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出遅れた#CES2019まとめ ~残り物には福がある~

こういうのは最初に出さないといよいよ出しづらくなることは分かっていたのですが、なかなか筆が進みませんでした。すでに出遅れ感満載ですが、会期中に(ほぼ)生中継したtwitterのまとめを中心に、完全に私見の#CES2019まとめいきます!

ちなみに開催前にまとめたみどころ予想はこちら。当日はこの答え合わせを中心にとにかくたくさん歩きました💨

1. 自動車OEMとサプライヤーの目線の分岐!MaaS前提のエコシステム競争と独自技術の探求
2. 家電各社各様!スマートホーム時代の「ヒトに寄り添うAI」の解釈
3. テレコム各社ほぼ事前情報なし!迫りくる5G時代の実現性とは?
4. J-Startup登場!Eureka Parkで存在感高まるか、日本のスタートアップシーン

全体を通して、昨年のCESと比較すると新たなテクノロジートレンドの提案は少なかった印象です。代わりに、ここ数年続く「スマートホーム」「自動運転」「ドローン」などのトレンドの実証性を競うような展示が目立ちました。展示企業もくっきりと支配者(プラットフォーマー)と構成員(カテゴリーキラー)にそれぞれの立ち位置が明確に分かれており、各社の新時代への覚悟の濃淡を垣間見たような印象を持って帰ってきました🏠

もくじ
1. 続々と実現するスマートホームの次の勝負は家庭外へ
2. 自動運転の市販レベルでの実現とサプライヤーの危機感
3. 日中メーカーに真っ向から挑む韓国メーカーの矜持
4. 「祝」日本のスタートアップシーンの台頭
5. その他面白かったモノ

1. 続々と実現するスマートホームの次の勝負は家庭外へ

私が最初に訪れ、かつ全体を通して最も印象に残っているのはHey Googleの巨大な屋外ブースでした。テーマパーク風の設営で、毎回お客さんを楽しませる工夫がすごいです。総工費いくらなんでしょう。。

このアトラクションでGoogleが狙うのは、スマートホームの利便性とCXをそのまま屋外へ持ち出すシナリオです。多くの家電メーカーが屋内の体験やデバイスのスペック推しにとどまるのに対し、Android AutoやPixel 3の可搬性を活かし、「同じAssistantにサポートしてもらう体験が家庭内から屋外へ引き継げる」特徴を押し出していました。

Googleは本当に立ち位置の見極めがうまい。よく自社の競争力と社外の競争環境を理解し、自身の土俵に持ち込むしたたかさに思わずうなってしまいました。

2. 自動運転の市販レベルでの実現とサプライヤーの危機感

今回、多くの時間を自動車ブースで過ごしましたが、特に目を引いたのがNVIDIAブースです。Jensen Huang CEO自らがブースに立ち、トップ外交をしていたのも印象的でした。

彼らが推していたのは量産レベルのレベル2自動運転システムです。自身の画像解析技術を活かし、後付けで量産車を自動運転化できるとのこと。完全にソフト、かつプラットフォームに依存しない立ち位置をアピールしていました。それだけ自動運転の実現性はレベルが上がったということです。

実はデモ車のトランク部分にGoProの小型カメラが設置されており、観衆の反応を記録していました。ニクい🐵

こうした新規参入のITメーカーに焦りを感じるのは、従前自動運転車の技術競争をリードしてきたTier 1サプライヤーでしょう。自動運転時代にはクルマ自体のブランドや性能に対する消費者の期待値が薄れ、より車内体験、移動体験に対する期待が高まっていくことが予想されます。いずれのTier 1サプライヤーも、IT企業かと見紛うばかりの体験、ならびにソフトウェアプラットフォーム推しでした。

日本を代表するランプメーカーの小糸製作所のブースでは、自動運転時代の歩行者向けの情報発信のケースが披露されていました。車道や歩行者への注意喚起の標準規格が決まりつつあり、このエメラルドグリーンに色味が統一されるそうです。

パナソニックもB2Bのユースケース展示に振った内容でした。Boschやデンソーと同じく、IT企業さながらのエンタープライズシナリオ推しでした。

これは去年のCESでも感じたのですが、OEMメーカーは比較的影を潜めている印象です。ただ、今年はメルセデスベンツがCLA Coupeのプレミアを当ててきました。やはりバリバリの量産車に自動運転テクノロジーが実装されていることをアピールしています。

中国のEVメーカーBytonは去年と展示に大きな変更はありませんが、すでに49インチのディスプレイを搭載したEVを創設3年のスタートアップが量産していることに驚きます。価格も手の届くレンジです。

ホンダはビジネスパートナーを求めていくことに振った展示。2015年から行っているスタートアップアクセラレーターを前面に押し出しています。

番外編はベルヘリコプターの巨大なエアドローンです。物流網での活用を見込み、ヤマト運輸がいち早く提携した企業。軍機オスプレイのメーカーとしても有名です。

3. 日中メーカーに真っ向から挑む韓国メーカーの矜持

さて、今年最も注目を集めていた展示はLGの「巻けるテレビ」でしょう。私はこれを韓国メーカーの展示スタンスの変化と見ました。

去年、中台韓の展示を見て感じたのは、「世界最高ではないにしろ、今よりもスマートでいい暮らしがアフォーダブルに実現する」という、一般受けを狙った現実路線の提案でした。もちろん今年も継続ではあるものの、LGのある種「必要ないオーバースペック」を全面に押し出す態度の変化は、変わらず「世界最高品質のモノづくり」をアピールし続ける日系メーカーへの真っ向勝負ではないでしょうか。

サムスンは自動運転車、特に後部座席を含めた個室空間での個別体験に注力していることがよくわかります。

今年は中国メーカーの勢いが減ったように感じます。展示スペースも40%減だそう。TCLは昨年の中台メーカーの展示の方向性を引継ぎ、とにかく白物も黒物も「全部ある」という提案です。

日系メーカーの雄、ソニーは得意分野の音響と映像のマッチング技術を体験できるハコを多く用意しており、ソニーらしいブースでした。ただ、韓国メーカーのアプローチを先に目にしてしまったからか、この「ソニーらしさ」を指名買いしてくれる顧客に頼り続ける戦略はどうなんだろう?と少し疑問を感じてしまいました。

4. 「祝」日本のスタートアップシーンの台頭

個人的に最も心が動いたのは、(去年は隅に追いやられていたと噂の)日本のスタートアップ展示が、大盛況、大成功を収めたことです。スタートアップの聖地と呼ばれ、1,000社を超えるスタートアップが軒を連ねるEureka Parkは、昨今のCESの目玉にもなっています。各国政府が後ろ盾に入っており、さながら各国のスタートアップエコシステムの権威争いの様相です。

そんな中、日本はJ-Startupの看板を引っ提げて22社(去年の6社からの大幅増!)のスタートアップが海外の来場者に向けてプロダクト、サービスを披露していました。裏話では直前まで準備でドタバタだったそうですが、そんなことはみじんも感じさせない見事なブース設営で、同じ日本人として感無量でした😢

さらに感動したのが、そうそうたるCES全体の出展者の中で、日本のスタートアップの展示が多くの賞を獲得したことです。それぞれ創業者の皆さんの苦労話やこれにかける熱い想いに触れる機会にも恵まれ、とても印象深いCESになりました。

5. その他面白かったモノ

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おことわり:本投稿はあくまで筆者の個人的見解に基づくものであり、筆者が所属する組織の一切の公式な見解を表すものではありません。

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