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発達特性への関わり方ーADHDと注意・集中の話ー


「落ち着きがない」「忘れ物が多い」

などといった困りごとが生じるイメージのある
注意欠如多動症(ADHD)ですが、
ADHDの特徴のひとつに「注意の移り変わりの早さ」もあります。

ひとつのことに集中できず、ケアレスミスが多発してしまうのは、
ADHDの特性からくるものです。
その一方で、
興味を持ったことに対する「過集中」が認められることも知られています。

一見正反対に見える性質が同居するADHDの子どもに対して、
どのように関わっていけばいいのでしょうか。
皆さんは、疑問を抱いたことはありませんか?

今回のカケルとミチルnoteでは、
こうした声を保護者や支援者から頻繁に聞いている中で、
専門家によるわかりやすい解説を
困っている多くの人にも届けたいと感じたため、記事としてまとめてみました。


車にたとえて考えてみましょう

「注意の移り変わりの早さ」「過集中」は、
車にたとえて
「アクセルの踏み方」あるいは「アクセルのタイミング」
の問題として考えることができます。
何かに注意を向けて、集中し「頭を使う」ことは、
車の運転でたとえると「アクセルを踏んで速度をあげること」にあたります。
ADHDの子は、その特性上、目の前に現れる刺激に対して
すぐに反応してアクセルを踏んでしまうため、
どこにゴールがあるのかわからなくなったり
無駄なガソリン消費エンストを起こしてしまったりすることが
しょっちゅう起きてしまいます。

前に進むことが困難にならないために重要なことは、
本人に「イメージしやすいゴール像」を抱かせることや、
無事にゴールできたという「成功体験」を積ませることです。
これらを達成するためには、
周囲から余計な刺激を取り除き、
「自分の走るべきコース」に集中できるよう環境を整えることや、
燃費の悪さの理解、エンストを起こした時の対処法を適切に伝えること、
などが必要になります。

また、このような環境調整や対処法を習得するために
「みんなと同じコース」を走る必要はありません。
無理に「みんなと同じコース」を走ることで、
むしろ「自分が遅れている」と感じてしまい
「近道」や「ズル」を覚えてしまう子も多い印象です。

自分の進むべき道がどこにあるのか、
迷っている最中は本人も周囲も焦り不安をおぼえることが多くなります。
しかし、運転の方法が見えてくれば
次第に安心して「道なき道」を走らせることができるはずです。

一人ひとりのアクセルとブレーキの使い方をよく見ることで、
日々の関わりに活かしてみてください。


NPO法人カケルとミチル

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