渦が生まれるのではないか?

日本ではお金の話を大っぴらに話すことに抵抗感があります。清貧の概念がなぜか大衆に染み渡っているのかもしれません。しかし、僕たちの周りは変わってきています。経営者でも、クリエイターでも、よりよく暮らし働くために、あえてお金の話をシェアしながら、各々の価値観を浮き彫りにするようなコミュニケーションが生まれているんですよね。

株式会社HOTTA 堀田くんの京都で飲食3店舗展開

例えば堀田くんの場合。LAMPで支配人をしていたキャリアから自身で独立し、1店舗目の『IL LAGO』を2017年に立ち上げてからもう6年強経過しています。コロナ禍にあえての攻めの姿勢を見せて、2店舗目『シロトクロ』、3店舗目『mati』までの展開は一年半ぐらいにギュギュッと集約。社会の流れを読んで、理想的な物件と挑戦する機会があれば飛び込む。

その背景には借金の存在がもちろんありました。借金の総額は約5000万円。この数字だけを見ると「おおっ…」となるかもしれません。ここで大事なのは銀行は返せる範囲の金額しか貸してくれないこと。社会的評価と経済的信頼を緻密に計算した上で、「この人なら大丈夫だ」と太鼓判を押された状態でかっこいい借金が爆誕するわけです。

複数店舗の経営は社員・スタッフの確保が欠かせません。あとは地代家賃をいかに安く設定できるか。この点、堀田くんは持ち前の朗らかな愛されキャラクターを武器にしながら、B面の慎重で情報収集を欠かさない京都人としての顔を使い分けて、きちんと人材を確保し、確かな利益構造を作っていました。誰もが真似のできることではない。

京都の飲食激戦区の中で独自の立ち位置を見出して、変数の高い立ち飲みスタイルで人を惹きつけられるのは、堀田くんのキャラクターそのものがビジネスになっていると解釈しました。

酒好きのさびしんぼは堀田くんの店に吸い込まれる。ダイソンみたいな吸引力こそがかっこいい借金の源であり、次の一手に対して迷わず飛び込める自信につながっているのかもしれません。

以下、店舗毎のコンセプトを紹介してもらいました。

1店舗目:ILLAGO(イルラーゴ)
①大人の酒飲みが溜まれる場所
②良い大人と交差して関係性を作る
③街なかの止まり木的存在
④移住者が一人でも行きやすい場所作り
⑤使い勝手の良い店作り / 一緒に店をやる友達作り / 新しい価値観の創造

2店舗目:シロトクロ
①コロナ禍における新業態挑戦
②気軽にナチュラルワインが飲める
③串揚げとワインの組み合わせ提案
④会館文化を育てる
⑤単価をあげる

3店舗目:mati
①街なかを外れた場所での挑戦
②パンとワインという新業態
③ビルごと借り上げ、多業種で運営
④昼飲み需要へのアプローチ
⑤出店の可能性を広げる

10年以上前、堀田くんが上京した初日に前職「株式会社LIG」のオフィスでたまたま出会ったのがきっかけなんですけど、気づいたら立派な飲食店オーナーになっていて「人生〜」となりますよね。初対面でいきなり「来週、千葉の映画館でゼロ・グラビティ観に行くんだけど、一緒に行かない?」と誘って良かったです。そりゃ応援したくなる。


LAMP株式会社 マメくんのピュアな経営借金

続いてLAMPのマメくん。10年前に出会ったときはフリーの出張料理人みたいな感じだったんですが、私が企画したイベントで実家がLAMPの吉原ゴウくんと出会ってしまって、2週間後には信濃町に移住してました。決断の速度がいつも早すぎる人間です。

「マメくん、◯◯したいんd…」
「いいよ」

なにか相談したときは食い気味に「いいよ」と肯定してくれるのは、特殊な環境で育ったからだと勝手に解釈しています。

①事業継続
②ピュアな経営判断
③常に何かを作り続ける
④村づくり
⑤唯一無二になる

マメくんのLAMP経営の目的

気づけばLAMPの代表取締役になっていたマメくんですが、そもそもLAMPの前身であるアウトドアスクール&ペンション『サンデープラニング』は、前述の吉原ゴウくんのお父さんが始めた事業です。

数十年が経って時代の変化とともにバブルで隆盛を誇った別荘カルチャー、観光ブームは過ぎ去って、事業体としてのテコ入れが急務となっていました。

そこで白羽の矢を立てられたのが長男である吉原ゴウくん。彼と私は14年ぐらいの付き合いで、『サンデープランニング』時代に遊びに行っていた仲ですし、当時代表だったLIGにも出入りしていて内部事情にめちゃ詳しい。ゲストハウスの流れに沿ったリニューアル事業『LAMP』は、私がいま信濃町に移り住んでいる理由のひとつでもあります。

そこからざっくり7年。堀田くん時代を経て、いろいろあって、マジでいろいろあって(省略)。代表自体もLAMPの古株であるマメくんに権限譲渡したわけですが、家族と会社のしがらみを乗り越えて、ピュアでクリーンな経営に徹するべく、マメくんは大きな借金を主体的に背負いました。


左からいたるくん、べべ、小野ちゃん


野田クラクションべべーが立ち上げたアウトドア作な『The sauna』がオフシーズンの冬場に大事な収益をあげてくれていて、5棟目のサウナ、Earthboatの宿事業など、野尻湖に大きな経済圏を生んでいて、今こそ攻めの姿勢を崩してはいけないのでしょう。

20代の若者たちがその文化と信濃町の自然に憧れて移住してきていて、そのまま家族で根づいて赤ちゃん爆誕の嬉しい悲鳴も。地域の課題をぜんぶ解決しちゃうんじゃないの?ってぐらいに経済的利益は人と土地を潤すんですよね。

ハードと土地、人件費的な投資はリアル事業の醍醐味。マメくんは社長として銀行を駆け回り、サウナ事業の社会的認知も後押しして、顔つきと言葉の角度がグッと変わるぐらいの領域に足を踏み入れました。

その金額は……

2億円!!!!!!
「パチパチパチパチ……(大きな拍手)」

岡住くんが口にしていた私の憧れでもある2億円プレイヤーです。

実際、会場が「おおっ…」とどよめきました。

もちろん金額に応じた覇気は存在するかもしれませんが、家業として代々事業を継いできたパターンの借金と初代で借り入れしている借金の性質もまた違います。一次産業に近づくほどにハードや機械の投資が不可欠ですし、自分の代で回収しきれない前提のホテル・宿事業の話も耳にします。

金額の多寡ではなく、事業の性質に応じていかにチャレンジしているか。そこには経営者だけが掴み取っている勝算があるはずなんですよね。そして返せる見込みのある事業にしか基本的に銀行はお金を貸しません。

アメリカで起きた『サブプライムローン(有良客=プライム層よりも下位の層に対して貸し付けられるローン)』を描いた映画『マネー・ショート 華麗なる逆転』では、片田舎のマイホーム融資の契約者名義が犬だったなんてエピソードもありました。どんだけザルなのよ。そりゃ破綻する。

少なくとも私自身が経験した長野県の銀行マンの対応は、会社の決済書を読み解いて、事業の安定性や可能性に対して融資の金額を決めています。なんの事業計画もないのに「2億円借りれますか?」と聞いたら「無理です」と言われたので、そりゃそうだなと。

ただし、2000万円は運転資金として借りることに成功しました。MADOが500万円、夜風が400万円。Huuuuとしてはざっと3000万円未満なのが現状であり、2億円と無理やり比較したらなぜか小物感が漂うのは気のせいでしょうか? この感覚は今後、借金イベントをやる上での足かせになる気がしてなりません。

ただし…

冒頭の言葉はマメくんの視点

この価値観に従えば、マメくんが背負った2億円の覇気は間違いなくあります。LAMPを継いで借金を背負ってからというもの、マメくんの経営者の素質が花開いたといってもいい。口癖のように話していた「ピュアであるかどうか」の言葉、そして「いいやつかどうか」で人を見る美学は、清濁併せ呑んだ膨大な思考回数から生まれたものでしょう。

昔からずっと「顔が怖いって言われるんだよね」って言っていたので、顔の強さと覇気はまた別なのかもしれません。

4月18日(木)「春の借金祭り」開催決定@長野市

canvaで自ら作りました

タイトル:2024 春の借金祭り 〜飲食事業を背負う〜
日時:2024年4月18日(木)  / 18時開場 19時開演(21時終了予定)
場所:長野市「R-DEPOT 1F カフェスペース」

●スペシャルゲスト

・秋田の借金王:岡住修兵(稲とアガベ)/ X(Twitter)
・食品加工の借金王子:井上豪希(
TETOTETO)/ X(Twitter)
・愛知の借金醸造226年:伊東優(
敷嶋)/ X(Twitter)

そして第二弾やります。詳細はこちらから!

さいごに

提供:FOLK FOLK INC. 東山みちや

本プロジェクトは全国のローカルで借金を背負って、文化や雇用を生んでいる経営者、事業者、店主たちの「背中」を見せていくものです。実際、借金スウェットをみんなに買ってもらって、上記のような写真を集めています。

みんな笑ってるけど、背負ってるのよ。会社もお店も家族も文化も社員もぜーーーーんぶ。このスウェットがあれば気持ちよくかっこよく借金の話ができるようになるので、全国47都道府県に広げていきます。ブランドも立ち上げて実店舗を出すぐらいの勢いです押忍!


1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!