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カケラジ#1 つらいときどうすればいいか、私たちは教わらなかった

この記事は、YouTubeチャンネル「カケルとミチル」で2020.12.23に配信した「カケミチラジオ#1」の内容を抜粋し、まとめたものです。

ーー「生きづらさ」「育てづらさ」というワードを最近よく耳にしますよね

ベテランの精神科医の先生と話すと、「昔に比べると精神科にかかるハードルは年々下がってきている」とは聞きますね。

ただ、まだまだハードルはありますし、どこまでの事を相談していいのかというのも悩ましいかもしれません。精神科に行くかどうかが「生きづらさ」「育てづらさ」の問題の全てではないと思いますし、どこまでを「生きづらさ」「育てづらさ」と言って良いのかというのも、線引きがない分、かえって難しいと感じている人もいるかもしれないですよね。

ーー性格も感覚も人それぞれだし、「自分がつらいと思ったら、つらい」で良いのでは?

その考え方はすごく大切だと思います。「主観的なつらさ」が大事で、昔に比べて声を上げやすくなってきているというのは良いことだと思うんですよね。つらいと言ってはいけないんじゃないかとか、つらさをこらえて頑張ることは美徳だ、みたいな文化がまだ一部にはありますけれど、あれは嫌ですよねぇ。

「育てづらさ」という話でいくと、子育てって、本当に大変ですよ。六年間、医学を勉強してきたって子育てなんて教えてくれないし、普段は患者を診る立場の医者であっても、自分の子どもが熱を出しただけでおろおろしてしまうことだってあります。

ーー「生きづらさ」に関しても「つらいときにどうしたら良いか」なんて教えてもらってない気がします。

それはとても良い視点だと思います。学校ではそういうことを習ってないんですよね。つらいときにどこに行けば良いかとか、相談の仕方とか、困ったときにどうしたらいいかって習ってないんですよ。つらい人自身もどうしたらいいか分からないし、つらい人を支えたいと思っている周りの人もどうしたらいいか分からなかったりするんですよね。

ーー昔に比べると、メンタルヘルスとか、発達障害とかキーワードとしてはよく聞くようになった気がしますけどね

学校では教えてくれないというのは一つ問題だったんですけど、実は学校の指導要領が変わることになりました。令和4年度から高校生の保健体育でメンタルヘルスの記載が増えるんです。うつ病や統合失調症、認知症についても教えていきましょうということなんですね。

その準備段階として、学校の先生やご家族、中高生くらいの子ども向けの資料がインターネット上で見られるようになっています。ぜひ一度ご覧になってみて下さい。

こころの健康教室|サニタ

ーー学校教育に盛り込まれることでどんなことが期待できますか?

まずは、「知識として入る」というところに期待できると思います。

ただ、法律とか規制が変わる時ってなじむまでには時間かかるじゃないですか。すぐに何かが変わるというよりも、「学校教育の中にメンタルヘルスの内容が入った」ということ自体がまず大事なんだと思います。

ただ、現場は大混乱だと思いますよ。学校の先生たちも、初めてメンタルヘルスについて授業で扱わなきゃいけないことになるわけですけれど、これまであんまり目にする機会も少なかったと思いますからね。先生たちの業務がすごく多いという話もよく聞きますし、大変だとは思います。

ですから、学校の先生だけでなく一般の方や我々のような専門家が今のうちから少しずつコミュニケーションを取り、「こころの取り扱い方」を少しずつ学んでいく姿勢が重要だと個人的には思っています。

カケミチラジオ(YouTubeチャンネル「カケルとミチル」)「生きづらさ」「育てづらさ」などをテーマにoktk@筋トレ/児童精神科医が様々なゲストを迎えて毎週水曜夜に配信中。

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