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人生初の「最終回」を迎えた感情と生放送ラジオのおもしろさ

約1年続けてきた長野のSBCラジオ生放送『やってこ!久野柿次郎』ですが、9月28日(月)放送で最終回を迎えました!

番組のきっかけは「長野でラジオやりたいんですよね〜」とTBS の番組『Dooo』でお世話になっている池田さんに相談したことです。

早速、系列局のSBC信越放送に連絡をしてくれた池田さんの鶴の一言で、ラクダみたいにまつ毛の長いおじさん(笠原さん、ありがとうございました!)と何度も打ち合わせを重ねて実現に至りました。準備で半年ぐらい。番組編成に合わせて月曜19時〜生放送の枠を用意してくれたんですよね。いや、言ってみるもんだな〜〜!


生放送の進行とむずかしさ

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当初は収録でやるもんだと思いこんでいました。全国各地を取材するのが主なお仕事。特に土日は予定が埋まりがちで、そのまま月曜までずれこむことも珍しくありません。そもそもラジオやりたいと言っておきなが、大阪時代から生粋のテレビっ子でラジオ文化にはあまり馴染みがない。

「柿次郎さん、ラジオは生放送が一番おもしろいんです」

まつ毛の長いおじさんにこんなことを言われて「そうなんですね!?」と信じ込み、慣れない生放送を繰り返し続けるうちにその意味がわかってきました。

事前の打ち合わせから本番へ切り替えるスイッチ。フリートークとコーナーを切り替えつつ、いかにリスナーを飽きさせないか。メールやFAX、ツイッターなど、リアルタイムで反応を得られる相互コミュニケーションの妙。一体感が生まれるように番組は作られている。ある種の即興演劇というか。番組の出来不出来にムラがあるのも面白い要素な気がしてなりません。

はじめて数ヶ月は慣れない進行に神経をごっそり持っていかれて、とてつもなく疲れた記憶があります。それもそのはず。いくつかのコーナーはあるものの、素人のくせにヒップホップ憧れなフリースタイルトークに挑み続けていました。その場その場でテーマを考えて数分の生放送枠に合わせて話す。この繰り返しは思いのほかエネルギーが必要で、二日酔いの髪パッサパサな状態で挑んだ収録後は3年分老け込んでいました。

準備は大事だけれど、準備が向いていない生活と性質はいかんともしがたいですね。


アナウンサー久野大地との掛け合い

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番組の相方はSBCアナウンサーの久野大地ことダイッチー。未来志向と野心あふれる姿に「バカポジティブやん」と突っ込んだところから、彼のキャラクターが固まっていきました。

ニュースの読み上げ、スポーツ実況、グルメレポート、過酷なロケまで、ローカル局のアナウンサー仕事は幅広い。ただしこのラジオでは彼のパーソナリティー、素の部分をいかに引き出すかが求められていました。

常に全力投球。手元のノートのメモはびっしり用意されていて、私とは真逆の真面目さ(長野的!)。ドSの松井ディレクターに可哀想なぐらいイジられていましたが、これも先輩の愛なんだなと途中から楽しむ側にまわっていきました。

私のせいで生まれたフリースタイルトークバトルでは、鉛筆を転がして即興で3分のトークを展開。何も知らされていない無理難題のテーマで空回りを繰り返し、その狼狽する姿をリスナーに晒し続けました。スマートなアナウンサー像を壊し続けることによって、聞き手は応援する側に変容していく…。恐ろしい策略です。

私とキャラクターが真逆すぎるダイッチー。打ち解けてアイコンタクトで番組を展開できるようになるまで正直時間はかかりましたが、自由奔放に話すことができたのは彼の司会進行力の賜物です。大きな身体に進行を預けて、場を乱すような発言を投げ入れる。その気持ちよさがこの番組の根っこになっていたんじゃないかなと思います。

一緒に番組を始めてから、昼間や夕方の別番組で彼の姿を見かけるたびに「お、久野ちゃんだ。テレビで見ると痩せていてかっこいい!」と感じるようになりました。SBCアナウンサーの推しエースだと思うので、今後も甘噛みのわがままボディをテレビで楽しみたいです。

久野ちゃん、一年間お疲れ様でした!!


人生初の「最終回」の体験

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基本メディアの編集仕事をやってきたので、「メディアの閉鎖」経験はあっても、「番組の最終回」経験はありませんでした。一年でラジオが終わるのは寂しいけれど、番組表の「終」の文字を見てグッときたのは正直な感覚です。

毎週月曜日18時過ぎ、ラジオ局に入って2〜3時間話す。その繰り返しを42回やってきました。途中、コロナの影響で自宅出演や外せない地方出張で電話出演したこともあったけれど、あちこち飛び回ってしまう病を抱えた私にとっては”長野にいる強い理由”を与えてくれたのも事実。月曜日のスケジュールは必ず長野であることが、精神衛生上すごく良かった気がします。

コロナの最中で唯一、外との接点を持てた仕事も『やってこ!久野柿次郎』でした。続けることで新しい価値を見出すことができるんだなぁと、改めてこの一年の経験に感謝しています。

収録後に録っていたpodcastはそのままウェブ上にアーカイヴされるはずなので、よかったら暇な時に聞いてみてください。本番よりも盛り上がった回がちょくちょくあります。


毎週木曜13時10分〜「10分コーナー 根本柿次郎」スタート

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SBCラジオさんの温情(?)で10月1日(木)13時〜放送の新番組『ミックスプラス』の木曜担当:根本豊さんの枠で10分コーナーを持たせてもらうことになりました!

しかもコーナー名は「根本柿次郎」で、これまでの語ってこ!的な話をする予定です。ディレクターから好きなヒップホップの曲をがんがんかけてくれと言われているので鬼の「小名浜」ばかり選曲したいと思います。

根本さんは寺山修司率いる演劇実験室「天井桟敷」で俳優・演出家として活躍した方。震災きっかけで福島県から長野県に移住してきた経歴があって、実はバリバリの思想おじさんじゃないかと睨んでいます。先輩の肩をがんがんに借りて、長野でのラジオ活動に勤しんでいくぞ〜〜。


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徳谷 柿次郎
1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!