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やる気教室第5話 課題は細かく分解しよう



〈前回までのあらすじ〉

県内有数の進学校である岩晴(いわはれ)高校の1年生の成瀬波 成瑠(なせば なる)は、勉強のやる気がでなくて困り果て、学校の相談室へと足を運ぶ。

しかし、そこにいたのはネット麻雀をしてサボっている相談員のもぐちゃん先生だった――?

「やる気がでない人間のプロ」だと豪語するもぐちゃん先生の相談室に行き、なるはもぐちゃん先生からやる気の出しかたを学ぶようになる。



成瀬波 成瑠(なせば なる)
岩晴高校1年生。やる気がでず、勉強に手をつけられなくて悩んでいる。
1日の平均勉強時間は30分未満で、課題を〆切までにだせないこともある。
調理実習で玉ねぎを切り、同級生に「わ~! そんな切りかた初めて見た~!」と言われて凹んだ。


もぐちゃん先生
岩晴高校の相談員。「やる気がでない人間のプロ」を名乗っており、やる気のはなしをすることにやる気があふれている。
デスクワークのやる気がでず、相談室でサボっている。
料理以前にまずキッチンを掃除してほしい。




~ある日の相談室にて~


「はあ……憂うつだなあ」


「どうした? またやる気の悩みか?」


「国語の授業で小論文の宿題がでたんです。書かなきゃって考えるとめんどくさくて」


「確かに作文ってやること多くてめんどくさいよな~。参考になる情報や世の中のひとの意見を調べて、自分の意見を洗い出して、構成を考えて、一度パソコンで書いてみて、推敲して、清書して……」


「うわあ……そうやって手順を分解すると、けっこうやることありますね」


「おっ、気づいたか? こうやってやることを分解すれば、課題の総量を正確に把握できるんだ。なるはさっきまで、漠然と『小論文大変そ~~めんどくせ~~』って思っておっくうになってただろ?」


「そうですね。でも、さっきもぐちゃん先生がやることを細かく分解したのを聞いて、『これだけやることがあるなら、あまり先延ばししている場合じゃないのかも』って思いました」


「そう、だから課題がでたときは、やることを細かく分解するといいんだ。さっき分解したタスクをもう一度書きだしてみるぞ」


小論文を書く
●調べ物をする
ーAについて
ーBについて
ーCについて
●自分の意見を洗い出す
●構成を考える
●作文を書く
―1段落目
―2段落目
ー3段落目
―4段落目
●推敲する
●清書する

小論文を書くときやることを分解したリスト


「こうやって課題を細かく分解するメリットは3つある。1つは、途方もない時間がかかると思った課題も、ひとつひとつのステップをこなせば終わるということがわかる。ついでに、課題を細かく分解することで、ひとつひとつのステップをこなしたときに小さな達成感を得られる」


「課題に着手するハードルを下げることができる、ということですね」


「そういうことだ。りんごを丸ごと一個口に入れるのは無理だが、切って食べれば楽勝だろ?

2つ目のメリットは、課題の総量がわかることで危機感が持てる。小論文の課題がでたとき、『めんどくさ……まあ、最悪前日にやればいいか』という考えがあたまをよぎらなかったか? 課題を分解すれば、総量が見えるようになるから『前もって進めないとけっこう大変かも』ということがわかるんだ


「たしかに、課題を先延ばしにしたくて、課題の量をナメてかかることがあるかも。ギリギリで取りかかったら思ったよりも量が多くて、泣きを見ました……」


「3つ目のメリットは、進捗の管理がしやすくなる。やることを把握していないと、いま自分の作業が進んでいるのか遅れているのかわからないだろ? やることを分解していれば、『調べ物は○日までに終わらせる、書き始めるのは×日までに着手する』という計画が立てやすい


「やることを分解しておけば、計画的に小論文の準備を進められそうですね」


「ちなみに、やることを細かく分解するこの方法は、普段の課題でも使えるぞ。数学の課題だとこうなる」

Ⅰー問1
Ⅰー問2
Ⅰー問3
Ⅱー問1
Ⅱー問2

数学の課題を分解したリスト


「こうすれば課題の総量を見える化できるよな。数学の課題を全部終わらせようと思っておっくうになるんじゃなくて、まず1問ずつ取り組もうという気になる」


「この方法なら課題をやるときはかどりそう! わたしも、これから課題をやるときはやることを分解してみますね」


POINT:
課題を細かく分解するメリット
①途方もない時間がかかると思った課題も、ひとつひとつのステップをこなせば終わるということがわかる
②課題の総量を把握できて危機感が持てる
③進捗管理・計画の作成がしやすくなる



~数日後~


「もぐちゃん先生……わたし、やっぱりどうしようもないダメ人間なんです……」


「おうおうどうした、また自分を卑下して」


「あの……こないだもぐちゃん先生に教えてもらった、課題を細かく分解するやつ、やってみたんです。でも……」


「でも?」


「そもそも課題を分解するのが……めんどくさくて……」


「あ~正直めちゃくちゃわかるわ。もぐちゃん先生も最近やってないもんな、課題の分解」


「……はい?」


「やったほうがいいのはわかってるんだけどな~。怠けたい気持ちに抗えないというか、日々をなんとか生きのびるのでせいいっぱいというか」


「もぐちゃん先生……」


わたしは深く息を吸いこむ。


「じゃあなんで課題の分解を教えたんですか! もぐちゃん先生、自分ができない方法を教えないでくださいよ!!」


「ごめんって。あの方法自体はやる気をだすのに有効な方法ではあるんだよ」


「でも、実行できないなら、できない自分に落ちこむだけというか……」


「そうだよな。どんなに優れた戦略も、実行できなきゃ絵に描いた餅だ。じつはな、そういうときのために応急処置があるんだ」


「応急処置?」


「たとえば、数学の課題がでるとするだろ? そしたら、『その課題をやるのに必要な最初の一歩』を書きだしておくんだ。数学の課題の場合は、『問題集を開く』だな。こないだの小論文の場合だと『パソコンの前に座る』とか『一文字書く』とかになる」


「手をつけることに着目する作戦ですね」


「そうだ。最初の一歩に毎日少しずつ手をつけて作業を進めていけば、理論上は課題が終わる。だから、とりあえず最初の一歩がわかっていればいい」


「うーん……でも、その最初の一歩すら書きだすのが面倒になっちゃったら……」


「気にするな。この方法も、できるときにやる、でいいんだ。最悪、『あ~あれやらなきゃな~』と思ったときに、その場で最初の一歩を考えればいい」


「なんか、めちゃくちゃズボラになりましたね」


「いいんだよ。どんなに立派な方法も、実行できなきゃ意味がないんだから。逆に、やることに手をつけられているなら、手段はなんでもいいんだ。気負わず意識低く自分にやさしい方法で、やっていこう


「そっか……わたし、自分に合った方法を模索してみます」


POINT:
課題の分解ができないときは、その課題の「最初の一歩」を書きだそう
立派な方法よりも実行できる方法のほうがいい。学んだやりかたが実行できなくても気にせず、自分にできる方法でやる


「あっわたし、今日は早く帰らないといけないんでした。これで失礼しますね」


「ん、そうか。またな」


「さようなら」


そう言って、わたしは相談室をあとにした。


「……あっ、やべ。先生に頼まれてた仕事、先延ばしにしてすっかり忘れてたー。間に合うんか、これ。

……やることを分解するか……」


~今回のPOINT~

POINT①
課題を細かく分解するメリット
①途方もない時間がかかると思った課題も、ひとつひとつのステップをこなせば終わるということがわかる
②課題の総量を把握できて危機感が持てる
③進捗管理・計画の作成がしやすくなる

POINT②
課題の分解ができないときは、その課題の「最初の一歩」を書きだそう
立派な方法よりも実行できる方法のほうがいい。学んだやりかたが実行できなくても気にせず、自分にできる方法でやる



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