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営業のあれこれ-③ プル型営業で結果をだすためにやったこと

前回、1年で150社との新規取引をするためにプル型の営業を行ったことを書きました。その具体的な取り組みである2つについて書いていきます。

未取引の見込み客へ定期訪問する

見込み客と設定した企業へは、月に1回の定期訪問(定期連絡)をします。ただし、なんとなく「状況いかがですか?」と聞いても意味がないどころか心証を悪くするだけなので、定期訪問(定期連絡)の際は何かお土産(情報提供)を持っていくというルールを自分に課していました。お土産の内容は、
 ①採用に関するデータ(求人倍率推移や最低賃金の改定データなど)
 ②その企業に関係のあるセグメントの事例(成功事例や他社募集情報など)
 ③その企業の営業に役に立ちそうな情報(近くにA社が新店を出すらしいですよ」など

です。求人広告はタイミング勝負な面も大きいので、必要になった時に連絡をいただけるように情報提供に全力を尽くし、この段階では自社の商材プレゼンなどはほとんどしていませんでした。

リストアップは3階層に分ける

とはいえ、すべての企業に対して上記のようなアプローチをすることは時間的に不可能です。そこで重要になってくるのは、どの企業に注力するのかということでした。私は新規開拓のための営業リストを3階層に分けて管理していました。それぞれの分類は下記です。
 A:最重要見込み客
 B:見込み客として継続フォローする
 C:とりあえず可能性があるので営業リストには入れておく

各分類ごとのアプローチ頻度の目安は
 A…月に1回。お土産必須
 B…2ヶ月に1回。お土産は汎用的なものに限定し、個別カスタムはしない
 C…ほかの業務との兼ね合いで時間が空いた時に連絡する

リスト上の顧客を分類する基準は、下記の要素の組み合わせで判断します。
 ・向こう3ヶ月間でのニーズ発生見込み
 ・受注できた場合のリターンの大きさ(単価×回転数の見込み)
 ・担当者と接触できているかどうか、決裁者と接触できているか
 ・競合(特に自社と同じ商材を扱う場合)の取引の濃さ

これらの組み合わせで要素が濃くなればCからB、BからAに昇格させます。たとえば、
「向こう3ヶ月以内にほぼ確実にニーズが発生する」×「ニーズ発生時にはある程度の予算を取っていただける可能性が高い」×「担当者とはいつでも連絡が取れる状態」×「競合と取引はあるが同じ商材の購入経験はここ2年ない」というケースは、文句なくAです。

ただし、件数が増えすぎると十分な定期訪問(≒お土産の準備)ができなくなるので、A階層とB階層の上限数を決めておきます。私はいろいろ調整した結果、A階層が最大50件、B階層が最大150件に落ち着きました。上限を超えた場合は必ず企業を入れ替え、定期的にリストのメンテナンスをしていました。

テレアポの精神的負担が減る


この仕組みを取り入れてよかったことに、テレアポの心理的負担が減るということがあります。この取り組みをする以前の私はテレアポが嫌いでした。アポを取ることがノルマのように感じ、でもほとんどの場合断られるのでとても辛いです。ですが、リストを3階層に分類したことにより、テレアポの目的が「受注できそうなアポを取る」から変化しました。
A階層の見込み客へのテレアポ目的は「資料をお持ちします。10分で構わないので時間をください」のアポを取ることになります。また、B階層へのテレアポ目的は「A階層に昇格させる企業を探すこと」、C階層へのテレアポ目的は「B階層へ昇格させる企業を探すこと」へと変わりました。言い換えると、テレアポの目的はリストのメンテナンスをすることになったわけです。これは精神的に非常にやりやすくなりました。

結果が出た!

そんなことをしばらく続けていると、ある時期から見込み客(主にA階層)から電話がかかってくるようになります。「求人を出したいので打ち合わせがしたい」という内容です。この時初めて具体的な商談をするケースも少なくありませんが、先方の検討対象の1番目に来ているので、受注確率は高かったです。一度このやり方で回り始めると圧倒的に精神的負担が減り、これが私のスタンダードとなりました。

実際にはテレアポに飛び込みを組み合わせて運用していたり、もう少し細かい要素がありますが、考え方は変わりません。今回の事例は求人広告の営業時代の話ですが、転職して人材紹介の営業をするようになってからはリストアップの件数とお土産の内容が変わりましたが、基本的な考え方は変わっていません。狩猟型より農耕型の方が気持ちも業績も時間管理も安定すると思います。参考になれば嬉しいです。

ちなみに現在の私はそもそもテレアポをしていないのですが、その話はまたいつか書きたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。

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