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『羽仁もと子案家計簿』の予算の立て方のお話をします!

どうして予算を立てるのでしょう?

「予算立ては難しそうだし、なんだか面倒……予算があるとしばられる感じがするし、収入の中で暮らせればいいのでは?」と思っている方もいらっしゃるでしょう。ところが、収入にも支出にも予算を立てておくと、各費目のゴール設定ができ、ただ記帳するより、ずっと長く家計簿をつけ続けられ、生活しやすいんです!

「収入も支出も毎月違うから、予算は月ごとに決め直したら?」と思う人もあるかもしれません。けれど、実際には年払いのものや、予定外のことが起こって交際費が多くなったり、家族が病気になることもありますよね。反対に大きな支出のない月もあります。だから「今月の生活費は何円以上使わない!」などと決めることは実際にはできないことが多いのです。

 そこで、『羽仁もと子案家計簿』では、1カ月分の給与に、賞与1年分を12等分したもの(自営業の方などは1年分の年収 ÷ 12)を月の収入予算にします。各月の予算を同じにして、毎月その予算額から支出額を引き、差引の欄に記入するだけ。予算の残りは、翌月にくりこしていきます。ある月に予算以上の支出があっても、1年を通して支出の多い月、少ない月が補い合うので、収入内におさめやすく、安心して生活ができるようになります。

予算を立てる(1) わが家の使えるお金を明確にする

 予算を立てる手順を説明します。

 まず、前年の給与明細書や源泉徴収票、税金などの納付書などを見ながら、年間の総収入(手取りではなく総所得を見ること)から、税金と社会保険料の額を引いて、可処分所得(わが家が自由に使える金額)を求めます。

総収入-(税金 + 社会保険料)= わが家が自由に使える金額(可処分所得)

 賞与も含めたすべての所得から、支払いが義務付けられている税金や社会保険料を引いた所得を可処分所得と呼びます。可処分所得を12等分すると端数がでますが、予算は千円以下は切り捨てで考えるとよいでしょう。

 クラウド家計簿kakei+をお使いの場合は、『予算設定ナビ』の機能を使うと、可処分所得をすぐに計算でき、予算表に自動入力することができます!

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予算を立てる(2) 貯蓄の予算をとる

 次に、将来に備えて、または予定外のできごとに備えて、貯蓄(積立、財形、定期、定額など。貯蓄性のある生命保険も含む)を予算にとりましょう。「あまったら貯蓄に」と思っていては、お金はなかなか貯まりません。将来にどれだけの備えが必要かを知るには、ライフプラン表を書くことをおすすめします。「教育資金」「住宅資金」「老後資金」などと、貯蓄の目的別に目標額を決めるとよいですね。可処分所得から貯蓄額・保険金額を差し引いた額が、ふだんの生活に使えるお金「純生活費」になります。

(可処分所得 ÷ 12)ー 貯蓄・保険(月)=1カ月の純生活費

予算を立てる(3) 純生活費の予算を費目ごとにふりわける

 ひと月の純生活費の金額がわかったら、食費はいくら、光熱費はいくら、住居家具費はいくら、と各費目へ予算をふりわけます。このとき、家賃や住宅ローンなどの固定費のほか、年1,2回などの支払いにしているものも忘れずに(固定資産税、賃貸住宅の更新料や火災保険料、NHK受信料など)。銀行通帳や電気・ガス・水道の明細書などを手元に用意するとよいでしょう。予算を立てる年の、おおまかな予定(旅行や車検、家電の買い換えなど)を書き出し、あらかじめいくらかかるかを把握するといいですね。学校や習い事などにかかる教育費など学期払い、年払いがあれば、年間で計算して12等分した額を月予算に入れます。(費目予算は、千円単位で立てる人が多く、小さな家計では百円単位で作る人もあります。決まりはありませんが、端数を丸めた方が、把握しやすく、すっきりした予算になります)

 予算を立てるときは、家族が健康に過ごすために、食費の予算をしっかりとることを大切にしましょう。バランス良く、食べすぎでもなく、節約でもない、ちょうどいい食費の予算を立てるには、1日にどれだけのものを食べたらよいかがわかる「目安の量」をもとに、副食物費=おかず代を計算することができます。

『羽仁もと子案家計簿』の費目分けは、次の表を参考にしてください。

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 食の目安量からの予算立て方については、10月13日公開予定の「おかず代の予算はどうやって立てるのですか?」で紹介します。

まとめ 1年ごとに、よりよい予算に 

 純生活費の費目ごとの使い道を決めたら、毎月、同じ予算で過ごします。ある月にまとめ払いがあって純生活費が赤字になったとしても、予算にとった支出であるなら、安心して支出できます。ある費目が予定外の支出でオーバーしたら、ほかの費目をやりくりするなどして、純生活費の額は守るように心がけて生活しましょう。

 予算は上手にお金を使うために必要なものですが、「器」というよりは、安心して上手にお金を使うための「ものさし」。最初は、予算にとり忘れたものがあったり、無理にきゅうくつな予算を立てて、予算オーバーになることもあるでしょう。それでも、家計の「天井」が明確になっていれば、おのずとどうやりくりしたらよいのかが見えてきます。そして、その翌年はさらによい予算を立てることができるようになるでしょう。「お金の出入りに大きな変化はないのだから、前年の予算のままでいいわ」とその年の予定も確認せずに継続すると、だんだんに予算と実際に齟齬が出てきて、予算を守ろうという気持ちも薄れてしまいますね。

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