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#4 産まれて出会えて

去年の春に子供が産まれた。今思うと産まれる前は生死についてずっと考えていた。確かに妻のお腹の中に命はあるけれど、姿が見えない命を前に「この状況はなんだろうか。」と頭を震わせていた。僕は「カミングスーン状態」と勝手に呼んでいたけど名前のダサさに恥ずかしくて誰にも言えなくて、その代わりにやたらと死神のイラストを描いていた。
「北千住」の「じゅ」と言っている瞬間に死神に魂を持って行かれて「じゅ」の口のまま死んでしまった。とか、カメラで魂を抜こうとする死神とか。人間の平均寿命が延びたのは死神の働き方改革なのだろうか。とか考えていたりした。生まれたからには死からは逃げられなくて、だからせめてポップにしようと必死だったのだと思う。

働きたくない死神

【働きたくない死神】

死神とひまわり

【夏が終わっても死神の前で咲き誇る向日葵】

魂をとる死神

【魂をとる死神】

そして、子供が産まれてからは生きる事しか考えられなくなった。描く絵は死神から天使になった。それが「生」なのかはわからないけど、天使の輪っかを油で揚げてイカリングにしたり、天使の輪っかにスリーポイントシュートを決めたり、子供が「生」と遊べたらいいなと思いながら描いた。
子供が産まれた時にやりたかったことがある。コウノトリのコスプレをして、抱っこして写真を撮りたかった。将来「私はどうやって産まれて来たの?」と聞かれた時に「コウノトリさんが運んでくれたんだよ」と言ってその証拠写真を見せるのだ。しかし産まれた時には気持ちがそれどころではなく目の前の天使に夢中で完全に忘れてしまっていた。だから数年後の子供の誕生日にスペシャルゲストとしてコウノトリのコスプレをして登場して産まれた時の思い出話をしようと計画中だ。
ふと思ったけどコウノトリの親が子供に「僕はどうやって産まれて来たの?」と聞かれたらどう答えるのだろう。コウノトリ専門の言い訳用のコウノトリがいるのだろうか。でもそのコウノトリ専門の言い訳用コウノトリ専門の言い訳用のコウノトリが必要になる。頭がおかしくなりそうだ。僕は知り合いのコウノトリに聞いてみた。そうしたら「コウノトリの赤ちゃんは人間が運んでくれるということになっているよ。」と言われた。なるほど。

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【天使の輪をこっそり揚げてみた】

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【天使の輪がドーナッツと駆け落ちした】

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【天使の輪にスリーポイントシュートを決める】

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【天使の輪をシャンプーハットに変えてみたけど意外とバレない】