伯父の七回忌
昭和12年生まれの私の父は現在87歳。
半年ほど前に腰椎の圧迫骨折をして以来、身体を動かすのが大変になってきた。いっぺんに腰が曲がってきて、歩くのもままならない。
それでも毎日畑へ行っては、耕したり川から水を汲みあげて野菜に水をやったりしている。
そんな父は6人兄弟。この時代にしてはごく普通の人数だけれど、兄弟たちは既に多くが亡くなり、健在なのは父とすぐ上の姉だけになっている。
今日はその父の姉(私にとっては伯母)の夫の七回忌法要だった。
両親が呼ばれたのだが、遠方でもあり、運転手を兼ねて私も参列した。
会場に着いて待っていると、伯父さんの孫の一人中学生女子が
「これって仏教?浄土真宗とか?」とくったくなくしゃべっていた。
「いやいや、真言宗よ」
「真言宗って・・・誰だっけ?」
という日本史的やりとりが、姉妹で始まった。
「真空天最・・・空海?」(そんな覚え方をするんだと密かに感心した私)
「正解!じゃあ天は?」という感じでやりとりをしていたのだが、
その途中で、お坊さんが入ってこられていた。
離れたところで身支度をととのえてやって来られると、
「さっき話していた浄土真宗はいつの時代のものか知っていますか?」
から始まり、法隆寺は飛鳥時代、大仏は奈良時代・・・といったようなことを、少しずつヒントをだして彼女から答を引き出しながら、とても上手に日本の歴史と仏教の関係を整理して説明された。楽しそうにやりとりしていた中3受験生、日本史が好きになったかも。
私はと言えば、基本的なことはもちろん知っていたけれど、話もとても上手で興味深く聞け、勉強になることもたくさんあってとても愉しいひとときだった。
赤磐市桜ケ丘にある法慶寺というお寺さん。
なんでも「子ども寺子屋」というのをされているそう。興味深い話をたくさんされたので、気になってググってみたら、ホームページもとても充実していた。
法隆寺や東大寺の説明の中で、二月堂がとても素晴らしく、そこから見下ろす奈良の街をぜひ見て歴史を感じてほしい、と言われた。来月、奈良に行きたいと思っていて、二月堂は考えてなかったけれど、訪れてみたい気持ちになった。コースを検討しなおそう!
さて、法要とお墓参りのあとは会食。
いつも前を通るだけで入ったことのなかった日本料理屋さんへ。
部屋には打掛。
テーブルセンターは帯。
廊下にも帯が飾ってあった。
父の実家は、兄である伯父が既に亡くなっており、私の従姉が跡を継いでいる。その彼女は、私の父に会うたびに昔の家や地域のことなどを尋ねている。聞かれて話す父はいつもとても饒舌だ。今日は姉である伯母もいたので、二人で昔のことを思い出しながら説明していた。
従姉にとっては、父である伯父が亡くなった今、こういうことを聞けるのは残ったきょうだいしかなく、「今のうちに聞いておかねばわからなくなってしまう」といつも言っている。
法要で亡くなった方を偲ぶことはもちろんだけど、滅多に会えない親戚と過ごす時間はコロナ禍で失われた時間も取り戻す貴重な機会だと感じた。
再来週は本家の伯父と祖母の法要。同じような顔ぶれが集まるので、きっとまた話が盛り上がるのだろう。
そして私はまた運転手を兼ねて参列することになっている。
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