一枚描いてみては

空は渋い桃色、陽射しは透明感のある薄黄色、木々に葉はまだないが、小枝はどことなく春色。この段階ですでに絵は完成したと同じです。あとは葦ペンを使って線描きを加えればいいだけです。

多少のデッサンの狂いや歪んでみえる建物などは、そのままでよしとしましょう。春近しの情景を描ける幸福さに感謝感謝です。

写生に酔いしれば酔いしれる程、もう一、二枚と描きたい気持ちに駆られます。そうなってくればこっちのもの。

今度は手前の地べたが光を含んだ濃い黄色に見えてきます。黒いジャケットの通行人も、いつしかオレンジ色のジャケットに変わってきます。真っ赤な車が信号待ちしているのが見えたりもします。そうなればスケッチ取材も成功といっていいでしょう。

どうですか、そんな気分になって一枚描いてみては。

 春始まりの絵2


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