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#16ぶどう山椒の夜明け「次世代プレイヤーの確保に向けて」

ぶどう山椒産地の農家平均年齢は81歳と高齢で、ほとんどの農家が後継者を確保できずにいるため、数年先には産地が消滅してしまう恐れがあります。

古くは平安期から栽培され、朝廷にも献上されていた山椒。産地を未来へつなぐべく、次世代の担い手確保に奔走する有田川町役場の中西 さゆりさん、川口 雄大(ゆうた)さんにお話しを伺いました。 

「就農者を増やすことは急務だが、就農に至るまで相応の準備期間が必要」と川口さん。果樹である山椒は、苗木の定植から収入が得られるまで5年以上の期間を要し、就農直後の収入が障壁になるのだとか。なかでも、理想の就農ケースは離農する既存農家の園地を樹ごと引き継ぎ、1年目から収入が得られることだそうですが、技術が充分でない就農者に貸して手がつくことはごく稀だと続けます。挑戦したい就農者と新規参入者に農地を貸すことを懸念する既存農家とのギャップをいかに埋めていくかが、産地継続の課題だそうです。


解決に向けて同町は、就農者を産地のプロ農家が研修生として迎え入れ、栽培技術を学ぶ場の提供、独立に向けた農地斡旋等の協力ができる体制を2021年に整備されました。このことから、独立までの道筋を明確に示すことができるようになり、5年前は皆無だった就農相談が徐々に増え、今後、次世代を担うプレーヤーの誕生が期待されます。

中西さんは「先人がつないだ歴史ある産地で、他には真似できない価値がある。私たちの立場からできることを続けたい」と語ってくれました。

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