今日は何もできなかったので僕の即興の小説を投稿したいと思います「芸術」

 私は芸術がわからない。芸術という二文字の熟語であらわされる言葉の意味が分からない。……はぁ。また心の中で呟いた。この癖がどうも治らない。私は心の中で呟く癖がある。どんな時でも関係なくいつの間にか呟いてしまう。それがたとえ「今話題沸騰中の超新星画家!」と称される人の作品の前でも。

(何だろう…?この絵…ウネウネしてて気持ち悪い。つまらないな、もう帰ろう…あれ?何回目だろうこの感じ)

私は‘‘超新星画家‘‘の絵を前に感情がグチャグチャとかき混ぜられるような感覚を覚え、期待外れだったと肩を落としてトボトボとその場を去る。今日もつまらなかった。ただただ自分の自己満足のために描いてる絵だった。気持ち悪い。自己満足がなぜこんな大々的に飾られてしまうんだ?…っていけない、いけない。師匠から「人の作品の評価は綺麗な部分を見る」って教えられてたんだった。こっからは心のお口をチャックしよう。私はそう心の中で呟くと、深く呼吸をしてキュッと息を止めてから走り出した。この無呼吸運動の間に私は交差点付近に向かい、タクシーを止め、乗り込んで再び呼吸をする。

「ふぅ。紙一重町六丁目まで」

「了解しました。」

この広い現代社会の中で、人々は必要以上の会話をあまりしようとしない。今のタクシー運転手との会話がいい例だ。やっぱりこの世界は美しくない。グレイー一色にベタっと塗られただけのおかしなキャンパスだ。



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