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読書:知的生産術(著:出口治明)

・無限大ではなく、「無減代」を考える
・インプットした情報で、自分のオリジナル辞書を作る
・強い組織を作るための一番のポイントは適材適所

上記は、「知的生産術(著:出口治明)」に書いてある内容です。本書は、ライフネット生命を創業され、現在は立命館アジア太平洋大学学長を務める出口治明氏が書かれた本になります。

本書では、日本の世界一高齢化が進む状況から、貧しくなりたくなければ、一人ひとりが自分の頭で考えて知的生産性を高めるしかないとあります。
本書では、知的生産性を高め、短時間で成果をだし、楽しく仕事をするたことができるヒントとして出口氏のノウハウや過去の経験が紹介されています。

*本書では、「知的生産」を下記のように定義しています。(自分の頭で考えて、成長すること。という変化し続けることを前提としていると感じました)

・生産性を上げるとは、
  ・「同じ仕事をより短い時間でこなすこと」
  ・「同じ時間でたくさんの量をこなすこと」
  ・「同じ時間で仕事の質を高めること」
  ・それはすなわち、人が「成長すること」を意味しています。
・知的とは、
  ・自分が成長するために、社会常識や他人の意見を鵜呑みにせず、原点にさかのぼって自分の頭で考えることです。
・したがって、知的生産の定義は、
  ・「自分の頭で考えて、成長すること」


無限大ではなく、「無減代」を考える

本書では、知的生産性をあげるために、5つの視点が紹介されています。

視点1. 無限大ではなく、「無減代」を考える
視点2. 「なぜ」を3回繰り返す
視点3. 「枠」や「制約」の中で考える
視点4. 「数字、ファクト、ロジック」で考える
視点5. 考えてもしかたがないことは考えない

無限大ではなく、「無減代」を考える とは何か?

著者は、精神論の典型のような「努力をすればするだけ、いい成果が出る」という無限大のような概念ではなく、時間もスタッフも有限であるため、仕事を「無:なくす」「減:減らす」「代:代用する」ことが大事だとあります。(この言葉は、著者が日東電工株式会社のや柳楽幸雄会長から教えて頂いたとのことです。)

生産性を上げよう(より高い成果を出す)とすると、仕事を追加することが多いのではないでしょうか。自分自身を振り返っても、会社の目標達成が難しい場合は、売上が足らないから営業をもっと頑張る。Webサービスの場合はイベントや施策を実施するなど。通常の業務以上に働くことが前提になっています。

また目標が未達成のときに頑張るなどではなく、「常日頃」から「この仕事はなんのためにやるのか」を突き詰め、無駄な仕事を無くし、無くせないなら減らし、それもできないのであれば、代用、使い回しするということを考えきらねばならないと感じました。

インプットした情報で、自分のオリジナル辞書を作る

最小の労力で最大の成果を上げる「インプットとアウトプットの技術」という章で「最小の労力で「アウトプット」が最大化する習慣」が紹介されています。その方法とは、①人に話す、②文章に書いて人に見せる という方法になります。

人間は、言語を通してしか、自分の考えを整理することができないとあり、インプットした情報を人に話したり、文章に書くと、自分の言葉に直され、頭の中が整理されるとあります。

本書では、漫画家・文筆家のヤマザキマリさんの著書「男性論 ECCE HOMO」の文面を引用しています。

「さまざまな行動によって得た知識や経験に基づいた、想像力のよすがとなる自分のオリジナルの辞書をつくっておけば、それが思いがけない方向から自分を助け、新たな展開を生む軸を生み出してくれるはず」

私は、本を読むと notion にメモを取り、note に公開するようにしているのですが、自分の言葉で理解したことをアウトプットすると記憶に定着し、仕事でも活用しやすくなると感じています。

誰かに伝えることを意識して書くのは難しいですが、アウトプットすることではじめて活用方法が見えてくると感じる部分もあるため、読書やインプットしたことのアウトプットはとても大事だと思います。

強い組織を作るための一番のポイントは適材適所

チームのちからを引き出す「マネジメントの技術」という章で、「適材適所」のチームを作れば、生産性は勝手に上がる」ということが書かれています。

考え方の前提にあるのは、人の能力はそれほど変わらない、成長しない。しかし、人には「得意・不得意」「向き・不向き」は存在するという考え方です。そのため、それぞれの適正と周囲の状況に合わせて、適材適所で人材を配置できれば、個々の能力は伸びなくても、組織の生産性が上げることができるとあります。

この話は、「マーケティングとは「組織革命」である。著:森岡毅」にも近い内容がありました。

例えてみれば、数学だけしか能が無い私がセンター試験を受けるようなものです。国語や他の科目に絶望的な弱点を抱えながら、センター試験では冷酷に総合点を問われます。数学は満点をとったとしても、私の文系能力のポンコツさがボトルネックとなって総合点は非常に厳しいものになります。

対して、組織をつくるとはどういうことか?それは、私は数学のみを担当し、国語は文系天才の佐藤さん、地理は地図オタクの鈴木さんと、それぞれの得意分野を組み合わせて総合点を稼ぐということです。自分の弱点がボトルネックになって、全体の生産性を著しく落とすことを回避できる。それどころか、各々の突出した強みを組み合わせて圧倒的な結果を出すことができる。これが組織をつくるメリットです。

引用:マーケティングとは「組織革命」である(著)森岡毅

高い成果を残されてきたお二人がチームのマネジメントについて、近いことを感じられているというのは興味深いと感じました。

また出口氏の組織論については、貞観政要からの引用も多く、「座右の書『貞観政要』」という本も出されているので、この組織論に興味があれば、ぜひ一読をおすすめします。

まとめ

著者の出口治明氏は、ライフネット生命の創業者であり、立命館アジア太平洋大学の学長を務め、また多くの書籍を出版されています。私は、「哲学と宗教全史」を読みましたが、世界史に詳しくなく、哲学を学んだことがなくともとても面白く読むことができ、多くの新しい気付きをもらうことができました。

本書の中にも、様々な人物や書籍の紹介があります。本書だけではなく紹介されている書籍をたどることも本書で紹介されている知的生産術の本質を理解することにつながると感じました。


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