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どうする? ダブルインカム世帯の家計簿

ダブルインカム(共働き)の家計を把握していますか?

 2019年の大学進学率は、男子56.6%、女子50.7%、大学・短期大学の進学率では、男子57.6%、女子58.7%という数字が公表されました。現在のこうした高学歴化もあってか、勤続10年以上の女性の割合も、1998年は29.3%から、2018年は37.7%と増加しています(男性は50%程度で推移)。
 共働き世帯でみると、「夫婦ともに雇用者の共働き世帯は年々増加し、平成9(1997)年以降は男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回り、平成24(2012)年頃からその差は急速に拡大しています(下記・図参照)」(出典「令和2年版男女共同参画白書」より)

男女共同参画白書 令和2年版/令和元年度男女共同参画社会の形成の状況」p.18より

 統計を見るまでもなく、2000年以降夫婦共にフルタイマーという家庭が非常に多くなりましたが、みなさん、夫婦の家計管理はどうされているでしょうか?
 収入、支出を別々に管理していて、お互いの収入や支出の実態を知らずに過ごしている家庭は少なくないようです。しかし、出産、子どもの教育費、住宅購入など、それぞれではなく家族単位で必要となるさまざまな出費に備えていくには、「夫婦の財布をひとつに」「生活費のためにひとつの財布を用意する」など、考えていきたいですね。
 次に紹介するのは、お互いの収入や支出を大雑把に分けていたNさんが、子育てをきっかけに夫婦の財布をひとつにした話です。ぜひ参考にしてください!

Nさん夫婦の「財布がひとつ」になるまで

 Nさん夫婦は、共にフルタイムとして働いていたので、家計については、「住居に関わる費用は夫、それ以外(食費や消耗品などと公共料金)は妻」、生活費として出す以外のお金は、それぞれ好きに使ったもいいと、結婚生活をスタートしました。
 結婚3年目に、「こんないい物件はきっともう出合うことはないかも! 今がチャンス!」と、35年ローン(月13万、ボーナス払いなし)を組んで、現在住んでいるマンションを購入しました。2人共、フルタイムで働き続けることを前提としていましたが、翌年、Nさんは健康上の理由で退職し、フリーランスになりました。幸いなことに、仕事の依頼は途切れずにあったことから、夫との支出負担はそのまま継続。
 結婚5年目に長女を出産、Nさんの収入は不安定になりましたが、家計簿をつけていなかったので、家計全体の支出をつかめず、自分が家計全体の支出のうちどのくらいを負担しているかもわからなかったそうです。自分の財布から食費などは支出する約束だったため、夫と相談もできず、貯金を考慮し、食費を削ることに躍起になったこともあったとか。
 結婚7年目に二女を妊娠し、仕事はさらに減少・減収に。医療費は夫の収入で負担してもらうことにしましたが、他の支出負担はそのままで、Nさんの貯金はじき底をつくほどに減っていきました。
 二女の出産を前に、育児休業を半年とるために、夫の給与で暮らしていくことを夫婦で話し合いました。財布をひとつにするに当たって、夫からは「家計簿で数字は明らかに」してほしいと言われたのだそうです。1月に二女を出産、年末に予算を立てて家計簿も1月からつけ始めました。夫とはいえ、他人ひとの口座からお金を引き出して使うことに抵抗があったものの、家族の暮らしをまわしていくには、財布がひとつのほうがシンプルでわかりやすいと実感しているそうです。

「すべての収支を目に見えるようにしたことで、家計が把握できました。収入はだいたい予想通り、支出は思っていたより多いことがわかりましたが、月末に支払いを心配してドキドキする精神状況がなくなり、ほっとしました。育児休業中も経済的な心配がなかったことで、子どもとしっかり向き合えました」(Nさん)

お金を大切に使うようになった

 Nさんは、以前よりよく考えてお金を使うようになっただけでなく、ボーナスが出ると気持ちが大きくなり、買い物をしたがっていた夫も、家計簿を見て、賞与も月割りに1年のして、さらに児童手当や妻の収入(月2万強)がないと、暮らせないことを理解してくれたと言います。


 夫婦で実際に入ってくるお金を自由に使っていくのではなく、出ていく予定のお金を洗い出すと、いかに“生活する”ことにお金がかかっているかがわかります。それを夫婦で共有することが未来を見据えた家計管理の第一歩! ただ手をこまねいて不安がっていても始まりません。ぜひ、共働きの夫婦は、お互いの収入や生活にかかるお金を書き出して、家計を見える化するとこから始めてみませんか。
*以下からダウンロードできる「家計分担表」は、羽仁もと子案家計簿の費目を軸に書き込めるエクセルデータです。


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