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メタバースの土地における価値とユーザー体験のジレンマ、そしてその解決法

メタバースの土地には、価値とユーザー体験のジレンマがあるように思う。

メタバースの土地の価値を釣り上げるには、「有名なあの土地の横にある」「メインストリートにある」などの付加価値が重要だが、ユーザーからしたらそうした空間的な関係性に煩わされることなく面白いワールドを自由にワープで行き来できた方が便利だし、メタバースらしいセカイの楽しみ方という感じがする。

もちろん、DecentralandにもCryptovoxelsにも、そして恐らくSandboxにもワープ機能はある。

しかし、それらのサービスにおけるワープ機能は良質なワールドを簡単に見つけてサクサクワープできるようにはなっていない。
(もちろんローディング時間などの制約はあるとは思う)

メタバースの土地の発見性が立地に左右されている状況は、インターネット初期に新しいウェブサイトに訪れるためにウェブサイトからのハイパーリンクを辿るしかなかった状態に近しく、サービス運営側のオススメ枠にワールドの発見を委ねている状態はYahooなどの巨大掲示板のリンクから新しいウェブサイトを見つけていた状態に近しい。

つまり本来は自由であるはずのメタバース空間でのコンテンツ発見性がとても不自由で前時代的なものになってしまっているのではないかと感じる。

ここでインターネット初期(それこそWeb1.0の時代)のアナロジーを敷衍して考えてみると、メタバース時代にも自分が求めるワールドや体験、情報を簡単に見つけてアクセスできる「検索エンジン」的なものが上記のような課題の打開策として求められるのではないかと思う。

注)ここでいうメタバースは三次元的なインターネットインフラのことを指しており、単一のVR SNSとは明確に区別している。DecentralandやSandboxなどのWeb3メタバースも三次元インターネットインフラにはほど遠いが、ブロックチェーンベースでメタバースの必須要件であるインターオペラビリティはクリアしているので単一のVR SNSよりは遥かに純然たるメタバースの概念に近いものとして扱う。

では、メタバースにおける「検索エンジン」とはどのようなものになるか?

それは恐らく、Etherscanなどのようにブロックチェーン上のトランザクションやスマートコントラクト情報をインデックスした上で、それをユーザーにとって価値ある空間やコンテンツを探すという形でパッケージしなおしたサービスになるように思う。

その先の具体的な姿はまだ見えていないが、XR × メタバース × Web3の重なる領域を事業領域とするMESONにとって考えがいのあるテーマなので引き続き考えていこうと思う。


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