ドクヘリに乗る
ゴールデンウィーク。
いろいろたまっていたお祝いをまとめてやることになった。
兄弟だけ、最少人数で。
窓を全開にすると初夏の風が吹き抜けていく。
少し肌寒いぐらい。
弟に会うのはいつぶりだろう。
ひとしきり、美味しい昼食に舌鼓。
90の父だけ、せっかくのお祝いだからとビールを開けていた。
いつ死んでもいいけど、あと5年ぐらいは生きててもいいかな、と笑いながら。
食事が終わって、父は弟と畑に出た。
ひ孫が大好きな野菜を植えるための準備。
弟から素っ頓狂な電話があったのは、それからしばらくしたあと。
「姉さん、救急車。父さんがおかしい‼️」
駆けつけると呂律が回らず、左半身がだらりとしている。
完璧に、脳卒中だ❗️
119番通報をして、状態を報告する。
脳卒中と思われるため、t-PAモード(患者到着前から専用診療態勢可能)の病院へ搬送をお願いした。
救急隊のやりとりを祈るような気持ちで聞いていた。
そして「ヘリが飛びます。」との回答を得た。
できるだけはやく血栓を取り除きたい。
時計を見る。急げ、急げ。心の中で叫ぶ。
ランデブーポイントは近くの小学校の校庭。
救急車到着時にはもうドクヘリはついていた。
降りてきたのは顔見知りの医師と看護師。
頭を深々と下げる。
家族一人なら搭乗可能とのこと。
迷わず乗り込む。
そして、父とともに大空へ舞いあがった。
タイトル画像は”カオリ”さんにお借りしました。
地上からみたらこんな空を飛んでいたと思う。
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