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【読書】転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール(著)村上臣

・「終身雇用 / 日本型雇用」の終焉から「ジョブ型雇用」への転換
・5つのキーコンセプト
・転職2.0 では、タグと発信が重要になる

上記の内容は、「転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール(著)村上臣」に書かれている内容です。

Voicy で、村上臣氏の対談があり、これからの働き方全般に通じる話しだと思い、私はフリーランスですが、働き方の考え方として、価値のある本かと思い、手に取りました。

本書を読了しての感想ですが、「転職」とありますが、本書の内容は「正社員」などの雇用される形態だけでなく、「フリーランス」などの個人事業主のような人でも、参考になる本かと思います。本書で定義されている転職2.0 に求められる考え方が、フリーランス / 個人事業主に必要な発想だなと感じました。

本書の中で述べられていますが、これからは、「自分株式会社」をどう経営していくかを考えなければならないというのは、私自身の経験でも感じていることでした。

働いている方は、これからの働き方をアップデートするためにも、読む価値はありますが、フリーランスとして働いている人も、価値ある内容になっていると思います。

「終身雇用 と 日本型雇用」の終焉から「ジョブ型雇用」への転換

本書の背景情報として、日本の終身雇用を前提とした日本型雇用(メンバーシップ型雇用)が崩壊し、徐々にジョブ型雇用に転換していることがあげられます。

この終身雇用を前提とした日本型雇用というのは、いわゆる「総合職」という「会社のために何でもやる人」として採用され、転勤や異動が会社の意図で業務内容を与えられるような雇用関係を指しています。

私も、会社に務めていたときは、自由な風土でありある程度希望の業務などをいえるような機会はありました。しかし、それでも会社都合で、部署異動や職種の変更などは、幾度となく経験をしましたし、それも当然なことだと思っていました。

一方の「ジョブ型雇用」というのは、例えば、営業職・経理職・プランナー職、、など職種を特定して採用する方法のことです。

「ジョブ型」雇用とは、企業が人材を採用する際に職務、勤務地、時間などの条件を明確に決めて雇用契約を結び、雇用された側はその契約の範囲内のみで働くという雇用システム。そのため別部署への異動や他拠点への移動、転勤はなく、昇進や降格も基本的にはない。日本ではジョブ型雇用を指して「欧米型の雇用システム」と表現するが、欧米だけでなく世界的に見てもこの「ジョブ型」雇用がスタンダードであり、職務を限定せず新卒で正社員を一括採用する雇用システム(メンバーシップ型)は日本独特のものだという

引用:「ジョブ型」雇用とは?第一人者が語るメリット・デメリットと大きな誤解 / 2021年8月4日 / https://next.rikunabi.com/journal/20210804_t01/)

ジョブ型雇用が増加している要因として、終身雇用が崩壊していることが、本書であげれらています。またこの1-2年、コロナ化の影響でリモートワークが推進され、職務内容が明確で管理しやすいという点からも増加しているというニュースをよく目にします。

実際に大手企業でも、日立製作所、富士通、KDDI、三菱ケミカル、NEC、資生堂などの企業もジョブ型雇用を導入を進めているとあります。

*参考:コロナで雇用も脱日本型 欧米流「ジョブ型」急増 解雇容易の懸念も /2020年9月28日 06時00分 /https://www.tokyo-np.co.jp/article/58183

そして、本書では、この終身雇用の崩壊したことにより、これからは自分で自身のキャリア形成を決めなければなりません。そして、労働人口の減少も重なり、会社と個人の立場が逆転し、これからは自分でキャリアを選べる時代になったとあります。その自分でキャリアを選べる時代の考え方を「転職2.0」と呼び、今までの転職を「転職1.0」として、別のOSとして著者は整理しています。

5つのキーコンセプト

本書では、転職1.0と転職2.0の違いを5つのキーコンセプトで比較しています。

まず転職1.0の考え方は、会社への所属が前提であり、いかに良い会社へ変わるか、いかに会社のなかで成長(昇進)するかに重点が置かれています。

次に、転職2.0の考え方は、会社への所属という前提はなく、いかに自分の市場価値を高めるか、会社の外でも必要とされるかに重点が置かれています。

この転職2.0のキーコンセプトは、フリーランスの感覚とかなり近いと感じます。フリーランスは、そもそもいつ契約が終了してもおかしくありません。そのために、いま取引している企業だけでなく、他企業からも必要とされるために、自身をどう成長させていくか、どういう実績を作っていくかということを考える必要があるからです。

実際に、自分はフリーランスになった際に、複数の会社プロジェクトに関わりながら、どうやってプロジェクトのなかでバリューを出すか、自分の市場価値を高めていくかを意識していました。

ここで語られていることは、まさに「自分株式会社」としてどう生き抜いていくかのキャリア論のポイントになっていると感じます。

転職1.0
- 目的:1回の転職の成功(転職 = 目的)
- 行動:情報収集
- 考え方:スキル思考
- 価値基準:会社で仕事を選ぶ
- 人間関係:人脈づくり(狭く深く)
転職2.0
- 目的:自己の市場価値最大化(転職=手段)
- 行動:タグ付けと発信
- 考え方:ポジション思考
- 価値基準:シナジーで仕事を選ぶ
- 人間関係:ネットワークづくり(広くゆるく)

転職2.0 では、タグと発信が重要になる

転職2.0 の5つのキーコンセプトの中で、「行動」の「タグ付と発信」について、私自身の経験からも紹介したいと思います。

まじ、本書で言われている「タグ付け」されるものは、「ポジション(役割)」「スキル」「業種」「経験」「コンピテンシー」で分類できるとあり、このタグの掛け合わせが市場価値になるとあります。

掛け合わせが価値になるとは、「タグ」は単体では価値は高くなりませんが、組み合わせが重要になっているからです。

例えば、「営業」というタグだけではそこまでの価値はありませんが、、、

「法人営業」x「営業組織立ち上げ」x「SaaS」x「売上を3倍にした経験」、、

などのように、組み合わせるにすることで、採用したい人が多くいるイメージが湧くのではないでしょうか。スタートアップや新たにSaaSビジネスにかじを切ったB向けサービスなどをおこなっている事業会社は、いまの時期は多く存在していると考えられます。そういった人たちからはとても魅力的に見えるはずです。

おそらく、会社員の「総合職」として特に専門性をもたずに働いていた私のような人間は、この「タグ付け」に苦労することもあるかと思います。

私自身、フリーランスとして、「なんでも屋」をやってました。という説明を企業にさせて頂いていましたが、仕事依頼をもらえませんでした。

私は、その経験から「何ができるか?」「関わる会社にどういう価値を提供できるか?」というのを、何度も考え、「タグ」(当時はタグとは意識していませんでしたが。)を意識し、また業務を受ける際にも「タグ」の強化につながるか、関連性はあるかなども意識して仕事を受けるか否かを考える指標にもしています。

私の実績は小さいものですが、こういったレベルでも、やはりちゃんと「タグ」を意識することで実際に受注につながるようになっているため、重要なことだと感じています。

気づき

本書を読んで、改めて、タグ付けや発信の重要性、ポジションを考えて動くことの重要性を認識しました。そして、数年前には、総合職(専門性のない)の私がフリーランスとして働くことは珍しい状況でしたが、それがコロナや昨今の状況をヘて、当たり前になってきているんだなと感じました。

正社員として働かれているかたも、どういうスタンスで働くべきかの気づきになるかの参考になる本だと思います。



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