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【基礎知識】著作権を理解すればコンテンツの引き出しが増える

この記事を読む人は、何かを作っていたり、クリエイティブに関わる仕事をしている人がほとんどかと思います。

「意外と」と言っていいのか、「全然」と言っていいのか、権利の話は避けて通ってきている人が多いでしょうし、契約やお金の話はさらに苦手で極力避けてきている人が多いのではないでしょうか。

ここでは、そんなあなたに、著作権をはじめとする権利を少しやわらかく、契約やお金の話についても毛嫌いしないためのきっかけを与えるものです。

私が弁護士として相談を受けている事例には、「少しでも権利や、契約について理解があれば、こんなことにならなかったのに……」という内容がとてもたくさんあります。なかには良かれと思って行ったことが、クリエイターとクライアントの双方にとって、しこりを残すような結
果になることもあります。

あらかじめ、できることとできないことがわかっていたり、やっていいこととやってはいけないことがわかっていたら、制作がもう少しはかどるかもしれないし、仕事になる機会も増えていくのではないかなと思っています。

まずは5つの事例を紹介します。この5つの事例は、架空の事例ですが、本当によく相談を受ける内容です。ここに出てくるような事例についてシンパシーを感じたりしたら、このnoteが役に立てることがきっとあるでしょう。
それでは、クリエイターが抱えるトラブル5選を見てみましょう。

1.ネットにアップした写真やイラストが無断転載・利用されている!

風景写真を撮影しています。ポートフォリオとして、自分のウェブサイトのほか、「フリッカー」のサイトに写真を掲載しています。

たくさんの人に自分の写真を見てもらいたいという思いから、ダウンロードもできる仕様にしていました。もちろん写真には、注意書きとして「無断転載・無断使用はお控えください」と文言を書いていたので大丈夫です。

ところが、ふと見た「まとめサイト」に自分の写真が掲載されているのを発見しました。「俺も有名になったなー」と放置していたら、気づかないうちに100件を超えるウェブサイトに自分の写真が無断で転載されていました。

さらにフランス語で書かれたウェブサイトには
「C'est une bonne photo de moi lors d'un voyage touristique au Japon ! Regardez ça !」
(俺が日本観光に行ったときに撮った写真いいだろ! 見てくれよ!)って書いてありました。

さすがにこれは黙っていられません。どうしたらよいでしょうか。

2.似ていると感じるものはどこからOK、NG?

企業広報に使う映像制作の依頼を受けました。クライアントからは「蜷川実花さん風の鮮やかな色使いで」とか「ファイト一発な感じで」とか、ざっくりとした指示がたくさん飛んできます。

無視することもできないけど、パクリと言われたくもありませんし、もちろんパクるわけにはいきません。どれくらいのものを作ったらいいのでしょうか。

3.二次創作で作ったものの販売は許されるの?

私は漫画家を目指して活動しています。他方で、趣味と実益を兼ねコミックマーケットに参加するようになり、最近は『ラブライブ!』の〝2年生本〞を中心に描いています。

コミックマーケットでは、毎回完売近くまで売れることもあって、同人誌を販売する「コミックとらのあな」や「メロンブックス」でも取り扱ってもらえるようになりました。

私が作っている同人誌は、オリジナルが別にあるいわゆる二次創作です。趣味の範囲内ならいいと聞いたこともある一方で、逮捕された人もいるとも聞いていて、何が正解なのかよくわからないまま恐る恐る活動しているというのが実態です。
結局、二次創作ってありなんですか。どうなんですか。

4.デザインやイラストを勝手に変えて使われている!

グラフィックデザイナーとして活動しています。友人が経営するカフェにロゴを納品しました。自分的にもとてもお気に入りのロゴマークです。
このロゴを「さりげなく」「できる限り小さめに」グラスや、エプロンに入れるととてもいい感じだなと思ったので、ロゴをさりげなく入れたグラスやエプロンも合わせてデザインすることにしました。

その後、事情があってしばらくそのカフェには足を運んでいなかったのですが、2年後にカフェを訪ねると、驚きの光景が広がっていました。

ロゴが大写しにA3のコピー用紙に印刷されて窓という窓に貼られていたり、ロゴの下に「大特売」の文字が書かれていたりと、「さりげなく」「できる限り小さめに」といった私の意図と異なるロゴの使われ方をしていました。また、茶色をベースにロゴを作ったのですが、そのロ
ゴは黄色に勝手に変わっていました。

古くからの友人が経営するカフェなので、強く言いだすこともできず、悶々としていますが、とりあえずもうそこのカフェには近寄りたくありません。どうしたらよいでしょうか。

5.無料素材を使ったのに訴えられた!

ウェブサイトの制作の仕事を受託し納品しました。
その一部に「無料素材!!!!最高!!!」って書かれているウェブサイトから、イラスト素材を使っていたところ、制作から1年後、突然納品先に内容証明郵便が届きました。


そこには「貴殿のウェブサイトには、当社が著作権を有するイラストが、当社の許諾なく無断で使用されております。使用をただちに中止するとともに、金50万円をお支払いください」というようなことが、弁護士の名前とともに書かれていました。

気持ち悪かったので、すぐにイラストはウェブサイトから削除しましたが、特に返事をすることなく放置していました。忙しさに、内容証明郵便が届いたことすら忘れた頃に、突然、損害賠償を求める訴状が届きました。

これはいったいどういうことなのでしょうか。無料素材を使ったら訴えられるなんてありえません。

ここまで、本当によくあるトラブル5選です。
どうでしたか?
近いことは起きていましたか?

こういったトラブルを解決したり、避けたりするヒントが本書にはちりばめられていますので、ご自身の境遇に当てはめながら、気軽に読んでいただければと思います。

▼出典
駆け出しクリエイターのための著作権Q&A
(川上大雅・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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