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【税金Q&A_11】誰も年末調整してくれない……どうしたらいい?

Q
私は設計事務所とバーの2カ所でアルバイトを掛け持ちしていますが、誰も年末調整してくれません。どうしたらいいでしょうか?
A
誰も年末調整してくれなければ、自分で確定申告するしかありません。年末調整されなくても年末に「源泉徴収票」はもらえるはずなので、すべての勤務先から「源泉徴収票」を集めて、確定申告に臨みましょう。

これまで、年末調整は「会社」の義務という説明をしましたが、実は「個人事業主」でも従業員を雇う給与支払者であれば、年末調整をしないといけません。また、パートでもアルバイトでも、雇用形態に関係なく、給料を払っていれば年末調整の義務があります。

ところが、残念ながら年末調整してもらえない人がいます。ここでポイントになる書類があります。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」というものです。

給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書

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この書類は、毎年必ず勤務先に出すことになっていて、入社したときや、年末調整のときに、会社から提出するように指示があるはずです。あなたが扶養している配偶者や家族が何人いるかを勤務先に申告するためのもので、扶養する人数に応じて、天引きする所得税や、年末調整の計算に影響するので、必ず提出することになっています。

ですが、勤務先によっては、面倒なのでこの書類を集めていないケースや、本人が出し忘れていたといった理由で、提出していない方もいると思います。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出さないと、出した人よりも多く所得税を天引きされたり、年末調整もしてもらえない(というか、扶養家族の人数がわからないのできちんと計算できない)ことになるのです。また、勤務先の担当者が単に面倒だから、忙しいといった理由で、年末調整をしてもらえないこともあります。

ただ、その場合でも「源泉徴収票」は発行してもらえるはずです。これも給与支払者の義務です。ここには1年間の給与支払額と、会社から天引きされた1年間の所得税の金額(源泉徴収税額)が書いてあります。

ただし、年末調整されていないので、ここに書いてある所得税は、あくまで概算のままの中途半端な状態で、きちんと精算されていないのです。

概算で多めに税金を天引きされている方もいますので、きちんと精算して還付で取り返すためには、自分で確定申告をするしかありません。

なお、勤務先が2カ所となる場合は、どちらか1つ、メインの勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出することになります。そして、これを提出した勤務先で年末調整をすることになります。

今回のご質問の場合は、設計事務所のほうが給料が多くてメインの勤務先だとすると、設計事務所のほうで年末調整をしてもらえます。バーからの給料は設計事務所ではわかりません。自分で確定申告をして、1年間の設計事務所とバーの給料を合算して、正しく精算し直す必要があります。

▼出典
令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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