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父がくれた再会

2024年、最初の土曜日。
第2弟が付き合ってくれると言うので少し遠出をして、
両親を連れて海辺の神社に行くことにしました。


その神社は景観はいいのですが、
高齢者には不向きです。
足の悪い母のために車椅子を持っていきました。

しかし
海辺に降りるコンクリートの道はかなりの傾斜で
きっと車椅子は暴走して転倒するのがオチ。

仕方ないので、母は手すりを握りしめ
後ろ向きでのそりのそりと降りることにしました。

万が一、母が滑って転んでもいいように
私が先に立ち、受け止める体制をとったものの
実際に落ちてきたら、ひとたまりもないだろうと
陽気のせいか緊張のせいか分からない
季節外れの汗をかきつつなんとか浜辺まで降りました。

やれやれ。( ´ー`)フゥー...

次の難所は砂です。
足場の悪いこと、悪いこと。

ふたりでバランスを取りながら
ゆっくりゆっくり歩いているのに
父はヨタヨタしながらも、一人でさっさと歩いていきます。

さらに
手すりのない不揃いの石の階段を登り始めました。
そして
登りきったかと思った瞬間
ころん。

足を滑らせたのか、左の方に倒れ込みました。
上がりきった階段の横は柵も何もなく
そのまま後ろを向いたら、1メートルぐらい
落ちてしまいます。

私は大声で、弟に向かって
父の元に行くように叫んだのですが、
弟はびっくりしたのか、状況が掴めないのか
さっと動きません。

私は落ちるんじゃないかと心配で心配で。
その数秒間の長いこと。

幸い、動き始めた弟に抱き抱えられて
大事には至らなかったのですが。
久しぶりに肝が冷えました。
寿命が数日は縮んだと思われます。

近くに座らせ
「どこも打たなかった?
 痛いところはない?」と聞いていると

後ろから
「柿葉??」と私の名を呼ぶ声が。

振り向くと
何十年ぶりかに会う看護学校時代の同級生。
「えー、◯◯???」
思わず、その場でハグ。

もう父ちゃん、そっちのけ。

聞くと彼女は障害者支援施設に勤務しており
今日は子どもたちをここに連れてきたと言います。
「本当は違うところの予定だったんだけど
 いい天気だから、遠出をしてみたの」と。

周りには私たちと彼女たちしかいません。

父が転ばなければ、行き違いになって
きっとお互いの存在に気づかなかったでしょう。

そう思うと
「父ちゃん、ありがとう」と心のなかで感謝。

二人で写真を撮って
同窓会のグループLINEに送って
「奇跡的な再会」の様子を伝えると
みんなから
「タイムスリップしたみたい」
「あの頃とちっとも変わらないね」
と、ひととき、わちゃわちゃ。

心の片隅で
「そんな40年も経って変わらないわけはない。
 変わんないように見えるのは
 あなたにも同じ40年の時間が降り注いでいるから」
と思いましたが、そこは
口に出さずに、そっと胸の奥にしまい込んだのでした。


年を取ると
運動後の筋肉痛は数日経ってからやってきますが
擦過傷の痛みも似たようなものなのでしょうか。
父が「膝が痛い……」と言ったのは2日後。
えー、今頃???

写っているのは知らない方です。(笑)


***


タイトル画像は”戸鞠ともる”さんにお借りしました。


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#ときどきnote #日々雑感 #奇跡の再会 #落ちなくてよかった

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