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意図的に幅広いアイデアを生み出す方法

・良いアイデアの基本構成は、着眼点と切り口
・アイデアの着眼点を考えるための、クリエイティブ・ブリーフ
・着眼点を見つける4つの方法

こちらの内容は、「プロが教えるアイデア練習帳(著)岡田庄生」に書かれている内容です。著者は、博報堂で色々なアイデアを出し、またセミナーなどで外部の方にもアイデアを出しかたを教えられています。本書は、アイデアの構造とテクニックを理解できる、実践的なアイデア発想本になっています。

アイデア発想法の本は、多々ありますが、闇雲に大量にアイデアをリストアップする方法ではなく、意図的に幅広いアイデアを生み出すことができる方法になっています。企画職や何かを考える仕事をしている人は必読書です。


良いアイデアの基本構成は、着眼点と切り口

アイデアを出すときに、同じようなアイデアばかりになってしまうことはないでしょうか。とりあえず、たくさん出してみるとやってみるけど、同じようなものが並んでしまう。

良いアイデアの基本構成は、「着眼点」と「切り口」とあります。「着眼点」は、相手に何を伝えるかを考えることであり、「切り口」はその手法とあります。

例えば、ペットフードの新商品を企画するとします。
新しい企画を考えるのに、「美味しいペットフード」「犬まっしぐらなペットフード」「こだわりの食材を使ったペットフード」・・・という案がでてくるとします。しかし、これでは同じようなアイデアの企画になっています。「着眼点」とは、「美味しい / 味」だけではなく、「健康に良い」「環境に良い」「動物愛護につながる」「長持ちする」「災害でも食べられる」、、、など、異なる考え方のことです。あとは、この「着眼点」毎にアイデアを出していくことが「切り口」となります。

この「着眼点」を意識するだけで、意図的に幅広いアイデアが出せます。

アイデアの着眼点を考えるための、クリエイティブ・ブリーフ

広告業界では、マーケターがクリエイターに依頼する際に、「クリエイティブ・ブリーフ」というものを作成するそうです。*マーケターとは、戦略を考える人であり、どういう仕掛けでユーザを動かすかを考えている人です。そして、クリエイターは、広告のクリエイティブを作成する人です。

本書では、アイデアのプロ=広告会社ではないので、詳細なクリエイティブ・ブリーフを作る必要はないとしていますが、常にクライアントの新しい企画・広告を制作している企業では、「戦略」=着眼点 と「広告表現」=切り口の担当が別れて考えています。

下記のクリエイティブ・ブリーフの項目は、実際にアイデアを企画する際には使えると思いました。

クリエイティブ・ブリーフ
・広告の目的(何を達成するのか)
・プロボジション(何をメッセージにするのか)
・ターゲット(誰に伝えたいのか)
・信じられる理由(根拠は?)
・現状(どう思われているのか?)
・将来像(どう変えたいのか?)
・トーン(どんな雰囲気で伝えるか?)
・コンシューマーインサイト(人の心を動かすツボは?)

出所:手書きの戦略論 ー「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略(著)磯部光毅

着眼点を見つける4つの方法

着眼点を見つけるための手法として、4つのパターンが紹介されています。

1行動観察法:顧客の行動を観察することから発見する方法
2心理洞察法:顧客の深層心理から探る方法
3想定外用途法:商品の想定外な使われ方を起点に発見する方法
4異分野発送法:隠れたライバルとなる商品を起点に発見する方法

4. 異分野発送法の事例として、小学生に、俳句の広告を作ってもらう授業をした際の話しを紹介しています。

この中で、著者は、小学生に、俳句の魅力を考えてもらい、意見を出してもらいます。そして、ある程度意見がでた後に、俳句の「隠れたライバル」としてマンガやゲームを設定し、「マンガやゲームにはない、俳句の魅力はななにか?」というような問いをだし、俳句の魅力を考えてもらいました。そうすることで、小学生が俳句独自の魅力を気づくことができ、この対比前後でまったく異なるアイデアがでてきています。

対比前:俳句の魅力
・いつでもどこでもできるところ
・空いた時間がつぶせるところ
・できた時に気持ちがいい
対比後:俳句の魅力
・自分の頭を動かしていると感じるところ
・17音で想いが伝わるところ
・心が落ち着くところ

そして、「聞こえない季節の声が聞こえるようになる」というすばらしいキャッチコピーの案がでてきたとあります。

着眼点とは、「良い問いの立て方」と共通すると感じました。「イシューからはじめよ(著)安宅和人」にもあったように、仕事の成果は、「イシュー度」と「解の質」に分解され、良い「イシュー」を選択するべきとありました。着眼点とは、まさによい「イシュー」を見極めることにあると感じました。

まとめ

アイデアを「着眼点」と「切り口」という構造を意識するだけで、アイデアが大きく広がります。本書のはじめにで紹介されていますが、アイデア100本ノックをやってみると、大抵は同じようなアイデアが大量に並ぶことになります。

アイデア100本ノックのように大量にアイデアを出すことも、最初に「着眼点」を考え、その後「切り口」として考えると、いろんな幅を広げて考えることができると感じました。

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