見出し画像

大原本邸 ベヒシュタインコンサート

倉敷美観地区といえば大原美術館。
その向かい、倉敷川をはさんだところに「語らい座大原本邸」はある。
「語らい座大原本邸」とは、国指定重要文化財である旧大原家住宅の建物や土地を2018年4月より一般公開したものだ。

そして、この大原本邸の座敷には、1928年製のベヒシュタインのピアノがある。
入館してすぐのお座敷にごく普通に置かれていて、触ることこそできないが、入館すれば誰でも見ることができる。

春にkimiちゃんと行ったときに
撮った写真


2022年、クラウドファンディングにより このピアノが修復された。お披露目コンサートを皮切りに、以後コンサートが行われている。

毎月第1日曜日に行わているベヒシュタインコンサート。
今日は「特別編」。年3回あるスペシャルプログラムの初回だった。

このポスター、あっという間に
SOLD OUTの文字が加わっていた。


ヴァイオリニストの福田廉之助さんは、世界を股にかけて活躍している我らが岡山の星☆
私は彼が小学生の頃からずっと注目していた。
そんな彼がこのコンサートに登場する!
大原本邸の近くで働いている友人S子が、情報公開後すぐに気づいて連絡してくれて、即決でチケットを予約していた。
客席は全部で60席。
割とすぐに申し込んだ私たちの予約番号は36・37番。そのあとまもなく「完売」 となっていた。

そして今日。
開場は17:30。少し前に、建物の前を通るとすでにかなりの人が並んでいた。自由席なのでみんないい席で聴きたいのね、と横目に見ながら、しばし近くを散策。
17:30を10分ほど過ぎて会場に行ったら、もう席は8割方埋まっていた。

ピアノが置いてある座敷の両脇の部屋と、下の土間が客席で、パイプ椅子が並んでいた。私たちはお座敷席のかなり後ろの方だったのだが、それでもこの距離で聴く(見る)ことができるのかと始まる前から感激していた。

江戸時代に建てられた建物は、梁が低く天井も低い。
演奏者が立つと、天井の低さが余計に感じられた。
ピアノもヴァイオリンも、靴を履かずにコンサートで演奏するなんてなかなかないだろう。
エアコンのない室内は、なかなかの温度と湿度だった。


本日のプログラム

まずはピアノソロで「舟歌」。
能登さんのピアノは初めて聴いた。
長い指が滑らかに動く様子がよく見えて、演奏者との近さを実感した。
とても柔らかな音は、ピアノの特性か、それとも彼だからなのか。
トークもとても滑らか(笑)

大拍手で廉之介さん登場。
お客さんの期待が私にも伝わってくる。

最初の曲は「愛の喜び」。
こんなに速いのを初めて聴いた!!

一転、べートーベンのロマンスは艶のある美しい調べ。
短い曲で、もう少し聴きたいなと思わされた。

そして、シューベルトのヴァイオリン・ソナタ。
圧巻!!
ヴァイオリンのことはよくわからないし、この曲を聴いたのも初めてだったけれど、楽章ごとに色が変わる感じだった。
ピアニストの能登さんが、廉之介さんの音程の確かさを絶賛していて、それはまったくそのとおり。そんな早弾きのテクニックと正確さはもちろん目を見張った。でも、それよりなにより音色の美しさ、特にピアニシモの表現にうなった。
(勝手に生意気な感想を書いているけど、もしかしたら的外れかもf;^^)

フィナーレは、「シチリアーノ」と「ツィゴイネルワイゼン」を2曲続けて演奏。
「ツィゴイネルワイゼン」すごい迫力!そして超速!
拍手喝采鳴りやまず!

今日は1時間のコンサートの予定だったが、トークも多くて、この時点ですでに時間オーバー。
けれど、さらにアンコールを2曲も弾いてくれた!
「タイスの瞑想曲」~「チャールダッシュ」

実は彼のチャールダッシュは以前にも聴いたことがある。
2年余り前、2000席のシンフォニーホールでの演奏で、今回とは会場も演奏者との距離も全然違っていたが、その時はその時で素晴らしい演奏だった。
が、実はその日は38度超の発熱をしていたそうで、演奏が終わると楽屋で倒れこんでいたと聞いた。(それでもフィナーレに登場してくれたのだが)

今日の廉之介さんは、朝からとても楽しみにしてくれていたと能登さんが言っていたが、チャールダッシュを演奏しているお二人は本当に楽しそうだった。
演奏そのものもとても素晴らしかったけれど、二人が息を合わせて演奏する様子に、音楽っていいなあ、楽しいなあ、と思わされた幸せな時間だった。
(スタンディングオベーションをしたいところだったが、ぐっとこらえて)心からの大きな拍手を送った。

スポットライトの白熱灯を間近に受けていた演奏者はずっと暑そうで、実際最初からずっと汗をかかれていた。
最前列の方は、ヴァイオリニストのすぐそば、手を伸ばせば簡単に触れる距離で、弓の動きや息づかいまで感じたことだろう。
こちらからは、指遣いや細かい表情までよく見えた。
ピアニストもすごいよね。アップライトであの演奏👏

S子と二人で一番に座敷を降り、そそくさと会場から出て行って数歩、ふと振り返ったS子が、「あれ?出てこられた・・・?」とつぶやいた。
振り返るとそこには、外の風にあたって涼んでいる廉之助さんの姿が。
思わず走って戻り、「ありがとうございました。すばらしかったです!」と勝手に握手を求め、さらに調子にのって写真を一緒に撮ってとお願いしたら
「いいですよ^^(わ~っと来られる前に)」と快諾。
おばちゃん、図々しくてごめんなさいね🙏

それにしても、この会場、この距離、この内容、この奏者で3000円は破格でしょう!
素晴らしい演奏をありがとうございました。(オペラプラザの練習をサボって行った甲斐がありました!)

頭の中で、今もずっとチャールダッシュが鳴り響いています・・・。

おまけのエピソード)
会場に着いてすぐトイレに行った。一つしかなかったので待っていたら、ドアが開いて中から出てきたのは大学の同級生。
びっくりして声をかけたら、向こうもびっくり‼️何年ぶりだろう。
同期のグループLINEに入ってもらうことができた❣️
思わぬ嬉しい副産物でした☺️

この記事が参加している募集

#新生活をたのしく

47,899件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?