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カケラジ#1 子どもたちとどう向き合う?:コミュニケーションは命がけ!?

この記事は、YouTubeチャンネル「カケルとミチル」で2020.12.23に配信した「カケミチラジオ#1」の内容を抜粋しまとめたものです。

ーー学校現場の現状は?

子どもの精神科医をしていると学校の先生と話す機会もありますが、本当に大変そうで、よくやってくれているなと思います。ただ、子どものためにやりたいことがあっても、いろんな事情でできないこともあるんですよね。子どもや親御さんと本当に目指したい方向は一緒のはずなのに、なんだか違うことになってしまったりとか、そういう食い違いみたいなものはあると思います。

ーー中学生の頃、仲の良い友人が担任の先生とそりが合わず、友人も先生も大変そうでした。思春期って、大人でも子供でもない不安定さがあるものなんでしょうか?

大人になりたい自分となりたくない自分、なんでもできちゃいそうな自分とやっぱり怖いと思う自分、色んな自分を抱えて葛藤している部分はありますよね。そうした中で、先生たちもどう接していいか分からなかったり、親御さんなども腫れ物に触るようにしてしまったりすることはあると思いますね。

この「腫れもの扱い」というのが難しい問題で、一番コミュニケーションエラーが出ちゃうんですよね。実はこういう時って、意外と登場人物はみんな優しいことが多くて、お母さんもお父さんも学校の先生も、皆なんとかしてあげたいと思っているんですよ。でも、「触れちゃうとなんか変な方向に行っちゃうんじゃないかしら」とか、逆に「ここで強引にいかないともっと悪い方にいっちゃうんじゃないか」と心配になったりとか、そういう不安が強くなっちゃうと、子供とケンカになるか、もしくは全然関わらないかという極端な状態になってしまう。こういうせめぎあいがよくあるんですよね。

ーーどう関わればいいかというのは正解がなさそうですしね

関わり方に正解がないからこそ、みんな不安で一歩を踏み出すのが難しいんですよね。

コミュニケーションって誰かが口火を切ったりとか、タイミングをはかって何か行動を起こしたりしないと、なかなか弾まないんですよ。

私、以前にこんなツイートをしたことがありました。

そもそもコミュニケーションの本来の役割って「敵か味方か」の確認作業だったはずなんですけど、人間はそこからどんどん言葉や文字を発展させていって、複雑な関わり方ができるようになったんですよね。言葉というのは人間の大きな発明の一つですけれど、それをどう取り扱っていくのかというのは難しいと思います。

精神科医というのは、その複雑な言葉を取り扱い、生業にする仕事です。本当は患者さんやその周りの人に対しても言葉の難しさや使い方、コミュニケーションの取り方などを話していかなければいけないんですけれど、なかなか診療に長く時間をかけづらい現状もあって、そういう問題を真正面から話す時間が取れないというのは私たちの課題でもありますね。

カケミチラジオ(YouTubeチャンネル「カケルとミチル」)「生きづらさ」「育てづらさ」などをテーマにoktk@筋トレ/児童精神科医が様々なゲストを迎えて毎週水曜夜に配信中。

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