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外出自粛の家計〜支出が減った費目は何?〜

 2020年から21年と、新型コロナウイルスの感染拡大予防のために、さまざまな行動が規制されました。その影響は家計にどのようにあらわれたか、2020年の家計簿から見てみましょう。

集計にみる影響

 ここで紹介するのは、「羽仁もと子案家計簿」を記帳している方々の2020年の集計と、総務省統計局の「家計調査」※1です。前者は、給料生活者89世帯(1世帯平均家族人数 3.2人、世帯主平均年齢 55.4歳)、「家計調査」は2019年と2020年の月間平均支出の比較※2です。分類の仕方が違うので、単純に比較はできませんが、似た傾向が確認できます。

※1「家計調査」の結果は、政府の統計ポータルサイト「e-Stat」で参照することができます。
※2「新型コロナウイルス感染症により 消費行動に大きな影響が見られた主な品目など」令 和 3年10月8日(統計局)

増えた支出は「食費」「公共費」

 ステイホームで家族が自宅で食事をする回数が増え、「羽仁もと子案家計簿」の集計では、「食費」の支出が増えました。「羽仁もと子案家計簿」では、食費は3つの費目の合計です。そのうちの、①副食物費約4%増、②調味料費約7%増。③主食費は前年より14%減っています。外食費が17%減だったからです。主食費の中を詳しく見ると、項目では麺類のみが21%増えています。ステイホームの昼食などに、調理が簡単な麺類が好まれたからでしょう。
 総務省の「家計調査」でも、食料は約12%減です。品目分類別では、2019年8月と20年8月を比べると、パスタは約17%増、食事代は約40%減となっています。
「羽仁もと子案家計簿」の特徴でもある「公共費」は、「寄付・支援」の項目が約18%増で、全体としても14%増となりました。

大きく減少した費目は「娯楽費」「交際費」「衣服費」

「羽仁もと子案家計簿」の集計で、大きく減少したのは、「娯楽費」の44%減。外出自粛の影響は、「衣服費」21%減、「交際費」22%減(冠婚葬祭での宿泊、交通費が減)にも見られます。
「家計調査」では、被服及び履物は約18%減、交通・通信で約9%減、教養娯楽で約17%減です。品目分類別で2019年8月と20年8月を比べると、映画・演劇等入場料57%減、文化施設入場料72%減。口紅49%減。航空運賃は88%減、鉄道運賃68%減。パック旅行88%減などと、報告されています。

「純生活費」は約13%減

「羽仁もと子案家計簿」の集計では、上記以外でも昨年より支出が減った費目があり、純生活費は約13%減です。
 一方、「家計調査」では、「二人以上の世帯の1世帯あたりの1カ月間の支出額が27万7926円。これは2000年以降の本調査において最も低い数字」との報告があります。

緊急事態宣言による行動自粛でわかったこと、変わったこと

 ファンシー グッズショップでパートとして働くAさんは、緊急事態宣言による休業で、パート収入が23%減りました。収入減は痛手でしたが、娯楽費などの支出が減って、収支差し引きで赤字にはなりませんでした。「コロナ禍で不安がないわけではありません。それでも、わが家の生活に必要なお金を把握できていることで、やみくもに恐れることはなく、毎日の家計簿記帳で、今日も無事に過ごせた感謝や、どんな困難も乗り越えるぞという勇気をもらいました。」とAさん。
 緊急事態宣言が解除され、夫は通勤を、娘はアルバイトを再開したBさん家族は、「飲食店の人や生活に困っている人を支援したい」との思いから、「時々、外食」「会社の近くの店でお弁当を週3日買う」など、食費の中に、「人のため、社会のために使うお金」という項目が増えたそうです。

まだまだ続く、コロナ感染予防

 みなさんの2021年の家計でも、同じような増減があったでしょうか?
「年収600万円未満世帯では、2019年同様2020年も収支が赤字となり、400万円未満世帯では赤字が増えている」と報告している家計調査もありま昨年2020年に引き続き、21年も娯楽費や交際費など、支出を抑えた費目もあり、収入も支出も減少の一年だったのではと思います。

 コロナ禍で収入が激減した若い家庭の2022年の予算立てを、雑誌『婦人之友』2021年12月号で記事にしています。そちらも是非、ごらんください。


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