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“子どもの「できた!」を増やす専門家”作業療法士7人によるリレーコラム #03|じっと座っていられないお子さんへ

皆様、こんにちは!作業療法士の原田といいます。福永先生からバトンを受け、「じっと座っていられないお子さんへ」というテーマでお話しします。

前回の福永先生のお話を引き継ぐと、「ずっと座っていなくてもできればOK!」という視点から、途中でうまく発散しながらやる気を持続させることは有効です。一方で、じっと座ることが求められる場面もあるかと思います。そんな時、作業療法士は「お子さんが座っていられない理由はなんだろう?」と分析し、対応を工夫します。今回は、僕が今まで会った「座っていることが苦手なお子さん」を紹介します。

①とにかく動きたいA君

小学1年生のA君は勉強中に椅子をガタガタさせてよく怒られる子でした。様子をよく見ると、頻繁に姿勢を変えたり貧乏ゆすりをしたりとにかく動きたい様子でした。円盤状のバランスクッションを座面に敷いてもらうと、ガタガタはピタリとやみました。椅子を傾けなくても、適度に揺れたり刺激を得られるのが良かったみたいです。

②ほめられると頑張れるB君

保育園年中のB君は食事中によく立ち歩いて困ると相談された子でした。お母さんには、立ち歩いてから叱るのではなく、ちゃんと座れている時にしっかりほめてもらうようにしました。しばらくして立ち歩くことは減り、ほめられることを期待して母の方を見るようになったそうです。微笑ましい…笑。私たちはつい悪い行動を叱ってしまいがちですが、良い行動をほめることが効果的であることは、応用行動分析学という学問でも証明されています。

③終わりがわかるといいCさん

小学2年生のCさんは、行事の時に座っていることが苦痛で調子を崩すそうです。普段、学校の授業や家で宿題をしている時は落ち着いて集中できているので、『いつまで座っていればいいのかわからない状況』が苦手だと考えました。タイマーや時計であらかじめ『終わりの時間』を伝えておくと、調子を崩しにくくなりました。

私たち作業療法士は、お子さんひとりひとりの様子から特徴を分析することで、お子さんが能力を発揮するための工夫や視点を提供できます。次回は西井先生より、「読むことが苦手なお子さんへ」と題して、読む力を伸ばしていくための工夫などを紹介していただきます。お楽しみに!

文・京都橘大学作業療法学科
原田瞬