アウトプット

どうやってフルリモートで不確実性の高いプロジェクトマネジメントをするのか?

こんにちは。

僕は、兵庫県に住んでいて、「プロジェクトマネジメント」の仕事を「フルリモート」でやってます。今は、フリーランスで仕事をしていて、取引先は東京にありますが、仕事で行ったことはありません。

フルリモートで、プロジェクトマネジメントのような定形業務でない仕事をしている人がまだまだ多くないので、「どうやってフルリモートで不確実性の高いプロジェクトマネジメントをするのか?」というテーマに note に書いてみます。

ここでいう僕がプロジェクトは、「システム開発」のような案件だけではなく、「事業の立て直しプロジェクト」や「メンバーの育成プログラム」、「リスクマネジメント体制構築」といったシステム開発が関わらないものも含みます。

具体的には、下記の3つ+1に該当するものをプロジェクトと呼んでいます。

・ 目指したい姿がある
・ 定型化された業務が存在しない
・ リソースが限られている
・ +ひとりでは解決できない

最後の「ひとりでは解決できない」は、一人で対応できる場合は複雑性が低い課題の可能性が高いので、プロジェクトではあるのですが、マネジメントの必要性が下がるため除外しました。

僕が実際にプロジェクトマネジャーとして関わっていた案件の種類ですが、

・企業の中期計画の作成プロジェクト
・アプリ開発プロジェクト
・事業管理体制構築プロジェクト
・管理部門オペレーション改善プロジェクト

などがあります。これらはすべて兵庫県にUターンしてから受けた案件なため、ほぼ直接お会いしたことがないクライアントの案件です。

3つのプロジェクトをリモートで推進するポイント

プロジェクトを推進するために、プロジェクトマネジャーがやるべきことは大きく3つだと思います。

1. 目的・ゴールの設定
2. 小さいゴールの設計
3. 進捗チェック

この3つについて、リモートワークをする上で、どう実施していくのかを解説します。

1. 目的・ゴールの設定

はじめに依頼を受けた際は、相手の要件が明確であったとしても、「目的・ゴールの設定」をしっかりと確認します。

当たり前のことすが、リモートの場合は、ここが原因でプロジェクトで苦労することが多くあります。

経験的に全員リモートワークといった環境でない限り、リモート側に共有されない「オフィスのコンテクスト」は、ほぼ間違いなく存在しています。

「目的・ゴール」に関する正しい情報がなく、プロジェクト途中の状況変化に対応できなければ、どれだけプロジェクトにリソースをかけたとしても、まったく成果がでません。

リモートワークで働く上では、「見えない情報が存在している」ということを理解しておくことが必要です

目的・ゴールの設定では、3段階にわけて進めるとよいです。

(1.) ヒアリングフェーズ
(2.) たたきフェーズ
(3.) 提案フェーズ

(1.)ヒアリングフェーズ

はじめに、クライアント・プロジェクトオーナーから、依頼したいプロジェクトの目的やゴールのインプットを受けます。そのときに、そのプロジェクトを実施する「背景」「状況」理解するために、色んな角度で質問します。

基本的な質問としては、下記のような質問があると思います。

・目的は何か?
・具体的な成果(状態か、物か)は何を想定しているか?
・期限・予算はどのくらいあるのか?
・このプロジェクトの起案者は誰か?
・プロジェクトに関係する部署・人は誰か?

このような質問をした上で、さらに、

・いつからこの課題について検討されてきたか?
・過去課題に近いプロジェクトを実施した人入るか?
・このゴールが達成されると、次にどういったアクションをとるか?
・このプロジェクトが失敗するとしたら、どういった点が危険か?
・ちなみに、○○ではなく、△△というアプローチを選択しない理由はあるか?

など、可能であれば、周辺領域の情報を掴むための質問・提案をしてみます。違うアプローチを提案した反応で、言語化されてない別の判断軸が存在が発覚することもあります。

(2.) たたきフェーズ

次に、簡単な提案内容を作成します。プロジェクトの目的やゴール(成果物)、背景、計画について記載したものです。

ここでは、プロジェクト計画をFIXさせることが目的ではなく、プロジェクトオーナーとプロジェクト計画を「共同で作成する」ことを目的とすると考えています。これは、プロジェクトのコンテクストが理解できずに進めてしまい、後々問題が発生するのを防ぐためです。

そのため、このタイミングで、「お互いの期待がずれていればお断りする可能性もあります。」ということもお伝えして、なるべく真剣に実現性を議論できるようにしています。

そうやって安心せずに、一緒になってプロジェクト計画について、フィードバックをもらって、ようやく進めることができます。

(3.) 提案フェーズ

最後に、たたきフェーズで「共同で作成したプロジェクト計画」をブラッシュアップしたものを提案します。(2.)を超えているので、ある程度自信をもって進めることができるプロジェクト計画になります。

ただプロジェクトは、計画時点では見えていなかった課題が発見されることがあります。その場合に、プロジェクトのコンテクストを理解できているため、方向性を変わっても、適切な判断軸を持つことができます

2. 小さいゴールの設計

次に、プロジェクトのゴールに合わせて、マイルストーンとタスクを整理します。

この「小さいゴールの設計」でも、「見えない情報が存在している」ということを理解し、関係者から情報を引き出すことが重要です。

プロジェクトメンバーの場合は、プロジェクトオナーと違って、関係者が複数人存在することになり、それぞれにしか見えていない情報があります。

リアルな会議などであれば、全員で議論しながら進めることもできるのですが、リモートでのビデオチャットでの会議では複数メンバーの意見を引き出すことがとても難しいという課題があります。

複数メンバーの意見を引き出すのが難しい要因は、ビデオチャットなどのツールが、仕様として発言者の一人の声を主に拾うためです。そのため同時に発言した際には、うまく聞き分けることができません。結果、自由に発言しにくくなってしまいます。

そのため、事前にメンバー・役割単位で、「小さいゴール」を設計をしておきます。そして、メンバー・役割単位のゴール毎にマイルストーンとタスクを確認し、そこに何か影響があるメンバーはいますか?という形で、一人ずつ確認をすることができます。

3. 進捗チェック

最後のポイントは、進捗チェックです。
リモートでのプロジェクトマネジメントの場合は、当然ですが、プロジェクトメンバーとも直接会うことがありません。

進捗チェックは、ざっくり2種類の方法があります。

A. タスク管理による進捗チェック

ひとつ目は、小さいゴール設計で作成したタスクリストで、プロジェクトメンバーに進捗を報告してもらう方法です。たとえば、Trello などのツールでも良いですし、Spreadsheet でWBSを引いてチェックすることもできます。

このタスクが定めていた期間内に完了できているかどうかをチェックすれば、プロジェクトの進行状況を確認することができます。

B. ビデオチャットによる定例MTGによる進捗チェック

もうひとつは、ビデオチャットなどを活用した定例MTGを実施し、報告してもらう方法です。

これは「A.タスク管理による進捗チェック」では、把握できない部分を確認しやすいというメリットがあります。例えば、メンバーが個別で作業をしていると、連携部分についての確認などが後回しになってしまい、連携する際に課題が発覚するケースがあるからです。

ビデオチャットによる定例MTGの実施は時間がかかってしまい、メンバーの負担になるのですが、実施することによって、プロジェクトの見えていない部分を埋めていく事ができます。

まとめ

リモートで、プロジェクトマネジメントするには、「見えない情報が存在すること」を理解し、解消しようと努力することが大切です。そのために綿密なヒアリングや、コミュニケーションを行うことで、少しでも認識齟齬を減らしていきます。

僕自身の経験として、認識齟齬がなければ、非定形の業務であっても、リモートで働くほうが生産性が高くなると感じています。

少しでも、プロジェクトマネジメントや、非定型業務をリモートで実践する方のお役に立てれば幸いです。

読んで頂き、ありがとうございました。

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