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#8 マスクは顔の一部です。

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【肉まんが頭に落ちてきてほっこりする】
段々と暖かくなって「そう言えば夏だ。」と分かってはいるけれど、コンビニのレジ横に肉まんがぬくぬくとケースに入っているとまだ冬なのかな。と思う。「思う」というか、寒い日にぬくもりが欲しいからという理由で肉まんが買いたいからそう思いたいだけなのかも知れない。寒い日に肉まんを買って手を温めながら大事に持って帰るのは冬の中でも特別に好き。頭に乗せたり、肩に乗せたりもしたい。
僕はコンビニのレジ横に温められている肉まん、あんまん、ピザまんが好きだけど、主食?おかず?おやつ?のどこにも分類されない気がして、ただただ衝動買いの類だからか頼む時にどうしても緊張して躊躇してしまう。何とか声を出して頼めても店員さんに聞き返されたら多分心が折れて「やっぱりいいです。」と言ってしまうと思う。だから無事に頼めてケースから肉まんが出てくる瞬間はどうしても嬉しさのあまりニヤけてしまう。
ずっと欲しかったものを手に入れた瞬間をいつでも肉まんは思い出させてくれる。抱きしめるにはサイズが足りない肉まんを手のひらで包んで歩いて冷め始める直前まで大事に持って、大切に食べる。冬は嫌いだけど、冬に食べる肉まんは好きだ。


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【逃げ出したシュークリームのクリームを捕まえる】
シュークリーム(罪に皮を被せた食べ物)が上手に食べられない。シュー(皮)とクリーム(罪)を同時に食べたいのにクリームがすぐに逃げるから追いかけないといけない。かといってシューをかじらないわけにもいかない。シューはかじってなんぼ。だから食べ始めて中盤からどっちを食べているのかがわからなくなる。シューがクリームを「俺に気を取られているうちに早く逃げろ!」と身を挺して逃そうとしているのかとさえ思う。こっちは勝手にクリームは甘くて健気なものだと思っているから、床にぼとっと落ちた瞬間にクリームの違う一面を見てしまったようで戸惑う。拾って食べるのが本当に正解なのか?このまま野生にかえした方がいいのか?という時間が一瞬(本当に一瞬)ある。大体拭き取って捨ててしまう。「もったいない」という気持ちと「クリームのこんな一面見たくなかった」という気持ちが混在して混乱する。だからクリームは絶対に落としたくない。でも逃げちゃう。皆はどうしているのだろう。吸っているの?シュークリームって実はクリームを吸う食べ物なの?


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【人前に出る時にマスクをつけるおばけ】
新型コロナウイルスの感染防止でマスクをつけるのが必須な世の中になった。それなのにマスクは貴重品になってなかなか入手出来ない。マスクは普段から需要があるものだけどこんなにも血眼になって取り合うことになるとは思わなくて、僕は取り合いに参加すら出来ずにマスクが市場から無くなっていく光景を指をくわえて見えていた。サバイバルでは絶対生き残れないタイプだな。と思い知った。仕方がないから去年箱で買っていた使い捨てマスクが少し残っていたから使い捨てずに何日も使う事にした。どの情報が正しいのか分からないまま、使い捨てマスクは押し洗いがおすすめという記事を参考に、使い捨てマスクを洗って干してまた使う日々を送ることにした。しかし、使い捨てマスクを連続で3日使用したら内側がケバケバしてきてくすぐったく感じてきた。まるで甘えて来ているようだ。生まれた時から使い捨てられる人生だと教えられて来て、人生を諦めて心が廃れたマスクが、何日も捨てずに使い続けた僕に懐いてきたのだ。最初は「おい、やめろよ。くすぐったくだろ。あはははは。」とじゃれて楽しかった。犬が顔を舐めて来ているような嬉しさがあった。それからさらに2日使った。「将来お父さんみたいな人と結婚する」くらい言い出すかなと期待していたけど、繊維がケバ立ってチクチクと皮膚を刺して来た。「まさか、僕の身体を乗っ取る気か?調子に乗るな!」と言って捨てた。