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絶対に失敗しないはずだった個人開発で失敗した話

ここ最近ずっと「好きなこと」や「やりたいこと」みたいなことを発信しているが、なんでこんなに「好きなこと」や「やりたいこと」について考えるようになったかというと、個人開発「カケダシ」の失敗からきている。

昨年あたりまでやっていた、サービス志向エンジニアのためのオンラインサロンで「失敗しないサービスづくり」というプロジェクトをオーナーとして立ち上げて、とにかく先行研究をした。アイデアをどのように考えたらいいか、どのように競争優位を作るかなどについてめちゃくちゃ調べてアウトプットしまくった。

そうして、自分の中で完璧と思えるビジネスモデルを組み立てたのが「カケダシ」だった。(補足: IT企業への就職を目指してプログラミングの学習をしているユーザーのための学習習慣化サービス)

「カケダシ」のビジネスモデルはこうだ。

ユーザーに日々の学習をふりかえるための日報を書いてもらうのだが、それをシェアし合う仕組みを取り入れることで学習の継続をサポートする。そして、その日報データをもとにIT企業との転職マッチングを行い、転職が成功したときに企業側から成果報酬を貰う。
転職実績が増えるほどユーザーが増え、ユーザーが増えると転職実績が増えるしといった構想だった。
全てがうまくいく計算だった。だけど上手くいかなかった。今になってわかるのは、ひとつだけ「失敗しないサービスづくり」で見落としていた要素があったということだ。それが「価値観」だ。つまり、「カケダシ」の価値観が自分の価値観と合致してなかった。だから、熱量がだんだんと小さくなっていってしまった。よくわからない話だと思うが、俺は「IT企業への転職を支援するサービス」を作りながら、「IT企業への転職を支援したい」と思ってなかった。

思えば自分自身がフリーランスであるように「会社の看板に頼らずに働く」みたいなのが好きな価値観だし、今の時代インターネットを使えば就職をしなくても自由に働けるんじゃないかと思ってるし、そういう自由な働き方がもっと増えればいいなと思っている。
そんな独立志向で、一度も正社員として働いたことのない自分が、正社員としての求職を支援することにモチベーションが湧かないというのは今になって思えば当たり前なのだが、当時はそんなことに全く気づかなかった。

そして、だんだん気が落ちていった。自分でサービスを作ったしても、成長のための努力を怠ってしまう自分が嫌になり、自分がどうしようもないクソみたいな人間なんだと自分を責めることしか出来なかった。

それから時間をかけて自分の現状を客観的にみられるようになっていった。自分と向き合う時間が増えた。つい考えてしまうことや、つい気にしてしまうこと、純粋にやってみたいことなどを認知して、それを「お金が儲かるかどうか」は一旦無視してでもやってみようという気持ちになってきて、今に至る。
おかげで、自分の好きな世界観や、自分の好きな人たち、自分が本当に欲しいもの、自分の興味関心分野についての理解を深めるいい機会となった。

この物語の悲劇の元凶は、「失敗しないサービスづくり」言い換えれば「成功するサービスづくり」の「成功」が「利益」という画一的なゴールに限定されてしまっていたことにあると思う。なぜなら、結果論なのだが自分には「お金になる」とわかっててもそのサービスをやる意味が自分の中にちゃんと落とし込めていなければ、行動に伴っていかない性質があったからだ。そしてこれは俺だけじゃなくて、他の人にも当てはまる話かもしれない。

お金のためだけに動けない人であるほど「利益」のためだけにあらゆる娯楽の誘惑に勝って泥臭い作業をやり続けることは難しい。とくに自分がオーナーシップを持つ「個人開発」や「起業」においては、なおさらそれをやる「意味」からちゃんと向き合わなければ頓挫してしまうだろうと思う。
だから、「お金」起点ではなく、自分の中にある活力源をベースに仕事を組み立てていくことに強く関心があるし、それこそが自分の好きな世界観なのだ。

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