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こんな時代だから。市民農園を年額2000円で借りた

昨日、Next Commons Labの林篤志さんたちと「日本と台湾の文化」についてラジオ配信をした。全国各地で100以上のプロジェクトを同時並走している林さんがポロっと口にした「人間の悩みを人間が解決することの限界に気づいた。自然と向き合うことで大半の悩みは解消されるんじゃないか」という言葉が深く残っている。

これは前回のnoteで触れたC.Wニコル×養老孟司の対談本『身体を忘れた日本人』でも同じ考え方が触れられていて、そうそうそう!そうなんだよ!絶対にそうなんだよ!と膝をポンポン激しく打った。

幸い長野の自宅には小さな庭があって、土がある。すっかり園芸おじさんとしての喜びに目覚め始めているし、夢中になって雑草を抜いているだけで気持ちがカラッと晴れる。クワで無駄に土を掘り起こしたら「おれは農耕民族だ!コロナこのやろう!」というストレス発散とともに両肩がくわっと開いて肩こりの軽減にもなる。これが自然と向き合うこと…?

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そんな矢先に「長野市 農園 借りる」でキーワード検索したら、市民農園のページを発見。しかも翌週に「公民館で抽選を行います」と書かれているじゃないか。

シンカイ店長のユウくんに「シンカイファームを作ろう!おれたちの畑だ!自分たちで食べる野菜を作って、残りは売ろうよ」と連絡した結果、近所の競争率の高い農園(なんと4倍!)を運良くゲットすることができた。しかも年額2000円の破格!ラッキー!

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小さな畑だけど、言い方を変えると自分たちで好きなように掘り起こしたり、植えたりできる「自由な土」を得たようなもの。農耕民族の日本人は普通に自由な土が身近にあったんだろうけど、いつしかアスファルトやコンクリートに囲まれた暮らしに意識を奪われていた気もするな。実際、庭があると春から梅雨にかけての雑草の成長具合に辟易するし、そりゃアスファルト舗装したほうが管理しやすいとも思う。

植物ってめちゃめちゃ強いし、生存本能としての在り方がとてもシンプルだ。生き物と植物と土。大きく見れば海と山によって日本列島の文化は形成されているし、自然豊かな四季だって同じだ。春夏秋冬の季節だけで自然を捉えるのではなく、土という舞台を通して日々の変化を感じ取る。それは人間の得意技なんじゃないかな。

漠然とプランターでバジルやネギを育てていたけれど、いざ畑の土から野菜を作るとなると勝手が違う。上記の本を買って読んだら、知らないことの宝石箱でワクワクが止まらなかった。

庭に地獄草とも呼ばれるスギナが大量発生していたのは土が酸性に寄っているからだとか。スギナとつくしは一緒だったとか(つくし生えて喜んでたのに!)。著者によると土作りは「発酵油かす」と「バーク堆肥」だけでOKだとか。解像度が急に上がった結果、コメリや綿半などのホームセンターに立ち寄ったときのテンションも別物になった。見えないものが見えるようになったともいえる。

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シンカイを2年前に始めてから、長野の若者たちと接点が増えた。勝手に友だちだと思っているし、なにかあったら支え合う仲間だとも思っている。好奇心と目の前のことに取り組む姿勢は、37歳の小おじさんも、20歳の大学生だって変わらない。一緒に楽しくやってこだ。

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シンカイは店舗の体裁を取りながらも、そんな仲間たちとの公共施設の側面もある。好きにこの場を通して、好きになにかを作る。シンカイ初代店長のナカノちゃん、その旦那のユウくんが現店長。足を運ぶたびに景色と空気が変わっている。三ヶ月前、二人の間に新しい命が誕生した。

シンカイベイビー。

彼の未来のために何ができるのか。そんな気持ちが少しずつ湧いてきている。まずはナカノちゃん、ユウくんたちと共に年額2000円のシンカイファームにチャレンジする。そこで培った知恵や技術を渡していきつつ、野菜に困らない暮らしを作り上げることができたのなら、それはめぐりめぐってシンカイベイビーに還元されるはず。大変な時代に突入しちゃったけれど、手の届く範囲での幸せは自分たちで作っていくのがよっぽど人間らしい。

良い土と前向きな気持ちを耕していこっ!


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https://shinkai.theshop.jp/

シンカイベイビーのおむつ代を作るためにシンカイECショップを作りました。コロナ関係なく、ずっと赤字だけど良かったら覗いてみてください。なかなか癖のある商品ラインナップです。

1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!