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ベジ議連第5回レポート

加藤裕子

2021年2月19日、衆議院第二議員会館にてベジ議連(正式名称は「ベジタリアン/ヴィーガン関連制度推進のための議員連盟」)の第5回総会が行われました。

※これまでの議連のリポートはリンクからご覧ください(第1回第2回第3回第4回)。

※ベジ議連については海外の関心も高いそうです。東京ヴィーガン共同代表ナディア・マケックニーさんのご協力により、David Buistさんが翻訳してくれた英語版を日本語版の後に掲載しています。(You can find the English version translated by David Buist, for Tokyo Vegan, below the Japanese version.)

今回の議題のメインは、以前から議論されていた「ベジタリアン・ヴィーガンJAS規格」についてです。

ベジ議連役員(第5回総会出席議員は太字)

会長:河村建夫衆議院議員(自民党) 顧問:漆原良夫前衆議院議員 会長代行:石田祝稔衆議院議員(公明党) 副会長:荒井聡衆議院議員(立憲民主党) 副会長:岸本周平衆議院議員(国民民主党) 副会長:杉本和巳衆議院議員(日本維新の会)、事務局長:松原仁衆議院議員(立憲民主党)


第5回総会出席議員(順不同、肩書は当時)

上田清司参議院議員(国民民主党)、塩村文夏参議院議員(立憲民主党)、須藤元気参議院議員(無所属)、堀越啓仁衆議院議員(立憲民主党)、宮路拓馬衆議院議員(自民党)、辻清人衆議院議員(自民党)、福井照衆議院議員(自民党)、高井崇志衆議院議員(国民民主党)、篠原孝衆議院議員(立憲民主党)

「魚屋をやっていてベジタリアンではないんですが」とコメントしつつ参加の須藤議員のツイート。代替肉にも言及しています。


第5回総会行政側出席者(順不同、肩書は当時)

観光庁(外客受入担当 片山敏宏参事官)、農林水産省(食料産業局食品製造課基準認証室 西川真由室長)、消費者庁(食品表示企画課 五十嵐麻衣子課長、食品表示企画課 坊英哲係長)、環境省(環境・再生資源循環局廃棄物適正処理推進課 名倉良夫課長)、気象庁(総務課 西田司庁舎管理官、涌井健一調査官 人事課 杉本正則厚生管理室室長)、東京都庁(産業労働局 坂本雅彦次長 産業労働局観光部 松本明子部長、福塚英雄事業調整担当課長)

気象庁は職員食堂で週1の頻度(毎週水曜)でベジタリアン・ヴィーガンメニューの提供を始めた関係での出席です。職員の食事の選択肢を増やすと共に健康増進も期待して、中央省庁の食堂では、2017年の内閣府に続けてのベジタリアン・ヴィーガンメニューの導入になりました。運営は内閣府食堂と同じ㈱ニッコクトラストで、内閣府食堂と違い、外部の人間でも利用できます。ちなみに、気候変動問題の観点からも本来であれば率先して職員食堂にベジタリアン・ヴィーガンメニューを導入すべきと思われる環境省では、現在運営業者と協議中とのことでした。

第5回総会出席関連団体・事業者(順不同・敬称略)

垣本充(日本ベジタリアン協会代表)※Zoom参加、高井明徳(日本ベジタリアン学会会長)※Zoom参加、川野陽子(ベジプロジェクトジャパン代表)、小城徳勇(ミートフリーマンデー・オールジャパン事務局長)、近藤沙織(東京ヴィーガン共同代表)、塚平高裕(ニッコクトラスト営業管理部部長)、利根川正則(㈱グローバル・メディア代表)、ナディア・マケックニー(東京ヴィーガン 共同代表)、宮澤亮(グリーンカルチャー株式会社 マーケティング兼法人営業 ※金田代表代理)、室谷真由美(日本ヴィーガン協会代表)、山路ケン(日本エシカルヴィーガン協会代表)

内閣府や気象庁の職員食堂以外にも幅広く給食事業を展開するニッコクトラストは、2020年、年間約2トンを肉からプラントベースに変えたことによりCO2を年間48トン(牛肉ベース換算)削減したとのこと。塚平部長は「上場企業ではSDGsにからめてベジ・ヴィーガンへの関心も高く、のびしろはまだある」とコメント、将来的には様々なところで当たり前のようにベジメニューが提供されるようになるかもしれません。

また、グリーンカルチャーからは、植物肉ミンチ開発の報告に加え、コロナで疲弊した飲食店に無料で植物肉を供給するグリーンミートプロジェクトという取り組みを行っているとの説明がありました。

 自治体(順不同・敬称略)

千代田区(末廣康二 商工観光課長、山口茉生 同課職員)、台東区(大垣祥 観光課主任)

千代田区は3月からDVDや動画配信でベジタリアン、ヴィーガンの店舗の普及活動を始める予定だそうです。また、この分野で「先進自治体」である台東区では、ハラールに加え、区内飲食店のベジタリアン、ヴィーガン認証取得への助成制度をスタートさせるとのことでした。

各省庁からの報告(要約)

消費者庁:国内でも食の嗜好やニーズが多様化しており、選択できる仕組みをしっかりと作っていきたい。また、プラントベースについては、様々な考え方があることは承知しており、しっかり勉強していきたい。

観光庁:令和2年度の取り組みの柱は2つ。1つは訪日客への一元的情報発信で、ベジタリアン・ヴィーガン向けポータルサイトを開設し、国内のベジタリアン対応店舗の検索機能付きウェブサイトへ誘導する他、東京都を含む地方自治体が独自に作成した店舗マップや口コミサイトを紹介。ふたつめは、飲食事業者等における受入環境の改善で、飲食事業者が一品でもベジメニューを導入できるようセミナー等を実施。オンラインセミナーの画像はYou Tubeなどでの公開も検討。

※ポータルサイトは観光庁のサイト内ではなく、MATCHA(訪日旅行者向け情報サイト)にあります。

東京都:インバウンド需要の落ち込みで打撃を受けているベジ・ヴィーガンやハラール対応飲食店の食の魅力を日本人にも知ってもらおうと、英語だけではなく日本語でも情報発信を強化していく。東京都の観光公式サイト「GO TOKYO」に新たに特設ページを設け(令和3年3月予定)、都内対応店舗を紹介するデジタルパンフレット(令和3年3月公開予定)へ誘導する。観光庁制作のポータルサイトともリンクを貼り、連携する予定。また、東京都が発行するベジタリアン旅行者向けのパンフレット掲載店の店頭に表示できるシールの作成・配布を進める。

ベジタリアン・ヴィーガンJAS規格とベジタリアン・ヴィーガンに適した食品に関するISO案について

※そもそもJASとは何かという説明については、こちらをご覧ください。

農水省

「国際的に通用するJAS認証の枠組み」は、国際標準化機構(ISO)で定める枠組みに準拠しているため、自己認証ではなく、第三者である登録認証機関(ISO17065を基準とする)が認証するという、客観性が担保された仕組みになっている。※図解はこちら。農水省では、登録を希望する団体に対し研修会を実施している。
JASの制定の流れは、「民間発意→規格化の事前相談→プロジェクトチームの編成→プロジェクトチームにおけるJAS原案の検討→法第4条に基づくJAS原案の申し出→JAS案の作成→通商弘報・パブコメ→JAS調査会による審議・議決→JASの制定・公示」となる。早くて制定まで1年6ヶ月、平均2年10ヶ月、長いもので約4年1ヶ月かかる。
ベジタリアン・ヴィーガンに適した食品に関するISO最終案は、投票(賛成49カ国、反対インド、棄権24カ国)により承認され、国際規格として3月に発行準備に入る。適用範囲はOLV(卵・乳製品摂食ベジタリアン)、OV(卵接食ベジタリアン)、LV(乳製品摂食ベジタリアン)、VG(ヴィーガン)に適した食品となる。日本も含む棄権した国(イスラエル、英国、スペイン、トルコ、ニュージーランド、ノルウェー、ベルギー、ポルトガル等)の多くは、動物実験禁止の範囲を原材料等を供給する会社にまで広げていることに懸念を示していた。

※インドの反対理由については、オンラインでの会議だったこともあり不明だそうです。

出席の篠原議員からは、「ベジJASの制定にあたってはISO規格通りでなければいけないというのではなく、日本の気候風土や現状も考慮する必要がある」「鶏卵の例など日本の現状を考えると、すべて外国から原材料を輸入しなければならないという事態にもなりかねない」「国際規格を前面に出すのではなく、日本は日本で独自の規格を作るべきではないか」との意見が出ました。

また、高井議員、塩村議員もこのことに関して以下のようなツイートをしています。


ISOは国家間の貿易の円滑化、知的、科学的、技術的、経済的活動における国家間協力の発展党を目的に、電気・電子分野を除くあらゆる分野の国際規格を策定する国際機関(非政府機関)です。国家規格を定めるにあたり、ISOをそのままあてはめなければいけないという強制力はありませんが、「国際基準」として議論の叩き台となります。有機の規格でも見られるように、ベジ・ヴィーガン規格についても、国によって違いが出てくると予想されます。

ベジJASをどのような内容にしていくか、今後作られるであろうプロジェクトチームで議論されると思われます。このことにあたっては、東京都の坂本次長から「各自で認証を行っている団体にはそれぞれの考え方があると思うが、哲学的な部分にこだわると神学論争になってしまい、具体化が難しくなる。自治体で政策展開するにはリアリズムが必要という発想を持ってほしい」という提言があり、議連からも「必要なときにはステークホルダーの意見調整しながら施策を進められるようにしていきたい」という発言が出ました。

議連の松原事務局長からは、「今回のコロナ禍で、14日間隔離された訪日外国人の中にヴィーガンがいたそうだが、成田での隔離期間中、ヴィーガンが食べられる食事の提供がなかった」という話もありました。JAS規格についてはまだ時間がかかりそうですが、日本のベジ・ヴィーガン対応が遅れていることは明らかであり、観光庁をはじめとするベジ・ヴィーガンの裾野を広げる取り組みや情報提供が今後一層充実することが望まれます。

A Report on the Fifth General Meeting of the Vege Council

By Hiroko Kato
Translated by David Buist

The Fifth General Meeting of the Vege Council was held on February 19th 2021 at the at the House of Representatives Second Building. The main topic was the ongoing discussion of the certification of food products suitable for vegetarians and vegans under the Act on Japan Agricultural Standards (JAS).

The meeting was attended by members of the House of Representatives, members of the House of Councilors, and staff from several departments of the Japanese Government, including the Japan Tourism Agency, Ministry of the Environment, Consumer Affairs Agency, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Meteorological Agency, and Tokyo Metropolitan Government. Other companies and organizations represented at the meeting were the Japan Vegetarian Society, Japanese Society for Vegetarian Research, Vege Project Japan, Meet Free Monday Japan, Tokyo Vegan, Nikkoku Trust Inc., Global Media Inc., Tokyo Vegan Meetup, Green Culture Inc., Japan Vegan Society, and Ethical Vegan Society of Japan. Local government staff from Chiyoda City and Taito City also attended.

Councilor Genki Sudo recently posted a tweet referring to meat substitutes:

“I attended a meeting about JAS vegetarian and vegan standards. Japan may be behind Western countries in catering for vegetarians and others. I am personally interested in meat substitutes made from plant ingredients such as soya. I have eaten them and could not tell the difference from real meat. Of course, the source is important. Hmm...”

The Meteorological Agency was represented for the first time because their staff canteen has started offering a vegetarian or vegan menu once a week on Wednesdays. It is the second central government department to do so, following the Cabinet Office, which began in 2017. Both canteens are operated by Nikkoku Trust Inc., but unlike the Cabinet Office, the Meteorological Agency's canteen is open to the general public. The Ministry of the Environment is currently in negotiations with their contractor for the introduction of vegetarian/vegan menus in their canteen.

Besides operating canteens at the Cabinet Office and Meteorological Agency, Nikkoku Trust are a major player in the catering industry generally. In 2020, they reported that they had replaced two tons of meat with plant-based products leading to a 48-ton reduction in CO2 (calculated on the basis of an equivalent amount of beef). According to their representative at the meeting, Mr. Tsukadaira, concern with SDGs among listed companies is likely to make catering for vegetarians and vegans a matter of course in the future.

In addition to reporting on their development of plant mince, Green Culture Inc. announced that they had initiated a Green Meat Project providing plant meat to restaurants hit by the Covid-19 pandemic.

Chiyoda City plans to start promoting vegetarian and vegan businesses in March by distributing DVDs and internet videos. As one of the most progressive local governments in this field, Taito City announced that they will offer subsidies to local restaurants so that they can obtain vegetarian and vegan certification (in addition to Halal certification).

Reports from Government Ministries and Agencies

Consumer Affairs Agency
Dietary habits and needs are becoming more diverse even domestically. We want to create an effective mechanism allowing people to make choices. We recognize the diversity of opinion about “plant-based” and want to consider these thoroughly.

Tourism Agency
Last year's efforts were focused on two main pillars. The first is the establishment of a one-stop portal website with a search function allowing foreign visitors to search restaurants catering to vegetarians and vegans and links to other information sources such as restaurant review sites and restaurants maps produced by local governments. The second is the holding of seminars and other events encouraging restaurant owners to improve their catering for vegetarians and vegans.

Tokyo Metropolitan Government
In response to the decline of in-bound tourism, more information has been distributed in Japanese to increase the interest of Japanese people in restaurants catering for vegetarians, vegans and Halal. A special page has been added to the official tourism website “Go Tokyo” and a digital pamphlet introducing restaurants in the metropolis has been created. In addition, restaurants mentioned in pamphlets for vegetarian tourists have been issued with stickers that they can display.

JAS Vegetarian/Vegan Standards and the ISO Proposal Regarding Foods Suitable for Vegetarians and Vegans

The internationally compatible Japan Agricultural Standards (JAS) Certification Framework is based on the framework decided by the International Standards Organization (ISO). To maintain the impartiality of this framework, organizations cannot certify themselves but must obtain certification from registered third-party certification bodies. The Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries conducts training programs for organizations wishing to register as certification bodies.

The process of establishing a JAS standard involves a number of steps listed below. The whole process takes at least a year and half to complete, but can take as much as 4 years. The average length of time from initiation of the process until establishment of the standard is 2 years and 10 months.
1. Proposal by private organizations
2. Consultation on standardization
3. Formation of a project team
4. Consideration of draft proposals by the project team
5. Tabling of a standards draft in accordance with Article 4 of the Law
6. Creation of a standards proposal
7. PR and public hearings
8. Deliberation and Approval by the JAS Survey Association
9. Establishment and publication of the JAS standard

The ISO standard for foods suitable for vegetarians and vegans has already been approved and will be issued in March. This standard specifies the following categories:
OLV (ovo-lacto vegetarian)
OV (ovo-vegetarian)
LV (lacto-vegetarian)
VG (vegan)
The standard was approved by a majority of 49 countries voting in favor. 24 countries (including Japan, Israel, the UK, Spain, Turkey, New Zealand, Norway, Belgium and Portugal) abstained because they were concerned about the extension of the prohibition on animal testing to companies supplying ingredients. India voted against for reasons that are unclear.

At the meeting, Representative Shinohara made the following statement of opinion: “When establishing the JAS standard for foods suitable for vegetarians and vegans, we are not bound necessarily to follow the ISO. We must take into account the climate, geography and current conditions in Japan. ... Considering eggs, for example, under current conditions, Japan would have to rely entirely on imports. ... Rather than adopting international standards wholesale, Japan should create its own standards.”

Representative Takai and Councilor Shiomura issued statements via Twitter.

Representative Takai:
“The ISO standard for food suitable for vegetarians and vegans was approved by a majority vote but Japan abstained. When asked why, the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries say that the 'prohibition of all animal testing' is too strict. Besides most western countries, even China voted for it. Only India voted against. I get a strong feeling that our country is falling behind in policies on animal welfare.”

Councilor Shiomura:
“Japan abstained in the ISO vote on standards for foods suitable for vegetarians and vegans. Among others, Switzerland, the USA, Turkey, China, Germany, France and Australia all voted in favor. It is said that Japan could not vote in favor because the prohibition on animal testing is too strict. Once again, our country is falling behind because it pays too much attention to vested interests.”

As a non-governmental international organization, the ISO issues standards in all fields (except electricity and electronics) with the aim of promoting international trade and cooperation in academic, scientific, technological and economic activities. Although national governments are not obligated to adopted ISO standards wholesale, the ISO is a clearing house for the discussion of international standards. As already witnessed in the case of organic produce, it is likely that differences will emerge among countries in their definitions of vegetarian and vegan.

It is expected that the content of the JAS vegetarian/vegan standard will be discussed by a project team to be formed in the near future. On this, Vice Head of the Tokyo Metropolitan Government Bureau of Industrial and Labor Affairs, Mr. Sakamoto made the following statement: “The certifying organizations each have their own way of thinking. If we get hung up on philosophical issues, it will become a theological debate, and concrete action will become difficult. I hope people realize that realism is necessary for local governments to develop policy.” Members of the council said that they hoped to pursue policy while balancing the opinions of stake holders when necessary.

Head of the council secretariat, Mr. Matsubara also spoke about the lack of suitable food provided for vegan visitors to Japan during their 14-day quarantine in Narita.

The JAS standards will take some time yet. Japan is clearly behind in its catering for vegetarians and vegans. It is hoped that the small steps started by the Tourism Agency and others will grow into wider efforts and information provision.

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加藤裕子

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